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初めて社外の企業の改善に投入される。

生産調査室のメンバーは別として、私は製造部所属だったので改善先は専ら社内の製造現場でした。初めて社外の改善へ参画したのは入社8年目。ボルト専門メーカーの青山製作所です。同社は特に業績が悪いわけではありませんでしたが、現社長の祖父にあたる当時の青山利光社長(故人)が今のうちにやるべき改革をやっておこうと、トヨタに要請したようです。

青山製作所はトヨタ生産方式を導入し生産効率を高めた

青山製作所はトヨタ生産方式を導入し生産効率を高めた

機械加工の領域は私の専門でしたが、ボルトのような冷鍛加工は経験がありません。そのため社内でボルトを生産している三好工場を見に行こうと思っていました。しかし、上から「明日から行け」という命令が出て行けずじまいになりました。出張とはいえ、いつ帰れるかのメドも示されませんでしたので、着替え持参で愛知県大口町の寮での住み込みを始めました。

翌朝すぐに鈴村喜久男さんが来て開口一番「林、三好工場を見て来たか」。しまった、やっぱり見に行けばよかったと思いつつも、「時間がありませんでした」などの言い訳は禁句です。とっさに「行けば三好工場並みのことしかできません。あえて見に行きませんでした」と答えると「それで良し」との意外な反応。これで後に引けず、結果を出さざるを得ない状態になってしまいました。

いよいよ「戦闘」開始。

今回の出張支援は指揮官役の内川晋さん(元トヨタ自動車常務)をはじめ、数名の手だれが一緒だったので心強かったものの、誰も助けてくれるわけではなく緊張したスタートとなりました。

まず手掛けたのが出荷倉庫の大掃除です。倉庫には箱詰めされたボルトが山のように積み上げられ、ベテランの出荷作業者がお客の10桁品番が記入された引き取りかんばんを見て製品在庫を探り出す。それはそれで見事と言わざるを得ませんでしたが、ベテランが休むとそのゾーンの出荷は大混乱です。

これではいかんと完成品在庫の置き場に所番地を付与。お客の引き取りかんばんの裏に該当品番の所番地を入れ、誰でも製品を取り出せるように改善しました。押し込まれた余分な在庫は前工程へ戻し、あわせて出荷倉庫の製品には工程内かんばんを付けておきます。売れるとこの工程内かんばんが外れて、売れた分だけを前工程に取りに行く仕組みに改めました。

しかし、この工程内かんばんがある時に紛失し、作業がうまく回りません。欠品を起こすわけにはいかないため、かんばんを増発させていたら、鈴村さんに烈火のごとく叱られ、「探して来い」。半日探しても見つかりません。「なぜ見つからんかわかるか。見つかるまで探さんからだ」。一事が万事この調子。まさに「戦闘」でした。

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