上方落語まつり、ライバルが手を組むオムニス関西

大阪・ミナミの7会場で4月下旬の3日間、連続して計16の落語会を開いた「上方落語まつり」。ライバル同士の吉本興業、松竹芸能、米朝事務所が手を組んで実現した初の大規模イベントだ。落語家ら90人が出演し、延べ4000人以上を集客。初めて生の落語を見たという寄席ビギナーも取り込み、関係者からは「来年も開きたい」との声が相次いだ。今後は特長あるプログラム構成などが課題となりそうだ。

「上方落語まつり」最終日に口上を述べる桂米朝さん(中央)。右は桂三枝さん、左は桂春団治さん(4月30日、大阪松竹座)

商店街も協力

「事務所の垣根を越えて盛大に開催させていただきますこと喜ばしくうれしく思っております」――。開幕の口上(なんばグランド花月)で桂春団治はこうあいさつ。笑福亭仁鶴が「花月にはしょっちゅう出てますけど、今日みたいに上品なお客さんは初めて。かえってやりにくい」と客席を沸かせた。人間国宝の桂米朝は口上のほかグランドフィナーレ(大阪松竹座)にも登場。大阪締めの音頭をとって会場を一つにした。

このほか親子で楽しめる趣向の「おやこ寄席」(大丸心斎橋劇場)や新作のみを上演する「新作落語会」(雀のおやど)、また「桂文三・桂春蝶襲名記念会」(動楽亭)や「おはやしを見る会」(トリイホール)など特別な企画を織り交ぜ、すべての会場に3事務所の落語家が出演。会場をハシゴする観客の姿も多かった。ワッハ上方(大阪府立上方演芸資料館)では「上方落語まつり特別展」を18日まで開催中だ。

上方落語界で異なる事務所の落語家が一つの会で共演することは少なくはない。一門の師弟関係と所属事務所が入り組んでいるためだ。ただほとんどは師弟関係や個人的なつながりによるもので、3事務所が共同で大きなイベントを立ち上げたケースはなかった。上方落語協会会長の桂三枝は「とりわけ、それぞれ劇場を持ち覇を競ってきた吉本興業と松竹芸能が手を結んだのは画期的」と強調する。

上方落語まつりは約2年前に吉本興業と米朝事務所のトップ同士の会談で発案。若手落語家で構成したPR部隊「上方落語ボーイズ」のリーダーを務めた笑福亭銀瓶は「笑いでミナミをなんとか元気にしようと、3事務所と商店街の尽力で実現した」と振り返る。

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