2010/11/17

暮らしの知恵

会社組織に詳しい同志社大学の太田肇教授によれば、「上司をファーストネームで呼ぶ欧米と違い、日本の職場はタテ社会。役職名で呼ぶのは年功序列の象徴だった」と指摘する。だが「最近は同じ社内でも仕事内容や働く社員が多様化しており、コミュニケーションが取りづらくなってきている」(太田教授)。働き方が変化し、雇用者の3人に1人が非正規従業員として働くという状況の中で、名前の呼び方に注目する企業が出てきたともいえる。

「これからは、お互いにファーストネームで呼び合おう」。インターネットビジネスのコンサルティング会社、シーエムエー(浜松市)では社長の島上勝則さん(47)が08年春、こんな提案をした。子育てをしながら働く女性社員が増え、早く帰宅する姿がみられるようになったが、「周りの社員は状況をよくわからずにいて、本人も帰りにくそうだった」。

原因はコミュニケーション不足。仕事以外の話を避ける雰囲気ができていた。思い切ってファーストネームを取り入れると、若い女性社員が男性上司を「としおさん」と呼ぶようになった。「お互いに遠慮していた部分がなくなり、間合いが縮まった」と島上さんは手応えを感じる。

友達職場の恐れ

ニックネームやファーストネームでの呼び方は職場の雰囲気を和ませる効果があるが、会社のコミュニケーションに詳しい東京大学大学院の中原淳准教授は「一歩間違えると、ただの『お友達職場』になる恐れもある」と語る。

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