静かな休息 地元おすすめの穴場観光地、15カ所
大型連休も後半戦。人出で活気あふれる観光地に疲れたら、隠れた穴場でホッとしたい。札幌、東京、関西(大阪・京都)、福岡、沖縄本島の地元の人がすすめる穴場スポットを、旅の専門家に評価してもらい、ランキング化した。
季節の花や自然を体感
各地の上位は季節の花や自然を体感できる公園など。広大なゴミ処理場跡を緑地にした「モエレ沼公園」(札幌市)や、自然が長い年月を掛けて作り出した「等々力渓谷」(東京・世田谷)は、入場料もかからず手軽に出かけられる。関西はツツジがきれいなこの時期だけ一般公開される「蹴上浄水場」(京都市)を推す声が多かった。
200万人超の人出がある「博多どんたく港まつり」でにぎわう福岡市街から足を伸ばすなら、車で30分ほどの「糸島」(福岡県糸島市)がおすすめ。クラフト作家や芸術家の工房が増えて注目度が高まっている。沖縄は本島北部の離島「伊江島」(伊江村)、世界遺産の城跡や雄大な景色の「古宇利大橋」を抱える今帰仁村が1位に並んだ。
地元おすすめの穴場とはいえ、場所によってはアクセスに普段より時間がかかることがある。余裕を持って出かけたい。事前予約が必要な施設もあるので情報収集にも気をつけよう。
<北海道>
イサム・ノグチ設計の自然公園
彫刻家イサム・ノグチが基本設計を手掛け、約189ヘクタールの公園全体を作品と見立てている。不燃ごみなどで造成したモエレ山は高さ52メートルから市内を見渡せる。1日3~4回運転する「海の噴水」などを配置。「非常に北海道らしい『雄大な都市公園』。カフェもおすすめ」(藻谷浩介さん)。(1)入場無料(2)施設で異なる(3)札幌市街地から車で40分(4)011・790・1231
冬季五輪で使ったスキージャンプ台(標高307メートル)にリフトで上がれる展望台。(2)8時30分~18時(4)011・641・8585(大倉山総合案内所)
「チャイニーズチキンバーガー」(350円)など多彩なメニューで知られるご当地バーガー店。函館市を中心に17店。(4)0138・42・6656(ベイエリア本店)
<東京>
澄んだ空気に包まれる渓谷
多摩川水系の谷沢川が形成した東京都区部唯一の渓谷。約1キロメートルの渓谷は高さ10メートルほどの切り立った崖と雑木林が残り、夏でも冷涼な空気が満ちる。ところどころに湧水があるほか、横穴古墳や等々力不動も。崖上にはイタリア料理店などが立地する。
「東京の多様さを感じるスポット。喧噪(けんそう)を離れ、新緑の中で深呼吸」(富本一幸さん)。(3)東急大井町線・等々力(とどろき)駅徒歩2分
東京メトロ・都営地下鉄清澄白河駅を中心にした一帯はこだわりのカフェが急増中。2月に「ブルーボトルコーヒー」の1号店もできた。「都現代美術館や個性的なアトリエが多い一方で、江戸深川資料館の見学や深川七福神巡りも楽しい」(鈴木孝章さん)。(3)大手町から東京メトロで7~8分(清澄白河駅)
空襲を免れた谷中、根津、千駄木の「やねせん」には、古き良き東京の街なみが残る。
<関西>
満開のツツジをめでつつ散策
「京都でもあまり知られていない穴場」(細内律子さん)。(1)無料(2)9時~16時(入場は15時30分まで)(3)地下鉄東西線・蹴上(けあげ)駅すぐ
天神橋北詰から市営地下鉄の天神橋筋六丁目駅そばの天六まで、約600店が2.6キロメートルにわたり軒を連ねる「日本一長い」商店街。「天満の天神さん」こと大阪天満宮にお参りした後に「ご当地グルメをつまみ食いしながら歩けば、そこは朝ドラ『ごちそうさん』の世界」(井門隆夫さん)。
京都市街地のにぎわいを離れ、新緑の中、大原野神社や善峯寺などをハイキング気分で。
<福岡>
海・山の自然、クラフト作家も集まる
福岡市に隣接し、海、山の観光資源が豊富。日本の夕陽百選に選ばれた「二見ヶ浦」の夫婦岩=写真=は連休のこの時期、大しめ縄を掛け替える桜井神社の神事が知られる。山あいには白糸の滝なども。市内はクラフト作家や芸術家の移住が多く、工房やギャラリー、ショップ目当ての観光客が増加中。「産直市場『伊都菜彩』は有機栽培や無農薬栽培が盛んな糸島野菜がずらり」(岩佐十良さん)。(3)福岡市中心部から鉄道、車とも約30分(筑前前原駅、前原インターチェンジ)
博多湾に浮かぶ広さ4平方キロメートル弱の島。「100万人都市から至近距離の別世界」(富本さん)。季節の花が咲く「のこのしまアイランドパーク」は「1年中、なんらかの花に出合える花の楽園」(津田令子さん)。バーベキューもできるが、連休中は予約を。(1)1000円(のこのしまアイランドパーク)(3)姪浜渡船場から市営フェリーで10分
アサリなど潮干狩りを楽しみ、サザエ丼など海の幸に舌鼓。博多湾内を一望できる展望台も。
<沖縄>
世界遺産のグスク サンゴの海を渡る橋
(3)古宇利島は名護市街からは車で30分ほど(4)0980・56・2101(今帰仁村役場)
フェリーで30分、ユリが香る島
本部半島の沖合に浮かぶ人口4700人弱の離島。普段は1日4往復のフェリーが本島と結ぶが、6日までの「伊江島ゆり祭り」期間中は10往復に増便。浜辺での乗馬など自然の中のレジャーも楽しめる。
「美しいビーチやユリなど自然はもちろん、戦跡が残り、歴史を考えさせられる」(藤井みささん)
(1)入場無料(ゆり祭り)(3)本部港からフェリーで30分(4)0980・49・2906(伊江村商工観光課)
本島東海岸はにぎわいも控えめ。全長5キロメートル近い海中道路で島へ。
◇ ◇ ◇
表の見方 数字は専門家の評価を点数に換算したもの。(1)大人1人の入場料(2)営業時間(3)アクセス(4)電話番号。
調査の方法 マイボイスコムを通じ、大型連休中ににぎわう観光地5地域の在住者(計1256人)に「大型連休で訪れる観光客に薦めたい地元の穴場」を調査。結果を基に地域別リストを作成し、国内旅行に詳しい専門家に「大型連休中に立ち寄るのにおすすめ」な場所、施設を選んでもらった。専門家は次の通り(敬称略、五十音順)
雨宮健一(KNT-CTホールディングス 国内旅行部)▽井門隆夫(井門観光研究所代表)▽岩佐十良(雑誌「自遊人」編集長、クリエイティブ・ディレクター)▽小暮祥子(オールアバウト「家族・子連れ旅行」ガイド)▽鈴木孝章(昭文社「まっぷる」編集部)▽津田令子(トラベルキャスター)▽富本一幸(トラベルニュース編集長)▽藤井みさ(アソビュー ゲストコミュニケーション部)▽舟久保徹(JTB国内旅行企画)▽細内律子(旅行ライター)▽藻谷浩介(日本総合研究所 主席研究員)
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