私見だが、海外に比べると、日本では無理に酒を飲んで酔っぱらった人の姿を見かけることが多いような気がする。やはり、遺伝的に酒に弱い人が多いという証拠なのだろうか。

ただ、ここで注意しないといけないのが酒に弱い人に酒を無理強いする「アルコール・ハラスメント」である。

「『酒が飲めなくて営業ができるか!』。こうたしなめられる宴会が一番つらかった」。神戸市在住の今井武人さん(76)は港湾運送会社に勤めていた営業マン時代をこう振り返る。京都生まれの今井さんは生まれつき酒が弱く、宴会で「飲んだふり」をするのが大変だったそうだ。

今では「飲めない族研究会」関西支部の代表として会員約130人と「アルコール・ハラスメントの撲滅」を働き掛けている。「酒を強要するのは、下戸にとって生命を危険にさらしかねない暴力行為。飲めない体質の人間がいるということをもっと理解してほしい」と訴える。

酒の一気飲みなどで子どもを失った遺族らが設立した「イッキ飲み防止連絡協議会」では、飲み会の主催者や参加者には(1)飲めない人への配慮としてノンアルコール飲料を用意すること(2)「吐けば大丈夫」という考え方は非常に危険だと認識すること(3)酔いつぶれた人が出たら必ず介抱し、放ったらかしにしないこと――などの責任があると指摘している。

同協議会の調べによると、1983年から2010年までの間に、急性アルコール中毒による死亡や飲酒後の転落死・水死などで、少なくとも131人が犠牲になっているそうだ。

日本は酒豪が全体の6割しかおらず、世界でも屈指の下戸が多い地域。「だからこそ、アルコール・ハラスメントをなくし、酒豪であれ、下戸であれ、誰でも酒席を気持ちよく楽しめるようなマナーを確立すべきではないか」。「飲めない族研究会」関西支部代表の今井さんはこう訴えている。