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人気スイーツ、女性の心をつかむ秘策

3つ星セミナー

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NIKKEI STYLE

主に東京近郊の店の中から、専門家らが実際に食べ比べておすすめの菓子を星付きで紹介している「今週の3つ星スイーツ」。電子版の読者にも星を取ったケーキを食べてもらい、シェフの生の声を聞いてもらおうと11月17日、試食付きの無料セミナーを日経本社(東京・大手町)で開いた。電子版の女性登録会員を中心に募集し、約100人が参加。シェフが語るスイーツの開発秘話に耳を傾け、シェフ自らふるまうケーキに舌鼓を打った。

「今週の3つ星スイーツ」は3月23日に連載を開始したが、読者を集めたセミナーを開くのは今回が初めて。第1部で電子版の活用術を紹介した後、第2部でパネルディスカッションを開いた。パネリストは、3つ星スイーツのロールケーキの回で「うらわろーる」が1つ星だった浦和ロイヤルパインズホテルのシェフパティシエ(菓子職人)、朝田晋平さんと、3つ星スイーツの選定委員、平岩理緒さんの2人。「スイーツ・マーケティング最前線」と題し、電子版ライフセクション編集長の加藤仁の司会で、新製品開発の秘策やスイーツ業界の展望などについて話し合った。

 ――まずお2人を紹介します。朝田さんは世界大会で準優勝の経験があるそうですね。

朝田氏 フランスのリヨンで2年に1回開かれている世界大会「クープ・デュ・モンド・ドゥ・ラ・パティスリー」に2001年、日本予選を経て日本代表として出場し、準優勝しました。スタッフにはいつも「1番を目指そう」と言っています。1番を目指して努力していれば、結果的に1番になれなくても、何かしら得られるものがあります。

 ――平岩さんは仕事柄、たくさんのお菓子を食べているそうですが?

平岩さん 月に食べるスイーツは100種類ぐらいになります。この3つ星スイーツで月に20種類食べるほか、月に試食会が4~5回ありますから、全部で100種類ぐらいになります。ただ、それぞれのケーキを丸ごと食べると食べた順番で公平な判断ができなくなるおそれがあるので、試食するときは、2分の1から3分の1を食べ、全量を食べたときのことをイメージするようにしています。

 ――日本のスイーツは世界的にかなりの高水準だと思いますが、いかがですか?

朝田氏 今年3月、フランスに菓子の大会の審査員で行きましたが、日本はパティシエの技術も、消費者の味覚も世界トップの水準にあるのは間違いないと思います。この30年間、西洋の菓子技術を吸収し急激に進歩しました。面白いのは、ただまねるのでなく、しょうゆの文化、つまり日本の文化や味覚をうまく融合して独自の味を築き上げたことです。そして今やその文化が、本場フランスはもちろん世界中で認められています。海外の関係者から「われわれにとって脅威だ」と言われるほどです。お客様も本当に本物の味をわかってくださる方が増えました。この業界には(現場で作らずに済む業務用の)既製品があるのですが、そんなものを使うとすぐ見抜かれます。

 ――スイーツはすっかり日本に定着しましたね。

平岩さん 不景気でもスイーツへの支出はあまり減っていません。スーパーで買う日常的なおやつは安売りに手が伸びたとしても、誕生日やクリスマスなど、ちょっとぜいたくしたい機会に登場するスイーツは不況の影響を受けていません。他のぜいたく品に比べて、コストパフォーマンスの良さが、不景気でも支持されている理由でしょう。スイーツを贈る喜び、そこから生まれる周囲とのコミュニケーションなど金額に対して得られるものがすごく大きい。スイーツがある満足な時間を上手に楽しんでいる人が多いですね。

朝田氏 技術と哲学のあるパティシエが増えたこと。そして味のわかるお客様が市場を支えています。マスコミによる露出を追い風に、一時的に売り上げを伸ばす店舗があるが、根本にしっかりした技術、哲学がなければブームに終わります。舌の肥えたお客様はよくわかっており、信念のある店舗の人気はずっと続いています。

 ――最近のスイーツ界のトレンドをどうみますか。

平岩さん ここ数年は原点回帰しています。ロールケーキ、バウムクーヘン、たい焼きなど、昔からなじみがあり、シンプルなものが、より厳選した材料や、今までと違う付加価値をプラスして登場しています。改装オープンした三越銀座店では、48年前の復刻版プリンが人気。子どものころにおいしかった思い出のある商品が、リバイバル的にヒットしつつあります。

 ――その中で、女性を中心とする顧客の心をつかむには、どうすればよいと思いますか。

平岩さん ライフスタイルを提案することが重要です。女性は相手の気持ちを読むことがたけている人が多い。スイーツも単においしいだけでなく、時、メンバー、機会に合わせて選びたいと考えます。そういう女性のニーズをくみ取れるよう、コーディネート能力や、具体的なシーンを想像させる商品が求められています。例えば、開発秘話や込められた作り手の思いなど、そのスイーツについて語ることができる商品です。

