「名前負け」 高校野球記事に多い誤用

「名前負け」という語の誤用が広がっています。本来は「名前が立派過ぎて実物が見劣りする」という意味ですが、「相手の名前に圧倒される」場面での誤った使用例が新聞のスポーツ記事によく出てきます。

近現代の言語変化を研究する国立国語研究所の新野直哉さんによると、誤用は特に高校野球関連の記事で多く見られ、「伝統校に名前負けすることなく戦う」のような監督や選手の談話に集中しているといいます。地方予選ではチーム間の実力差が大きい対戦もあり、強豪校の名前から受けるプレッシャーをつい「名前負け」と言ってしまうようです。当事者にとって簡潔でしっくりくる言葉なのかもしれません。

偉大な先人の名跡を襲名する歌舞伎や落語など伝統文化の世界は別として、私たちが日常生活で本来の意味の「名前負け」をするような場面はそうありません。誤用の広がる理由について、新野さんは「自分の名前に負けるよりも、相手の名前に負ける状況のほうがはるかに多いことが大きい」と分析しています。

甲子園球場で選抜高校野球大会が始まります。戦う相手は同じ高校生。選手には伝統校や強豪校の名前に萎縮することなく、日ごろの練習成果を発揮してほしいですね。(小林肇)

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