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戦国時代の僧兵拠点、実は巨大教育機関だった 根来寺(和歌山県岩出市) 古きを歩けば(3)

2011/10/4

 戦国時代、鉄砲で武装した僧兵集団「根来衆」を擁したことで知られる和歌山県岩出市の根来寺。当時を物語る史料は戦禍で散逸し、実態は長年謎に包まれてきたが、実は中世の巨大な教育機関だったことが近年の研究で明らかになってきた。山麓にたたずむ寺の周辺を歩くと、田畑の中に石垣が折り重なるように広がり、かつて広大な境内に全国から学僧が集まってきた往時の名残を見ることができる。

■高さ40メートルの木造大塔

木造大塔では国内最大とされる根来寺の大塔(室町時代、国宝)

 和歌山と大阪の境を走る和泉山脈の緑の中に、ドームのように丸く盛り上がったしっくいの白さが鮮やかな根来寺の大塔(国宝)がある。約40メートルの高さは木造大塔で国内最大。塔の内部をのぞくと、内陣(本尊を安置する空間)が円筒形をしているのが目を引く。

 完成したのは16世紀半ば。「円筒形の内陣に沿って障子がカーブを描くなど、見事な造りだと思います。手掛けたのは『根来大工』と呼ばれた地元の大工です。腕を買われ、全国で活躍しました」。同寺文化研究所の主任研究員、中川委紀子さんが教えてくれた。

 新義真言宗の総本山である根来寺は覚鑁(かくばん)が12世紀に高野山で草創し、13世紀に根来に拠点を移した。泉南地域や紀北地域の土豪・地侍らの支持を集めて寺勢を拡大。大塔が約70年がかりの工事を経て完成したころ、寺は最盛期を迎えた。「寺院に建つ塔の多くは仏の遺骨を納めた仏舎利塔ですが、大塔は本尊である大日如来を表現したもの。密教のシンボルです」。中川さんはこう説明する。

円筒形をした大塔の内陣。根来大工の巧みな技が目を引く
大日如来を中心に曼荼羅(まんだら)を表現しているという大塔の内陣

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