「質実剛健」バウムクーヘン、3つ星は味わいしっとり

●ちなみに――本場ドイツではお祝い菓子

「バウムクーヘン」を日本語に訳すと「木のお菓子」。見た目が切り株に似ていることから名付けられたという話はよく知られているが、関係者に聞くと、もう1つ説があるという。バウムクーヘンは心棒に生地をかけながら焼いて作る。昔、その心棒にカシの木を使用していたことから「木の菓子」という名が付けられたというものだ。どちらが正解か不明なようだが、森が多く、自然あふれるドイツならではのお菓子ということができる。

日本では普段の日に食べることが多いが、ドイツでは結婚式などお祝いのお菓子として食べられることが多い。本場では「お菓子の王様」とも言われており、ドイツ菓子組合のシンボルにも使用されるなど特別な存在だという。世界的にドイツを代表する菓子として知られるようになったのは19世紀ごろ。プロイセン王国の首相として活躍し、鉄血宰相の異名を持つビスマルクも愛したという。

日本に広まったのは現在のユーハイムの基礎を作ったドイツ人カール・ユーハイム氏の手による。1919年に広島で開催された即売会にバウムクーヘンを出品した。これが日本で初めて焼かれたバウムクーヘンだという。同社は、初めてユーハイム氏がバウムクーヘンを販売した日を後世に伝えるため、日本記念日協会に「バウムクーヘンの日」の制定を申請。2010年から3月4日が「バウムクーヘンの日」になった。

●記者のひとこと

「体のためになるからおいしい」。カール・ユーハイムの妻エリーゼはお菓子作りにこんな信念を持っていたそうだ。「今週の3つ星スイーツ」を始めて1カ月。担当する同僚は「おいしいけど、絶対太った」と毎回、複雑な表情を浮かべている。今年30歳を迎える私もひとごとではない。そんなとき知ったのがエリーゼの言葉。おいしいお菓子を食べることが体のためになっているなんて。慰められたような気がした。もっとも、エリーゼは「添加物などを使わない」という意味で使ったようだが。

試食会の準備も慣れてきたが、いまだに迷うのが「皿にフォークを添えるかどうか」。正式なマナーを知らないせいもあるが、今回のバウムクーヘンは特に分からなかった。手で食べるものだという認識があるのだが、本場ではお祝いの際に食べるというからフォークを添えた方がよいのかも……。迷った末、出さなかったのだが、専門家からも要望はなかった。

個人的にもフォークを使わず、バウムクーヘンの層を1枚ずつはがして食べるのが大好きだ。ゆっくり食べられて量が増えた気がするし、はがして食べた方がよく味が分かる気もするからだ。みなさんには、こだわりのお菓子の食べ方がありますか?(赤塚佳彦)

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●「日経スイーツ選定委員会」とは

3人の専門委員と3人の日経記者の合計6人で構成。専門委員は豊富な経験に基づいた通らしい視点で、記者はビジネスパーソンとしての素直な視点で評価。まず、3人の専門委員の意見を参考に書類に基づく第1次審査を実施し、10商品を候補に選定。次に、厳選された10商品を実際に6人で食べ比べ、専門委員の意見を中心に合議制で「3つ星」「2つ星」「1つ星」を決める。

●専門委員の横顔(五十音順)

清水好夫さん

1962年生まれ。2007年、スイーツ食べ歩きブログ「男のスイーツ」を開始し、「スイーツ番長」のペンネームで活動する。女性が圧倒的に多いスイーツファンの中にあって、男らしいペンネームや風貌(ふうぼう)とスイーツとのギャップが話題に。08年からスイーツライターとしての活動を本格化。ほぼ毎日更新し、最新の菓子を掲載。全国のスイーツを食べ歩き、これまでに紹介した店は1000軒を超える。得意ジャンルはあんこを使ったスイーツ。著書に「手みやげスイーツ100選」(東京地図出版)。

下園昌江さん

1974年生まれ。大学卒業後、専門学校やパティスリーで製菓の技術や理論を学んでおり、製法にも詳しい。お菓子の食べ歩き歴は15年。近年は特にフランス菓子に力を入れ、フランスを巡るツアーや焼き菓子を中心としたお菓子教室も開催。監修本に「とびきりスイーツ見つけた!」。ウェブサイト「Sweet Cafe(スイートカフェ)」主宰。

平岩理緒さん

1975年生まれ。小学生のとき、訪れたデパートでスイーツの魅力に目覚める。大学卒業後、食品会社のマーケティングに携わる。2002年、テレビ東京の番組「TVチャンピオン」デパ地下選手権での優勝を機に、食の情報発信を本格化。退社後はフリーのフードコーディネーターとして活躍中。月に食べるお菓子は100種類以上。和菓子店での勤務経験もあり、和、洋菓子全般に詳しい。著書に「アフター6のスイーツマニア」(マーブルトロン)。コミュニティーサイト「幸せのケーキ共和国」主宰。