賞与も出たし… 専門家イチ押しの大型テレビ
量販店のテレビ売り場で4K対応機を目にすることが増えてきた。高精細な4Kとお手ごろな2Kフルハイビジョンで悩む人も多いだろう。そこで4Kと2Kの13台を1カ所に集め、専門家に視聴してもらって品質と価格のバランスの良いお薦めを選んだ。
50型4K ■色彩豊か、画質に高い評価 テレビで唯一、衛星放送サービスの「スカパー!」の4K放送対応チューナーを内蔵しており、細密な4K放送を視聴できる。液晶パネルの背面全体に発光ダイオード(LED)バックライトを配置したパネルを採用し「明快でコントラストの良い豊かな色彩の4Kテレビ」(麻倉怜士さん)となった。「4Kの映像は立体的な表現力を感じさせる」(潮晴男さん)、「ブルーレイ・ディスク(BD)の映画ソフトを再生したときは特に魅力的」(山本浩司さん)と画質に高い評価が集まった。
「タイムシフトマシン」では地上波6チャンネルを別売りのUSBハードディスクに自動で録りだめられ、リモコンの文字表示が見やすいなど使い勝手もよい。「リモコンへの音声操作で録りだめた番組を簡単に検索でき、手軽に楽しめる」(神原サリーさん)。NTTぷらら「ひかりTV 4K」にも2015年春に対応する予定。(1)112.8×24.7×70.9センチ(2)17.5キロ(3)2014年10月(4)36万4000円(5)0120・97・9674
65型4K ■両脇にスピーカー、映像に迫力 画面正面の両脇についたスピーカーの効果で、映画やライブ映像を大迫力で楽しめる。今回のテスト機種のうち、音質で最も高い評価を得た。
画質も「BDソフトの映像の奥行き感をよく表現」(村瀬孝矢さん)し、「音質と画質のバランスが最も良い」(西田宗千佳さん)。「リモコンに『電子取説』ボタンがつき、大画面で操作方法などを確認できる」(神原さん)ほか、スマホ感覚で操作できるタッチパッドリモコンも。NTTぷらら「ひかりTV 4K」に2015年春に対応予定。(1)171.6×32×91.6センチ(2)46.6キロ(3)14年5月(4)61万5000円(5)0120・777・886
65型4K ■斜めから見ても画面鮮やか 斜めから見ても鮮やかで見やすい液晶パネルを使っている。「画質の総合力ではピカイチ。地デジ、BS、4K放送、BD再生すべてを安定した画質で楽しめる」(山本さん)と画質でトップの評価となった。「プラズマから転向し、先行するソニー、東芝についに肩を並べた」(大橋伸太郎さん)。リモコンなしで音声操作でき、放送や録画番組、インターネットからコンテンツを検索できる「マイチャンネル」の機能も。「ネット動画を見る機能が充実。音声操作も一番使いやすい」(西田さん)。(1)145.7×35.6×86.3センチ(2)52キロ(3)14年10月(4)79万4000円(5)0120・878・981
60型4K ■映画・ライブ…切り替え簡単に 「自然な画調。2K放送を高画質にするアップコンバート力も高い」(麻倉さん)。画質と音質の切り替えが簡単で「シネマやライブなどコンテンツに応じて使えて便利」(戸井田園子さん)。「ひかりTV 4K」対応。(1)136.1×36.3×90.2センチ(2)34.5キロ(3)14年6月(4)41万8000円(5)0120・001・251
42型2K ■「2K最高峰」ながら10万円切る タイムシフトマシンなど「2Kモデルでは最高峰の機能性」(本田雅一さん)を備え「たくさん録画する人には費用対効果が非常に高い。BSチャンネルの表示も使いやすい」(鴻池賢三さん)。「この機能に42型で10万円を切るとは」(神原さん)。
(1)96×17×59.9センチ(2)12キロ(3)13年11月(4)9万6000円
46型2K アクオス4Kレコーダーを使えば4K相当の表示も。「人の声が最も聞き取りやすくシニア層にもお薦め」(神原さん)。(4)14万2000円
55型2K 近距離無線通信「NFC」対応のスマホ「エクスペリア」をタッチパッドリモコンにかざせばスマホ画面をテレビに映せる。(4)21万円
