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一口食べればリッチに ぜいたく食パンベスト10

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NIKKEI STYLE

ぜいたくな食パンが人気だ。個店だけでなく、コンビニエンスストアや量販店も売れ筋に比べ価格が2倍以上する商品をそろえ、新たな顧客獲得につなげている。そこで専門家らに週末に食べるのにお薦めのリッチな食パンを聞いた。

1位 ブレドール「エシレ角食パン」(神奈川県葉山町) 580ポイント
 

バターの味わい豊か

 地元ではもちろん、観光客にも人気のティールーム併設のベーカリー。風味が豊かで軽やかな酸味がある発酵バター「エシレバター」を主役に仕上げた食パンだ。
 この風味にほれ込んだ橋本宗茂社長が20年前の開業時から作り続けている。たんぱく質が多い最上級の小麦粉や水、生クリームのほか、イースト菌を通常の半分以下にして酒種由来の酵母を使うなど工夫を重ねた。山型もあるが角食パンは生地の目が詰まる分味が濃くなり、香りが強くなるという。
 選者11人のうち10人が推した人気ぶりで「誰もがおいしいと思う味わい。焼くと香りが立ち、生地のしっとり感が際立つ」(君島佐和子さん)。焼かずにそのまま食べたときの評価も高く、「口当たりがなめらか。バターなどをのせずにそのまま食べたい」(片山智香子さん)。平均で1日に50斤を焼く。葉山店は地元の人気店で4斤1本を買う人も多い。各地発送は応相談。(1)1斤(2)410円(3)コレットマーレ店、colette-mare.com/guide/shop_detail.php?key=937、046・875・4501(FAX)
2位 メゾンカイザー「食パン」(東京都港区) 540ポイント
 

食味のバランスが光る

 フランス国立製パン学校の元教授、エリック・カイザー氏が扱うパンを日本で展開するブーランジェリー(パン店)。フランスの店では食パンの扱いはなく、日本発の商品としてカイザー氏と共に開発した。イースト菌を極力控え、ライ麦由来の自然発酵種や、厳選した発酵バターや粉乳、生クリームを使う。「そのままでも味があり、食べやすい」(川崎一文さん)
 「塩味、甘味、油脂のバランスが良く、トーストするとそれが生きる。どんな朝食にも合いそう」(荻山和也さん)と、主張しすぎず、料理やお酒の味を邪魔しない食べやすさが特徴だ。焼いても、焼かずに食べても風味がよく、値ごろ感もあってバランスがよい。(1)1/4サイズ(2)153円(371円)(3)近鉄あべのハルカス店、福岡天神大丸店、仙台三越店など全国23店、www.maisonkayser.co.jp/
3位 ペック「パーネ・ア・カセッタ・アラ・イングレーゼ」(イタリア) 490ポイント
 

長時間熟成で香ばしく軽やか

 イタリア・ミラノの高級食料品店、ペックの山型食パン。日本では百貨店の高島屋が同ブランドの商品を扱っており、これは日本独自の商品。少ないパン酵母で長時間かけて生地を発酵、熟成させることで、小麦本来の香りを引き出した。高さがあるパン型に入れて焼くため、大きな気泡ができザクザクと歯切れのよい食感になる。イタリアでは販売していない。
 「焼くと香ばしさが際立ち、軽やかで中はむっちりとした食感。かみしめる楽しさがある」(瀬戸理恵子さん)、「小麦の香りがよく、甘みと酸味のバランスもいい。週末のために買い置きするか、土曜日の朝に買いに行きたくなる」(西祐子さん)
 店舗販売のみ。焼きたてにこだわるため、販売は昼過ぎから。(1)1斤(2)284円(3)日本橋高島屋店、京都高島屋店など8店
4位 シニフィアン・シニフィエ「パン・ド・ミ」(東京都世田谷区) 400ポイント

乳製品使わず、独特のかみ応え

 バターや牛乳など乳製品は使わず、必要最低限の材料に絞り、白飯代わりのパンを目指した。大きな気泡が特徴。
 「断面がつややかで印象的。かみ応えがあり、かむたびに風味がふくよかに広がる」(瀬戸さん)、「和食と合いそう。トーストしてゴマペーストなど、味が強いものと合わせたい」(竹村明子さん)。全国に配送も可。(1)ハーフ(1斤)(2)500円(3)日本橋高島屋店、www.signifiantsignifie.com/
5位 レトワブール「生食パン」(兵庫県姫路市) 360ポイント

こだわりの生地、甘みとモチモチ感

 毎日8~10種類の食パンだけを焼く専門店。ほんのり甘くてキメが細かく、モチモチとした食感が楽しい。仕込みに時間がかかるため、1日に焼けるのは24斤だけ。「焼くと香りが立ち、生地のしっとり感がぐっと出てくる」(君島さん)
 3月下旬に開業予定の食パンカフェ「ルワンブール」(姫路市岡町)でも販売予定。(1)1斤(2)350円(3)www.les3boules.jp/(生食パンは取り寄せ不可)
6位 ドンク「ハードトースト」(神戸市) 340ポイント

