2010/11/17

暮らしの知恵

社員数1400人を超えるロート製薬。4年前、全社員にニックネームをつける「ロートネーム」を導入した。それまでも、さん付けで呼び合う職場だったが、さらに組織の風通しを良くするため取り入れた。その際に、「相手への尊敬や丁寧な言葉遣いを心がけてほしい」と呼びかけた。

経営情報本部の西脇純子さん(41)は「さん付けよりも親近感を持ちやすい」と話すが、相手との関係によって使い分けている。「普段から一緒に仕事をしたり、親しみを感じたりしているとニックネームで呼びやすいが、反対に距離感がある相手には失礼にあたると感じる」。また社外の人がいる場面などでは意識して「本名」を使うという。

ニックネームは新入社員に受け入れられているというのは電線部品メーカーの日本カタン(大阪府枚方市)。昨年から大学生向けの会社説明会で自社の特徴として触れたところ、学生から「雰囲気がよさそう」「働きやすそう」と評判がよかった。取締役の岩井慶一さん(63)は「入社後の人間関係を気にする学生がこんなに多いとは」と驚く。

同志社大の太田教授も「最近の若い社員は『タテの関係』になじみが薄く、フラットな関係を好む」と分析する。実際、新入社員の入社時の不安は「上司・先輩との人間関係」がトップという調査もある。

人間関係の第一歩は名前の呼び方から始まる。呼び方ひとつが雰囲気を変えるきっかけになるかもしれない。あなたの職場では、どう呼び合いますか。

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家庭でも呼び方変わる 個人尊重の考え反映

トヨタマーケティングジャパン主宰の「イマドキ家族研究所」(深沢真紀代表)が9月、子どもを持つ全国の20~60代の夫婦1万人に「お互いにどう呼び合っているか」を聞いたところ、「名前やニックネーム」と答えた人は20代で74%に上った。お父さん、お母さんなど「家庭の役割名」で呼んでいると答えたのは21%。名前やニックネームの割合は年代が上がるにつれて減っていき、40代では36%。50代と60代はどちらも26%にとどまった。

家族問題に詳しい神戸常盤大学准教授の小崎恭弘さんは「名前の呼び方は相手との関係で変わっていく。父親は威厳があり、母親は家庭を守るというのが従来の家族の役割だったが、若い世代ではそれが薄らいでいる。家庭の中でも個人を尊重する考え方が広がっており、子どもがいても名前やニックネームで呼ぶ人が増えている」とみる。

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