専門家オススメ 10の予防法で風邪をブロック!
今冬もインフルエンザの流行期に入り、マスク姿の人が目立つようになった。風邪を寄せ付けないためには、自分なりの予防策が大切。どれほどの効果があるかを知っておくことも欠かせない。今回のランキングは「みんなの風邪予防法」。読者から募った日経生活モニターに、心がけている予防策をアンケート調査し、医師や薬剤師、管理栄養士らが評価。効果があると思われる順にランキングした。
食べ物のチカラを盾に
予防の基本はうがい、手洗いと十分な休息。専門家からは、基本に加え食品の成分を生かした「緑茶でうがい」や「ショウガをとる」が評価された。「主食・主菜・副菜がそろう食事を日ごろからすることが大切」(管理栄養士の徳丸美沙さん)など、食の重要性を指摘する声も多かった。
風邪の予防は他の人にうつさないためでもある。とりわけ、感染力の強いインフルエンザは要注意だ。厚生労働省は国内の患者数が1月24日までの1週間に「注意報レベル」に達したと発表した。「4週間以内に大流行が発生する可能性がある」ということだ。まさに今が本番。ランキングを参考に、万全の予防策をとろう。
「のどが痛い時は緑茶でうがいをする」(50代女性)などと、予防効果を期待している読者は多かった。
専門家は効果があるとの見方でほぼ一致し、最も評価が高かった。そもそも、うがい自体に風邪予防の効果がある上、緑茶に抗菌・抗ウイルス効果があるカテキンが多く含まれるためだ。「緑茶によるうがいが、水より効果があったという研究がある」(瀬戸口靖弘さん)、「漢方では緑茶に解毒と炎症を抑える働きがあると考える。飲むだけでなくうがいにも利用するとよい」(斎藤友香理さん)。このほか、紅茶や塩を入れたぬるま湯でうがいする読者もいた。体液に近い塩水は「粘膜を刺激せずうがいできる」(川野健二さん)。こちらもよさそうだ。
「体調があやしいときは、とにかく寝る。あったかくしてゆっくり一晩寝れば、たいがい治っている」(20代女性)
睡眠不足が続くと人は抵抗力が低下し、風邪を引きやすくなる。「これは鉄則」(南雲久美子さん)、「リンパ系の免疫は睡眠中が最大になる」(川嶋朗さん)など、医師の多くが「早めの睡眠」を予防の基本と位置づけた。
「できれば『早寝早起き朝ご飯』を」(こばたてるみさん)との声もあった。独立行政法人日本スポーツ振興センターの小中学生を対象にした調査(2010年)によると、朝食の摂取率は早寝する児童生徒の方が、遅く寝る子より高かった。早めに就寝し、翌朝は消化のよいものでしっかり栄養をとろう。
「毎朝、黒砂糖入りのショウガ湯を飲む」(60代女性)
ほかにも紅茶やホットミルクに搾り汁を入れたり、ハチミツとおろしショウガでお湯割りにしたり、予防に活用している読者は多かった。専門家も効果的とみている。
ショウガには体を温める成分が豊富に含まれており、「体を温めて発汗させる作用や、せきや吐き気、おう吐を鎮める作用がある」(村上祥子さん)。ただし、「胃腸が弱っている人が多用すると胸焼けや胃炎を起こす原因にもなる」(斎藤さん)との声もあった。自身の体質やその時の体調を考慮して、上手に摂取しよう。
「果物などでビタミンCをたくさんとる」(50代女性)
体調を整える食生活の基本だが、風邪予防対策としてサプリメントや野菜で意識的にとる読者は多かった。
ビタミンの中でも、特にビタミンCは免疫力を高める効果が高いことが分かっている。ただし、「比較的短時間で体内から排出されるので、食事のたびにとるのがおすすめ」(徳丸美沙さん)。野菜ではブロッコリーやパプリカ、果物ではミカンやイチゴ、キウイなどに豊富に含まれる。なお「ビタミンAはのどや鼻などの粘膜保護に、ビタミンEは血行促進に役立つ」(こばたさん)。併せてとるようにしよう。
筋肉が増えると「免疫力が上がる」(杉本幸枝さん)。「日ごろから体力をつけ、きちんと食事をすることが大事」(宗像伸子さん)など専門家の多くが勧める。
皮膚のすぐ下に動脈が流れており「動脈血を温めることで全身が温まる」(杉本さん)。夏の風邪予防にも襟付きのシャツを着ると良いとの指摘があった。
寒い時期はつらそうだが専門家は高評価。「自律神経を活性化する」(瀬戸口さん)効果がある。体を冷やさないよう、やり方は考えよう。
「ネギに含まれるアリシンは抗ウイルス作用がある」(川嶋さん)。高熱が出た場合に効果的という指摘も。
「最も効率的な加湿法」(南雲さん)。実践する人も多い。鼻やのどが乾燥するとウイルスが入りやすくなる。
水や洗浄液を鼻から吸って出す。「奥まで洗浄しなくても効果がある」(川野さん)。花粉症予防にも効くという。
<番外編> その予防法、本当に効果あり?
・「靴下をはいて寝る」(40代男性)
「冷え性気味なら靴下をはいて寝ること自体は問題ないが、食事、運動などで体質改善することが大事」(杉本さん)
・「ワインを飲む」(50代女性)、「熱かんを飲む」(50代男性)
「アルコールの摂取は抵抗力を落とすことがある。予防を目的にたまご酒や甘酒などを飲むのは構わない」(永武毅さん)
・「肩甲骨の間のツボにカイロを貼る」(60代女性)
「東洋医学では、寒けがする風邪と熱っぽくなりのどが痛む風邪の2つがあると考える。寒けがする風邪の予防は期待できるが、熱っぽくなる風邪にはうがいの方が良い」(杉本さん)
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表の見方 数字は選者の評価を点数化。1~4位の文頭は日経生活モニターのコメント
調査の方法 12月下旬に日経生活モニターに「私の風邪予防法」を聞き、507人から回答を得た。その中から主なものを30に集約してリスト化。専門家11人に「効果がある」と思う順に、1~10位まで選んでもらった。選者は次の通り(敬称略、五十音順)
川嶋朗(東京有明医療大学教授)▽川野健二(鼻のクリニック東京)▽こばたてるみ(公認スポーツ栄養士)▽斎藤友香理(薬日本堂漢方スクール講師/薬剤師)▽杉本幸枝(キリン堂未病医療サポート室室長)▽瀬戸口靖弘(東京医科大学教授)▽徳丸美沙(スタジオ食・管理栄養士)▽永武毅(桜みちクリニック院長)▽南雲久美子(目黒西口クリニック院長)▽宗像伸子(食生活アドバイザー/ヘルスプランニング・ムナカタ主宰)▽村上祥子(料理研究家)
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