バゲット風、ザクッとした食感

 バゲット(フランスパン)を原点とする同店が扱う食パンの中で、バゲットの内側の白い生地を好む人に向けにつくられた。ザクッと歯触りがよく、「山型パンならではのおいしさがある」(古賀充さん)、「シンプルな小麦の風味が引き立ち、モチモチしている。バターやジャムのほか、どんな食事にも合わせやすい」(稲垣智子さん)(1)1/2本(2)336円(420円)(3)全国127店、www.donq.co.jp/(ハードトーストは取り寄せ不可)
7位 ルセット「@食パン」(神奈川県鎌倉市) 330ポイント
 

材料にこだわり

 食パンの通販専門店がこだわりの材料でつくる。ふっくらとした食感が特徴だ。予約販売で現在、1カ月待ち。「高価だが上品な味。上等なバターをつけてシンプルに味わいたい」(松浦亜季さん)(1)1.5斤(2)2200円(1466円)(3)www.recette.co.jp/
7位 ポンパドウル「男爵」(横浜市) 330ポイント
 

なめらかな食感

 小麦の胚乳部の中心部分をひいた粉を使うため、キメが細かくなめらかな食感を楽しめる。「焼かずにポテトサラダや卵のサンドイッチにしてもおいしそう」(松浦さん)(1)1斤(2)283円(3)全国85店、www.pompadour.co.jp/
9位 ペリカン「食パン」(東京都台東区) 320ポイント
 

上質な味わい

 1949年の創業の食パンの有名店。「香り、味わい、食感のバランスがよく上質な味わい」(清水美穂子さん)。厚めに切って焼き、ハムなどをのせたい。購入は予約がお薦めで、1日20件だけ各地宅配も。応相談。(1)1斤(2)340円(3)www.bakerpelican.com/
10位 アトリエ・ド・マヌビッシュ「パン・ド・ミ」(東京都文京区) 310ポイント
 

耳までおいしく

 耳をおいしく食べられるように生地の発酵方法や焼き加減にこだわった。「香りがよくまろやかな口当たり」(片山さん)。店頭で買う場合も予約購入がお薦めで、各地への発送も。(1)半斤(2)179円(357円)(3)www.mannebiches.com/

 表の見方 数字は選者の評価を点数化。店舗名と本店または本社所在地。(1)購入できる最小単位(2)消費税込み価格(カッコ内は1斤当たり換算)(3)本店以外の主な店舗、店舗情報のURL(http://は省略。記事中のリンクは掲載時のものです)、FAXなど。

素材の風味を楽しむ

コンビニで人気の高級食パンなどを含めた24品を商品名を伏せて専門家らに試食してもらった結果、上位にはかみ応えがあり、素材の風味が際立っているものが並んだ。

食パンは日本で独自の進化を遂げた。英国やフランスでは小麦粉や塩、水などで生地をつくり、焼き型に蓋をせずに焼くが、日本では生地にバターや砂糖などを加えて型に蓋をして焼く。

食パンだけでも何種類も焼く専門店も増えており、味や食感もさまざま。そこで一般社団法人日本パン技術研究所(東京都江戸川区)の井上好文所長に今回の商品の特徴を焼かない状態で分類してもらった=右図参照。

ランキングに入ったかみ応えのある素朴なタイプは「料理などに合わせたい。生だとシコシコ、焼くとザクザクした食感」(井上さん)という。一方、コンビニなどが扱う高級食パンは甘めでやわらかく白飯代わりに焼かずに食べる人も多い。

余ったら冷蔵せず、1枚ずつラップで包んで冷凍する。ラップを外し、凍ったパンを温めておいたトースターに入れ、短時間で焼けばまたおいしく食べられる。食パンをかえるだけで週末の気分が盛り上がりそうだ。

  ◇  ◇  ◇  

 調査の方法 パンに詳しい編集者ら11人に協力してもらい、店舗が複数ある店、通信販売に対応している店、コンビニなどの高級食パンで4人以上が推した24品を集め、商品名を伏せて試食。週末に焼いて食べるのにお薦めの食パンを食味や値ごろ感などを含めて順位付けし選んでもらった。(敬称略、五十音順)

 稲垣智子(一般社団法人日本パンコーディネーター協会)▽荻山和也(パン・料理研究家)▽片山智香子(パン屋さんめぐりの会主宰)▽川崎一文(国際製菓専門学校製パン教授)▽君島佐和子(料理通信編集長)▽古賀充(月刊製菓製パン記者)▽清水美穂子(オールアバウトパンガイド)▽瀬戸理恵子(フードライター)▽竹村明子(パンニュース社B&C編集部)▽西祐子(デパチカドットコム主宰)▽松浦亜季(麹町カフェオーナー)

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