年間2000億円の価値

国内で1年間に出る下水からの汚泥は約220万トン。国土交通省の試算では約100万キロリットルの原油に匹敵するエネルギーを生み出せるという。「年間2000億円の価値はあります」(石田さん)。「再利用は自治体にとり、ごみを減らすと同時に副収入を得る一石二鳥の策というわけか」と2人はうなずきあった。

環境ビジネスに詳しい野村総合研究所の宇都正哲さん(41)は「下水処理場が様々な資源の集まる『都市鉱山』だと気づき始めた人が増えているのです」と話す。宇都さんが注目するのが肥料の原料となるリンだ。日本はリン鉱石を年間80万トン前後、主に中国から輸入する。国内の下水の汚泥にはその15%分のリンが含まれているという。

中国の需要の高まりで、5年前に1トン当たり1万円前後だったリン鉱石の輸入価格は今では2万円前後もする。肥料が高くなると農家が困るし、最終的に農産物の値段が上がって消費者の負担も増える。岐阜市は4月、汚泥からリンを回収する事業を始めた。上下水道事業部施設課の水谷達生さん(52)によると、同市で出る汚泥の量は年間約3万トン。そこからリンを約60トン含む肥料を作る。

長野県では下水の汚泥に金が含まれる地域があることもわかった。県の諏訪建設事務所の飯森正敏さん(50)に確かめると「諏訪湖流域の下水汚泥は金を含んでいます。この地域に多い工場からの排水に金が含まれているなど諸説ありますが、本当の理由はよくわかりません」との答え。

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