49型4K 色彩豊かで視野角の広い「4Kパネルで20万円を切るのは衝撃的。近年のLGは画質面での改善も著しい」(本田さん)。(4)16万4000円
65型4K バックライトに赤色レーザーを使い微妙な赤を表す。音質でソニー4Kと並ぶ最高評価だった。ハードディスク内蔵。(4)70万円
55型2K どこから見てもきれいな広視野角のIPSパネルを採用。タッチパッドリモコンでの音声操作や「マイチャンネル」機能も。(4)17万8000円
表の見方 数字は専門家の評価の合計点数。画面インチ数、テレビのタイプ(1)スタンド付きサイズ(幅×奥行き×高さ)(2)重さ(3)発売時期(4)価格の目安(11月下旬の大手量販店のウェブ価格、消費税込み)(5)問い合わせ先電話番号
4K、通常放送もキレイに
1位の東芝4Kレグザは「今年トレンドの技術がすべて注ぎ込まれている。主流の50型でコストパフォーマンスが最も高い」(ITジャーナリストの本田雅一さん)と50型という大きさも含め、圧倒的な支持を得た。
テレビを見るときには、画面の高さの3倍の距離をとるのが目安という。2、3、9位の65型だと約2.4メートルとなり、それなりの部屋の広さが必要になる。その点、50型なら一般家庭になじみやすい。
4Kでの試験放送はまだごくわずか。それでも4Kが上位を占めたのは、2K放送を高解像度にして映し出す機能があり、通常の放送でもよりきれいな画面で見ることができるためだ。また、大画面になるほど4K画面が求められる。「フルハイビジョンの規格はブラウン管テレビの時代に50型を基本にして決まった。50型を超えると2Kでは解像度が足りない」(AV評論家の潮晴男さん)
総務省によれば2016年にはBSで4K/8K試験放送が始まる。「5~6年後には4K放送の環境が整うはずだから、今大型を買うなら2Kより4Kを選ぶほうがよい」(AV評論家の山本浩司さん)という見立てもある。とはいえ4K放送には別途アンテナがいるし、大半の4K対応テレビにはチューナーも必要。テレビが大きくなればテレビ台も含め出費はかさみがちなので、ご注意を。
春から4K本放送 チューナーが必要
2K、4Kなどの「K」が気になる人もいるだろう。Kは1000を表す単位で、フルハイビジョンはテレビ画面の横の画素数が約2千だから2K、4Kテレビは約4千だから4Kという。4Kテレビは2Kテレビの4倍の画素数で同じ映像を表現する。
今は高精密な4K放送はスカパーJSAT(東京都港区)による試験放送のみで、本放送は2015年3月からになる。視聴に必要なチューナーを積むテレビはレグザZ10Xシリーズだけで、ほかの4K対応機はアクオス4Kレコーダーかソニー4Kメディアプレーヤーを使う。NTTぷらら(東京都豊島区)が配信するビデオ・オン・デマンドサービス「ひかりTV 4K」を見るときにも対応チューナーかチューナー内蔵テレビが必要だ。
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調査の方法 主要メーカーに「40型以上で品質と値段が見合った今冬のお薦め」を4Kと2Kそれぞれで自薦してもらい、13台を日経本社に集めた。専門家が実際に見た上で画質、音質、使い勝手の面から評価し、各自10位まで選出。画質・音質は地上波、BSの各放送とブルーレイ・ディスク(BD)ソフト、4K録画番組(4Kテレビ用)を視聴して評価。BDソフトの視聴では4K出力ができるパナソニックのBDレコーダー「ディーガDMR-BZT9600」とエイム電子のHDMI分配器とHDMIケーブルを、4K録画番組ではシャープの4Kレコーダー「アクオスTU-UD1000」を使用。専門家は以下の通り(敬称略、五十音順)
麻倉怜士(デジタルメディア評論家)▽潮晴男(AV評論家)▽大橋伸太郎(AV評論家)▽神原サリー(家電コンシェルジュ)▽鴻池賢三(AV評論家)▽戸井田園子(家電コーディネーター)▽西田宗千佳(フリージャーナリスト)▽藤原陽祐(AV評論家)▽本田雅一(ITジャーナリスト)▽村瀬孝矢(AV評論家)▽山本浩司(AV評論家)
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