朝田氏 顧客の視点に立った店作り、商品作りが最も重要です。そのためには時間があればなるべく店に立ち、顧客と会話するようにしています。普通のホテルは調理担当は表に出ることは少ないですが、当店は逆です。スタッフにもなるべく店に出て、お客様と会話し、ヒントをもらってきなさいと言っています。もちろん、お客様の中には厳しい意見もあります。私も「朝田シェフ、最近、商品構成を変えてないわね」「このケーキは凝りすぎね」などと言われることがあります。

 ――顧客と一緒に開発した商品があるそうですね。

朝田氏 巨峰のタルト『MIYABI(みやび)』は全く新しい方法で開発しました。20-30代の独身女性を集めたホテルの会員組織「MIYABI」に、好きなケーキの味、形、デコレーションなどをアンケート調査し、その結果と試食会での意見を参考にして作りました。パティシエは自分のスタイルが大事。でもお客さんの感覚も大事ということで、いつもとは逆のやりかたに挑戦しました。

平岩さん パティシエは自分の考えをはっきり持っている方が多いので、顧客の声から作るのは珍しいと思います。『MIYABI』は開発協力者にとってもうれしい商品。自分で買いにいったり、友達に口コミしたりと、いい相乗効果が得られていると感じます。

――では、3つ星スイーツでも紹介した「うらわろーる」はどうやって開発したのですか。

朝田氏 MIYABIと逆ですが、自分が食べたいもの、売りたいもの、シンプルにおいしいものを目指して作りました。生クリームを開発するだけで半年以上も費やしました。5種類の乳製品を配合しているのですが、濃厚ながらさっぱりした味わいを出すために、原乳の産地はもちろん、牛の餌にまでこだわっています。実際に食べたとき、まず口に広がる香りと、後に残る香りを楽しんでみてください。スポンジはこのクリームに合うものを作りました。おかげさまで、1日30本を限定販売していますが、毎日完売です。

今後もシンプルでおいしいと思ってもらえるものを作りたいですね。お客様が一つケーキを食べ終わったとき、「ああ満足した」で終わるのではなく、「もうちょっと食べたい」「もう1種類食べたい」と思ってもらえるようなケーキです。

 ――スイーツを作る神髄は?

朝田氏 若い人には「まず、お菓子好きになりなさい」と言っています。食べることも作ることも楽しむこと。義務と思って作るのと、自発的に作るのでは違います。スイーツは作り手の気持ちが表れます。1つ1つ、心を込めて作ることです。食べる人の気持ちを想像しながら作ると絶対おいしくなります。「私たちにとっての100分の1はお客様にとっての1分の100」ともよく言っています。プロになると1日に数百個、クリスマスには千個以上のケーキを作ります。そのときに100個のうちの1個と思って作っていると、少し端が欠けていたり、傷がついたりしていても『ま、いっか』という気持ちが出てしまう。でも、その1個を買ったお客様はその店にあるケーキが全部そうだと思ってしまう。だから1個に妥協しないで全身全霊で作ります。

 ――いま注目しているものは?

平岩さん 果物あってこそのスイーツです。生産者がいてこそ、おいしいものができます。スイーツを通じて、もっと地方が活性化できればよいと思います。執筆やイベントを通じて、生産者、パティシエ、お客様がつながるような活動を続けていきたいですね。

 ――「地産地消」が広がりつつあるのでしょうか?

朝田氏 できる限り生産者のところに会いに行くようにしています。最近注目しているのは地元のもの。意外だったのだが、埼玉にも多くの生産者がいることです。先日訪問させてもらったイチゴの生産者とは非常に気が合い、随分語り合いました。後日、その方に朝摘んだいちごを一番に届けてもらい、そのままケーキにしてお出ししました。このことをきっかけに、ブルーベリーや洋ナシなど、地元の生産者とのネットワークが広がっています。これからも続けていきたい。生産者の人となりや出所がはっきりした素材はお客様も喜んでくれる。さらに、作り手としても、材料の扱い方が変わる。材料を本当に大事にしようと思うし、もっとおいしくしようと気持ちの込められたお菓子ができます。

◇            ◇

1時間ほどの講演の後、セミナー参加者は朝田シェフが開発した「うらわろーる」を試食した。参加者からは「クリームが濃厚なのに重くない。しっとりと甘いカステラとの相性もぴったり」、「朝田シェフの気持ちが1つ1つのケーキに込められていると聴き、よりおいしく感じる」という感想が寄せられた。毎日スイーツを食べているという女性は「いつも接しているスイーツに、素人が気づかなかったシェフのこだわりが込められていると知り、驚きの連続。刺激になるセミナーだった」と、ロールケーキをほお張っていた。

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