「朝三暮四」 首相答弁は間違ってなかった?

2010/4/6

ことばオンライン

少し前、国会で鳩山由紀夫首相が「朝三暮四」を「あっさりと物事を変えてしまうこと」と、「朝令暮改」の意味と間違えて説明し話題になりました。この取り違え、全くの誤りとは言い切れないようです。

朝三暮四は中国の故事由来の四字熟語。猿にトチの実を与えるのに朝3つ、夕に4つと決めたところ、少ないと抗議した猿が、朝を4つ、夕3つとしたら喜んだという話から、「目前の違いにばかりこだわって、同じ結果となるのに気がつかないこと」「口先でうまく人をだますこと」(広辞苑第6版)を表します。首相が取り違えた「命令や方針がたえず改められてあてにならないこと」(同)を指すのは朝令暮改。同じく中国の古い歴史書に由来する成句です。

ところが現代の中国には、朝三暮四を朝令暮改の意味で使う用法があるといいます。「日本の諺・中国の諺」の著者、陳力衛・成城大教授によると、猿の抗議にすぐに対応した変化の早さをマイナスにとらえる使い方が古くからあったそうです。中国では朝三暮四は主に人間のずる賢さを表し、「主語が政府や偉い人物ともなると、その豹変(ひょうへん)ぶりを指して朝令暮改と類似した意味で使われる」と陳教授は説明します。

日中それぞれで違う意味に展開した朝三暮四。ひとつの故事から引き出せる教訓はいろいろあるということなのでしょう。しかも朝三暮四と朝令暮改は同じ「朝○暮○」という構成です。首相の勘違いも同情の余地があるかもしれません。(若狭美緒)

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