コスト抑えて2地域暮らし 第2の住まいは「実家」

都会人が田舎にも拠点を持って行き来する「2地域居住」は、シニアがあこがれるライフスタイルの一つ。これまで高コストがネックとなってきたが、故郷の実家を第二の住まいにして実現する人が出てきた。きっかけは老親の手助けという場合が多く、親孝行と充実した生活を両立できるとあって、若い世代も関心を寄せている。
河野さん(左)が実家に戻り、母親(中央)の表情に明るさが戻った(9月、愛媛県西予市)

「自分が帰らなかったら、母親は孤独死していたかもしれない」。京都市内の小学校校長だった河野直樹さん(59)は現在、月の4分の3を愛媛県西予市の実家、残りを京都の自宅で過ごす。2つの居宅、往復900キロを車で行き来すると交通費はかかるが「実家に住んでいるし、ぜいたくをしないので続けられる」。

6年前、仕事をやめて故郷の愛媛の実家に単身戻った。5年間一人暮らしをしていた母親(89)の衰弱が進み「父の死に目には会えなかったが、母だけはみとりたい」と迷わず決めた。だが「京都の家を手放すつもりはなかった」。

妻(59)は次女と京都に残り小学校教師を続けていた。30年以上暮らした京都は、友人関係や祇園祭といった地域活動を続ける上で大切な場所だ。その後退職した妻は愛媛に移り住んだが、2地域居住を続けている。京都で過ごすときは、母親の世話はヘルパーにお願いする。親孝行をしながら2地域で交流を深め、人生の楽しみを追求しているという。

「折衷型Uターン」

千葉県白井市の会社員、中嶋滋さん(62)は2年前、長野県飯綱町の実家の隣に家を建てた。リンゴを栽培する母親は86歳。いずれ車いす生活になることも覚悟して、バリアフリー仕様にした。実家を改築するのに500万円程度がかかるため「それなら、将来は孫も楽しく過ごせるような家を建てよう」と15年ローンを組んだ。

月に2度、金曜日に仕事を終えてそのまま飯綱町に向かい、月曜の早朝まで過ごす。その間畑仕事を手伝ってくれる息子の思いやりに、母親はうれしそうだ。「ローン返済があると思うと仕事に張りが出る」