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イチからわかる

トイレの下水は「資源の宝庫」 金やリン鉱石など

2010/8/9 日本経済新聞 電子版

灰から12キロの金

県は焼いた汚泥の灰を競売にかけ、リサイクル会社に売る。灰の中の金の量は実際に取り出すまで分からない。2009年度は65トンの灰が2600万円で売れ、約12キログラムの金が取り出せそうだという。現在の金相場は1グラム3400円程度。「貴金属の専門店で買ったら約4000万円もするのだから、かなりお得だわ」と詩音が目を丸くした。

国土交通省からも新情報を仕入れることができた。下水道企画課の本田康秀さん(37)は「今後は下水処理水の輸出が有望です」と言う。国内で排出される年間140億キロリットルのほとんどが自然に害がないように処理されてから、川や海に捨てられる。いっそのこと、海外の水不足の地域に運んで利用してもらおうという構想が進んでいる。

候補になっているのが日本の鉄鉱石の輸入先であるオーストラリア。鉄鉱石を同国から運んできた船に、川崎市や千葉市の下水処理水を積んで帰ってもらい、鉱山で鉄鉱石を洗ったりすることに利用できないか、検討している。

事務所での報告後、「世の中、どんなところにお宝があるかわからないものですね」という章司に、所長が一言。「君も机の上をもう少し、整理してみたらどうかね。新たな依頼者からの連絡が埋もれているかもしれない」

(中村厚史、畠山周平)

<ケイザイのりくつ>回収率アップへ官民が知恵

リサイクル事業が軌道に乗るにはまとまった量の廃棄物の確保が重要。少量だと処理費用が割高になるうえ、再生品が安定的に作れないからだ。その点でインフラの整備が進んだ下水は「毎日必ず、処理場に集まってくる」(東京都下水道局の寺島英雄さん)強みがある。

回収網が弱い他のリサイクルも知恵を凝らす。経済産業省は金や希少金属などを含む携帯電話機の再利用に協力した人に抽選で商品券を贈るキャンペーンをした。良品計画やイオンリテール(千葉市)は古着を店舗に持ち込んでもらい、繊維からバイオ燃料を作る事業を始めた。

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