上方落語まつり、ライバルが手を組むオムニス関西

「襲名記念会」では桂文三(中央)、桂春蝶(左)らが座談会で裏話などを披露した=上方落語まつり実行委員会提供

独自色に課題

ただ前例のない大イベントの共同開催に向かった背景には、天満天神繁昌亭の成功によって上方落語の人気が続き、若手が育っていることなどが挙げられる。ミナミでの大規模落語会には、上方芸能の発信地としての存在感を街を挙げてアピールしたいとの狙いもあったようだ。

街を挙げての落語イベントとしては、東京・銀座で2004~08年に開催した「大銀座落語祭」がある。米朝や三枝ら大看板を含む50人以上の上方落語家が出演。笑福亭鶴瓶は主催者の一人となっていた。また福岡市中心部で07年から開いている「博多・天神落語まつり」も東西の人気者がしのぎを削る秋の恒例イベントだ。上方落語まつりが大阪の名物となるためにはどのような課題があるだろうか。

実行委員会によると、初めて落語を見に来た客が全体の1割程度を占めたといい、初心者を振り向かせることには一定の効果があったようだ。ただ「より多くの初心者を呼び込むには料金設定をもっと低くするなどの工夫が必要になるだろう」(ワッハ上方の古川綾子学芸員)という。

笑福亭松喬は「来年はもっとよいものに。3、4年後には立派な会になるようがんばりたい」と話す。演芸ジャーナリストのやまだりよこ氏は「落語家の成長を促す役割のあるイベントになって、落語ファンがわくわくするような斬新な企画を盛り込んで長く続けてほしい」という。初夏の風物詩として、地元の初心者から全国の落語ファンまで、幅広い客を集めるイベントになるよう期待したい。

(大阪・文化担当小山雄嗣)

[日本経済新聞大阪夕刊オムニス関西2010年5月11日付]

オムニス関西とは 大阪本社発行の夕刊で月曜から金曜まで展開するコーナーの名称です。オムニスはラテン語の「omnis(すべての)」という意味を込めました。暮らしに役立つワザや若者に人気のスポット紹介、歴史に埋もれた事実の発掘まで、表層をなぞっただけでは分からない関西の魅力を伝えます。
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