プロが太鼓判 初心者向けのトレイルラン、10コース
世はマラソンブーム。公園や街中で様々な年代の人が思い思いのペースでジョギングを楽しむ。春になったら、もっと空気のよい自然の中を走ると気持ちよさそう。そこで山道を走るトレイルランのプロランナー、石川弘樹さんと鏑木毅さんらの協力を受け、年間を通じて初心者も気軽に楽しめ、景色がよいコースを厳選し、ランキングした。
観光地周辺のコースが人気
東西とも、上位には箱根や京都など観光地の山道を利用するコースが並んだ。鏑木さんによると、トレイルランは「新しい走る感覚を味わえる。リフレッシュ効果も抜群」という。山の空気や美しい眺めを味わった後、周辺の温泉や料理を楽しむのもよいだろう。
もっとも、山道だけに安全も十分に意識したい。行く前に積雪や日没時間を必ずチェック。当日は地図や携帯電話、軽食や飲料水、天候の急変に対応できる服などを必ず持って行こう。
歩いている人たちや自然への配慮も欠かせない。むやみに走り、危険を感じさせるようなことは、決してあってはならない。人気スポットでは、ランナー有志が山道を走る際のルール作りに取り組む動きが出てきた。初心者にマナーなどを教える講習会もあるので、参加も考えたい。石川さんは「歩いてもOK。他の人に配慮しつつ、自然を感じてほしい」と話している。
<東日本>
日帰り温泉や食事どころ充実
「走力や好みに応じて様々なルートを選択できる良さがある」(岩佐幸一さん)。芦ノ湖畔のほか、「金時山を上り矢倉沢峠、塔ノ峰などを経由して箱根湯本駅に向かうコースもおすすめ」(滝川次郎さん)との声があった。
▼コース 箱根町バス停~真田浜~小杉ノ鼻~湖尻水門~湖尻峠~三国山~山伏峠~海ノ平~箱根町バス停、約23キロメートル
城山山頂の茶屋で名物なめこ汁
▼コース 京王電鉄・高尾山口駅~草戸山~三沢峠~中沢峠~大垂水峠~城山~高尾山~高尾山口駅、約18キロメートル
紅葉台から富士山の絶景
▼コース 本栖湖レストハウス~精進民宿村~東海自然歩道~鳴沢氷穴~紅葉台~西湖民宿村、約14キロメートル
奥多摩山域では「これだけ上りのないコースはめずらしい。初体験でも大丈夫」(内坂さん)。日の出山からの東京都心方面の眺めが圧巻だ。
▼コース 御岳登山鉄道・御岳山駅~日の出山~金比羅尾根~金比羅山~JR武蔵五日市駅、約13キロメートル
明るい照葉樹の森は冬も安心して走れる。乳頭山からの眺めがすばらしい。
▼コース JR田浦駅~田浦梅林~乳頭山~馬頭観音~二子山自然歩道~JR東逗子駅、約7キロメートル
<西日本>
展望台からの景観に疲れ吹き飛ぶ
▼コース JR新神戸駅~青谷登山道~天上寺跡~掬星台(摩耶山)~森林植物園東門~再度公園~二本松~北野道~JR新神戸駅、約18キロメートル
荘厳な森と古都の眺め
▼コース 叡山ケーブル・ケーブル比叡駅~北白川~銀閣寺前~大文字山火床~大文字山山頂~北白川、約10キロメートル
火山活動が生むダイナミズム
▼コース えびのエコミュージアムセンター~二湖パノラマ展望台~白鳥山~硫黄山~韓国岳~大浪池休憩所~えびのエコミュージアムセンター、約16キロメートル
北九州国定公園の平尾台は「ヒツジの群れのようなカルスト台地特有の風景」(椎山宗一郎さん)。出発点の駐車場には車で。
▼コース 吹上峠~大平山~四方台~貫山~四方台~中峠~周防台~天狗岩~貝殻山~茶ケ床~吹上峠、約15キロメートル
「崖の上から海を見下ろして走れ、スリリング」(新名健太郎さん)
▼コース JR山河内駅~白沢トレイル入口~千羽休憩所~嵐瀬休憩所~日和佐城~大浜海岸、約13キロメートル
<雪が解けたら…プロのお薦め>
◆北海道・樽前山火山特有の景観には、誰もが圧倒される。眼下に見える支笏湖の深い青色が印象的。
◆群馬・神流町エリア 落葉樹の美しい森を走る。町全体でトレイルランナーをもてなす雰囲気にあふれている。
◆北海道・旭岳周辺大雪山連峰の旭岳周辺を巡る。終始眺望の良い、本州にはない美しいフィールド。
◆長野・斑尾高原 走りやすい起伏で美しいトレイルが広がる。ブナの森がさわやか。稜線から望む絶景も楽しめる。
◇ ◇ ◇
表の見方 数字は選者の評価を点数化した。エリア・ルート名、専門家お薦めコースの都道府県。コースとおおよその距離は文末に示した。書籍は「全国トレランコースガイド」(エイ出版社、エイは木へんに世)、「全国トレイルランニングコース徹底攻略ガイド」(誠文堂新光社)、「関西トレイルランニングコースガイド」(山と渓谷社)を参考にした。
調査の方法 石川さんと鏑木さんの推薦をもと東西各12のコースを編集部でリストアップ。初心者も走りやすい、走路の楽しさや景色の良さ、近くで温泉や食、観光も楽しめる、などの観点から計10人の選者におすすめコースを東西各5位ずつ選んでもらった。選者は次の通り(敬称略、五十音順)
石川弘樹(プロトレイルランナー)▽岩佐幸一(ウェブサイト「DogsorCaravan.com」編集)▽内坂庸夫(「ターザン」トレイルランニング連載担当)▽鏑木毅(プロトレイルランナー)▽椎山宗一郎(トレラン専門店「スカイトレイル」代表)▽新名健太郎(山岳ガイド)▽高木智史(ユニバーサルフィールド社長)▽滝川次郎(パワースポーツ代表)▽細田悟(アートスポーツODBOX本店)▽山口誠(ICI石井スポーツ新潟店)
写真は東日本1位、同2位が岩佐幸一さん、同3位が鏑木毅さん、西日本2位が新名健太郎さん、同3位が「チームすぽるちば」から提供を受けた。
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