絶景の紅葉 日帰り入浴できる露天風呂、ベスト10
紅葉が美しい季節を迎えた。そぞろ歩きで眺める紅葉もいいが、露天風呂に入ってじっくり堪能するのはまた格別だ。温泉の専門家に、紅葉が美しく、日帰り利用ができるおすすめの露天風呂を聞いたところ、雄大な自然を感じられる温泉が上位に並んだ。
ケーブルカーで5分、絶景の谷底
「紅葉に染まった山肌を下る高揚感と、祖谷川に面した露天風呂から紅葉の壁を見上げる迫力がたまらない」(富本一幸さん)。湯船に入ると、肌に細かい泡が付く。硫黄分などミネラルが豊富で「泉質も素晴らしい」(藤田聡さん)。脱衣所は露天風呂のそばにある。JR土讃線大歩危(おおぼけ)駅からの送迎付き日帰りプラン(要予約)もある。(1)1500円(2)午前7時30分~午後5時(3)0883・75・2311(4)大歩危駅から車で30分
ムード満点、17世紀の隠れ湯
最寄り駅から山道を20分ほど歩く必要があり、秘湯ムードたっぷり。「山が深いので、紅葉の迫力度が違う」(岩佐十良さん)、「峡谷の下にある岩風呂から見上げる色付いた木々が夢のよう」(土井正和さん)。(1)650円(2)午前9時~午後4時(3)0765・62・1802(4)宇奈月温泉から黒部峡谷鉄道で黒薙駅下車、徒歩20分
テニスコート3面分の開放感
貸し切り風呂も
「赤松の湯は白濁した硫黄泉で、肌がつるつるになる」(野添ちかこさん)。当日受付のみで、予約は不可。週末は混み合う。(1)貸し切り50分1080円(2)午前11時~午後2時10分(3)0995・78・2831(4)JR日豊本線霧島神宮駅からバスで30分
天然洞窟の中に
「四万(よんまん)の病に効く」との言い伝えから名付けられた四万(しま)温泉にある室町時代から続く旅館。7つの湯があり、飲泉所もある。川沿いにあり「清流と紅葉が美しい。特に男湯は紅葉が湯面に映るよう」(西村りえさん)。(1)1730円(2)午前10時~午後3時(3)0279・64・2111(4)JR吾妻線中之条駅からバスで35分
鳳来寺山のふもと、鳳来峡沿いの宿。露天風呂が渓谷を見下ろすように張り出し、「目の前に枝葉を広げる紅葉が見事。水面(みなも)に揺れるさまも美しい」(中尾隆之さん)。日帰り利用は食事とのセットが基本で予約が必要だ。(1)昼食込み2700円~(2)午前11時~午後2時30分(3)0536・32・1211(4)JR飯田線湯谷温泉駅下車
湯原温泉の混浴風呂で川底から砂を噴き上げつつ湯が湧く。有料で女性用湯あみ着有り。(1)無料(2)24時間(3)0867・62・2526(湯原観光情報センター)(4)JR姫新線中国勝山駅からバスで35分
由布院温泉の高台にある宿。露天風呂は男女用ともに開放感がある。「赤く染まる由布岳を一望」(郡司勇さん)(1)700円(2)午前10時~午後3時(3)0977・84・2171(4)JR久大本線由布院駅から車で5分
仙台市郊外の作並(さくなみ)温泉の高級旅館。深さ130センチの立ち湯など趣の異なる4つの露天風呂がある。(1)1300円(2)午前10時~午後8時(3)022・395・2131(4)JR仙山線作並駅下車
表の見方 数字は選者の評価を点数にした。宿の所在地(1)入浴料(大人1人、税込み。入湯税別)(2)受付時間(3)電話番号(4)アクセス方法。写真は宿提供、2位のみ今秋のもの。
ゆったり 交通チェックはしっかり
1~3位はいずれも渓流沿いの露天風呂だ。川のせせらぎを聞きながら、別世界に浸ることができる。「山の奥深くにある温泉地では、紅葉の色も迫力も違う」(岩佐十良さん)
ただ、こうした温泉地は交通の便が悪い場所が多く、アクセス手段には注意が必要だ。日帰り利用の場合、帰りのバスや鉄道の時間を事前にチェックしておこう。
今回は11月でも間に合う場所を選んだため、関東以西が中心になった。専門家からは10月にピークを迎える秋田県仙北市の乳頭温泉郷を推薦する声も目立った。「黒湯温泉」「妙乃湯」「鶴の湯温泉」では乳白色の温泉と紅葉とのコントラストが楽しめるという。
葉の色づき具合は天候によって大きく変わる。最新の情報は現地に確認しよう。
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調査の方法 専門家の意見を基に紅葉が楽しめて原則予約なしで立ち寄り入浴できる温泉露天風呂57カ所を選出。東西各10位まで選んでもらった。選者は以下の通り(敬称略、五十音順)
雨宮健一(KNT-CTホールディングス国内旅行部)▽井門隆夫(井門観光研究所代表)▽岩佐十良(「自遊人」編集長)▽郡司勇(温泉研究家)▽土井正和(旅ライター)▽富本一幸(トラベルニュース編集長)▽中尾隆之(旅行作家)▽西村りえ(温泉ライター)▽野添ちかこ(温泉と宿のライター)▽藤田聡(オールアバウト「温泉」「紅葉」ガイド)▽吉武勉(日本旅行九州仕入販売センターマネージャー)
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