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「黒板消し」を「ラーフル」と呼んだら○○県出身! オランダの影響強く

2011/11/15

子供の頃、黒板に書かれた文字や図を消すために使っていた道具を何と呼んでいましたか? 一般的には「黒板消し」か「黒板拭き」のどちらかでしょう。でももし、「ラーフル」という答えがあったとしたら――。その人は鹿児島県、宮崎県、愛媛県いずれかの出身である可能性が高いと考えてよさそうです。
鹿児島、宮崎、愛媛の3県では黒板消しを「ラーフル」と呼ぶ

周囲に尋ねてみると、鹿児島市出身の34歳男性からは「ずっと使っていた。中学の時に県外出身者に『何それ』と言われて初めて方言だと知った」との声。宮崎県都城市出身の37歳男性も「ラーフル以外の呼び名がなかった。一般名称だと信じていた」。愛媛県大洲市の出身者からも、県内で地域差こそあれラーフルが使われていたことが確かめられました。このほか佐賀県、山口県、兵庫県などでは一部で使用例があるといわれ、いずれにせよ西日本限定の様子。こうした特殊な呼び方はどのようにして生まれたのでしょうか。

■オランダ語の影響力が強く

2000年に鹿児島工業高等専門学校教授(当時)の上村忠昌さんが発表した論文によれば、オランダ語で「ほつれ糸」や「こすること」などを意味する「rafel」が語源と考えられるそうです。日本で黒板が本格的に用いられ始めた明治初期、チョークを消す際にほつれ糸を束ねたモップ風の物や、糸のほつれたぼろ切れを使うことが多かったため、その材質から「ラーフル」という呼称が生じたのではないかということ。黒板をこすって文字を消したこととの関連性にも言及しています。

ではなぜオランダ語か。江戸時代、鎖国下の日本と唯一交流があった西洋の国だったからです。明治初期の小学校では校旗、机などの学校用品にもオランダ語が使われていた例があるといい、ラーフルもその一つだった可能性は十分にあります。確認できる最古の用例は1880年(明治13年)、沖縄の標準語教育のために沖縄県庁が作った教科書である「沖縄対話」。「石板ト、ラープル」と出てきます(「プ」となっているのは当時の沖縄の発音に合わせたためか)。翌年には大阪の小学校の内部資料に「白墨・ラーフル費」と記載されていたことも判明しています。教科書に載るぐらいですから、当時は標準的な言い方だったとみられます。また沖縄から大阪まで、やはり西日本で広く使われていたと推測されます。

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