新生活、書き出しはこのペンで
新社会人や大学生になる人は準備が忙しくなるころ。スーツの新調や引っ越しなどに加え、できれば新しく買っておきたいものがある。万年筆とボールペンだ。仕事や学業で使い続けるこれらのペンは、自分を少し大人に見せるし、使い慣れるにつれ育っていく。初めて持つのに最適な、手ごろで実用的な1本を専門家に選んでもらい、ランキングした。
私を少し大人に ともに育つ相棒
万年筆(2万円以下)の上位はパイロットなどの人気商品。いずれも書きやすさなどで「入門編として定評がある」(納富廉邦さん)。一方、ボールペン(1万5千円以下)の上位はスタイリッシュなデザインがずらり。鮮やかな色の「オフィスライン849」(1位)などは、机の上に手帳と並べるだけで華やかな雰囲気を楽しめそうだ。
思いを込める時は万年筆。書類はボールペン。使い分けするうちに自分の字も育っていく。入学や就職の記念に、好みの1本を選んではいかがだろう。
<万年筆>
手になじむ太さ、ペン先硬めで書きやすく
「万年筆とはこういうもの、と言えるお手本のような1本。初めて使うならおすすめ」(高木芳紀さん)、「THE万年筆という風格」(伊藤真美さん)。軸は黒、ダークブルー、透明など5色ある。(1)1万800円(2)143ミリ、17グラム(3)03・3538・3780
インクが長い間乾燥しにくく
世界初のノック式、普段使いに便利
青やシルバーの軸色をそろえ「若者にアピールするデザインが特徴」(北沢孝之さん)。ペン先は14金で、軸色が黒の場合、極細から太字まで5タイプ、他の色は3タイプ。「書き味がなめらかで長く使える1本」(鈴木春香さん)。(1)1万800円(2)137ミリ、18グラム(3)0120・191・167
葉巻をモチーフにした丸みのあるデザイン。ペン先はステンレスで細字など3種類。筆圧に負けず書き味はなめらかだ。「ふくよかなボディーが手になじみ、抜群の書き心地」(古屋文久さん)(1)1万7280円(2)141ミリ、32グラム(3)0120・673・152
ドイツで創業した老舗。定番「スーべレーン」シリーズのデザインを踏襲し「ブランドの魅力を手軽に感じられる」(清水茂樹さん)。ペン先はステンレスで細字、中字など。インクは吸入式。(1)1万4040円(2)125ミリ、14グラム(3)03・3836・6541
軽快でスタイリッシュ。「手に取りやすい価格ながら高級感がある」(鈴木さん)(1)5400円(2)138ミリ、31グラム(3)03・6264・9697
<ボールペン>
鉛筆のような六角軸、握りやすく
定番の「849クラシック」や色鮮やかな「ポップライン」、柄が施された「ストリートアート」など、様々なタイプがあり、自分好みの1本を選べる。デザイナーのポール・スミス氏と組んだ上位モデル「849ポールスミス」もある。(1)3240~4320円(2)130ミリ、15グラム(3)03・6804・3201
口金まで収納、ポケットの中を傷めず
窒素ガス充填、書く場所選ばず
周辺の光で潤うように光るボディーは、周囲の注目を集めそう。ペン先は回転繰り出し式。粘りの少ないインクですらすら書ける。「Zoom 505」は男性向け。アルミニウムを採用し、極太ながら軽い書き味だ。(1)1944円(Zoom 505は2160円)(2)142ミリ、25グラム(3)0120・834・198
細めのボディーで女性の手にもなじみやすい。ほどよい重さの真ちゅう製で、小さな文字もなめらかに書ける。「愛用者が多く、持ち主同士で会話が弾むことも」(菅さん)(1)1万800円(2)138ミリ、21グラム(3)0120・673・152
木の軸で、木目の美しさを楽しめるシリーズ。軸の素材はプラムとメープルの2種類ある。回転式で芯はやや太めだが、なめらかに書ける。「木のあたたかみがあり、使い込むうちに自分だけのペンになる」(伊藤さん)。(1)1万2960円(2)126ミリ、33グラム(3)03・5835・2815
存在感があり「万年筆とおそろいで持ってもいい」(納富さん)。芯は太め。(1)5400円(2)138ミリ、22グラム(3)0120・875・760
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表の見方 数字は選者の評価を点数にした。カッコ内はブランド名。(1)希望小売価格(税込み)(2)ペン先収納時の長さ、重さ(3)問い合わせ先
調査の方法 万年筆は希望小売価格(税込み)2万円以下、ボールペンは1万5000円以下を目安に、自ら「最初の1本」として購入したり、進学、就職のお祝いに贈ったりするのに適した製品を、書きやすさなども考慮して専門家10人に挙げてもらった。選者は次の通り(敬称略、五十音順)
伊藤真美(銀座・伊東屋万年筆売場)▽海老原伸子(東急ハンズ池袋店ステーショナリーコーナー)▽菅未里(文具ソムリエール)▽北沢孝之(ステイショナー「Bun2」編集長)▽清水茂樹(エイ出版社(エイは木へんに世)「趣味の文具箱」編集長)▽鈴木春香(渋谷ロフト万年筆売場チーフ)▽高木芳紀(文具祭り・文具朝活会主宰者)▽土橋正(ステーショナリーディレクター)▽納富廉邦(ライフスタイルライター)▽古屋文久(丸善丸の内本店万年筆売場長)
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