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暮らしの知恵

2010/8/2

暮らしの知恵

三重県名張市では雑草が茂る空き地の所有者にはがきを送り、除草を促す(上)。命令に従わなかった場合、最終的に代執行命令通知書を送る(下)

踏み込んだ対策を講じたのは三重県名張市だ。「名張市あき地の雑草等の除去に関する条例」を改正し、08年4月から行政代執行による強制除草をできるようにした。毎年6月、空き地の所有者に適正管理を促すはがきを発送。複数回にわたって勧告や命令をしても改善されない場合、所有者の住所や氏名を公表し、市が強制的に除草する。

「除草費用は所有者から徴収する。実効性を高め、抑止力が働く施策にしたかった」と同市生活環境部の田中実部長は話す。すでに09年、2件の行政代執行をした。ただ課題もある。条例改正により、空き地の状況が改善されるという期待が高まったことで、09年度の苦情件数は約1400件と改正前の4倍弱に急増した。「どの空き地に行政代執行を適用するのか明確な基準が必要」(田中部長)

また、代執行の導入には異論が残る。草刈り費用を土地所有者が払えない場合、自治体が負担を背負うことになるという声や、私有財産である土地に行政が介入するのは望ましくないという意見だ。

千葉市では今年、民主党の議員団が「空き地条例」に行政代執行の規定を盛り込む改正案を提出したが、反対意見が出て否決された。

東京工業大学の中井検裕教授(都市政策)は「まず空き地の管理は所有者の責務だという共通認識をつくるべきだ。その上で、地域の住民や町内会が管理を代替したり、希望があれば買い取ったりできる仕組みをつくらないと解決は難しいだろう」と話す。

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