巡って楽しい七福神ランキング 1位は「大阪」
家内安全や健康長寿、商売繁盛など1年の福運を願う七福神巡り。専門家にお勧めを聞いたところ、東西の歴史ある七福神巡りが挙がった。
大阪を代表する繁華街、ミナミを散策しながら大阪の魅力を味わう。毎年1月10日の今宮戎(えびす)神社の十日戎(写真)が有名だ。「関西の多くの人が御利益が大きいと信じている七福神」(高木桂蔵さん)、「商売繁盛のえびす神や大黒天、弁財天の人気が高い」(久慈力さん)、「今宮戎神社は今や福娘のイベントで有名」(三条杜夫さん)
えびす/今宮戎神社、大黒天/大国主神社、毘沙門天/大乗坊(電)06・6643・4078、弁財天/法案寺、福禄寿/長久寺、寿老人/三光神社、布袋尊/四天王寺布袋堂。南海本線の今宮戎駅などを起点に徒歩3~4時間
東京最古といわれる七福神。周辺は「日暮里(ひぐらしのさと=一日中過ごしても飽きない里)」と呼ばれた。東覚寺には、自分の体の悪いところと同じところに赤い紙を貼ると病気が治るという赤紙仁王(写真下)がある。その近くにはこの地に住んだ文学者の資料を展示した田端文士村記念館も。途中のそば店には名物「七福神そば」がある。「巳年に運気が向上する弁財天を祭る上野不忍池弁天堂など古刹、名刹ばかり」(高木桂蔵さん)
弁財天/弁天堂(写真上)、大黒天/護国院(電)03・3821・3906、寿老人/長安寺、毘沙門天/天王寺、布袋尊/修性院、えびす/青雲寺、福禄寿/東覚寺。上野駅や田端駅から徒歩約3時間
室町時代に京の町衆文化の中で生まれた七福神をまつる社寺からなる。えびす神社は関西三大えびすの一つで「えべすさん」の通り名で親しまれる。各社寺で色紙に朱印を押してもらえる(写真)。「全国の七福神信仰の総本社的な存在。京都北方の守護神である毘沙門天信仰がさかん」(久慈力さん)、「千古の京の都で大みそかや正月を」(三条杜夫さん)
毘沙門天/東寺、弁財天/六波羅蜜寺(電)075・561・6980、えびす/えびす神社、寿老神/行願寺革堂、福禄寿/赤山禅院、大黒天/松崎山妙円寺、布袋尊/万福寺。近鉄京都線東寺駅などから。距離が長く、半日のバスツアーが便利
古都鎌倉から江の島まで、史跡巡りと海岸線の景観を楽しむ。江の島の裸弁天は日本三大弁財天の一つ。「潮風が気持ちよい。裸体の弁財天はインパクト抜群」(木原秀和さん)、「コースに鎌倉大仏、七里ガ浜があり、富士山も眺望できる」(久慈力さん)
旗上弁財天/鶴岡八幡宮、布袋尊/浄智寺、毘沙門天/宝戒寺、寿老人/妙隆寺、えびす/本覚寺、大黒天/長谷寺、福禄寿/御霊神社、江の島弁財天/江島神社。問い合わせは江ノ電沿線新聞社(電)0466・26・3028。北鎌倉駅から1日コース
東京スカイツリーを眺め名物の団子や桜餅を味わいながら散策できる。三囲(みめぐり)神社境内のキツネの像(写真)は目尻が下がった温和な表情が特徴で、周辺の職人たちは似た人を「みめぐりのコンコンさんみてぇだ」と言ったという。「東京人定番の人気コース」(加藤健司さん)
えびす・大黒天/三囲神社、布袋尊/弘福寺、弁財天/長命寺、寿老神/白鬚神社(電)03・3611・2750、福禄寿/向島百花園、毘沙門天/多聞寺。浅草駅などから徒歩3~4時間
東京都中央区の人形町を中心に下町情緒を味わえる。小網神社にはまゆ玉のおみくじやみみずくのお守りも。「短時間で回れるのが魅力」(木原秀和さん)
弁財天/水天宮、大黒天/松島神社、毘沙門天/末廣神社、寿老神/笠間稲荷神社、えびす/椙森(すぎのもり)神社、福禄寿・弁財天/小網神社(電)03・3668・1080、布袋尊/茶ノ木神社。地下鉄半蔵門線の水天宮前駅を起点に徒歩約1時間半
寅さん映画「男はつらいよ」で知られる帝釈天を中心に、その舞台が広がる。寅さん記念館や矢切の渡しなどと合わせて楽しめる。「帝釈天の彫刻ギャラリーは見応え十分」(木原秀和さん)
寿老人/観蔵寺、えびす/医王寺(電)03・3658・9777、大黒天/宝生院、福禄寿/万福寺、弁財天/真勝院、布袋尊/良観寺、毘沙門天/題経寺(帝釈天)。京成本線の京成高砂駅などから健脚であれば半日で回れる
神戸市内を縦断する。生田神社と湊川神社は神戸初詣の両横綱。2社の参拝客は神戸市の人口約150万人を大幅に上回る。
えびす/長田神社、大黒天/大龍寺、毘沙門天/湊川神社、弁財天/生田神社、福禄寿/須磨寺、布袋尊/天上寺、寿老人/念仏寺(電)078・904・0414。山陽電鉄の須磨寺駅などから。約6時間かかるが、途中で兵庫七福神(約1時間)も回れる。1日なら車が便利
淡路島を宝船に見立て、霊場を回る。
大黒天/八浄寺(電)0799・65・0026、えびす/万福寺、毘沙門天/覚住寺、弁財天/智禅寺、布袋尊/護国寺、福禄寿/長林寺、寿老人/宝生寺。車で4~5時間。神戸や大阪から観光バスがある
江戸の面影を残す山の手散策を楽しむ。
えびす/滝泉寺(目黒不動尊)、大黒天/大円寺、毘沙門天/覚林寺(電)03・3441・9379、弁財天/蟠龍寺、布袋尊/瑞聖寺、福禄寿・寿老人/妙円寺。東急目黒線の不動前駅から半日で回れる
巳年、弁財天にぎわいそう
七福神は鎌倉時代、漁労や商売の守り神である日本古来のえびす神の信仰に、インドから中国を経て伝わった大黒天や弁財天の信仰が加わった。室町時代に毘沙門天、福禄寿、布袋尊、寿老神が加わり、成立したといわれる。
東日本大震災の被災地では奥州仙台七福神(仙台市)、いわき七福神(福島県いわき市)が挙がり「復興支援で巡拝したい」という選者もいた。1カ所で七福神すべてにお参りできるところもある。例えば大師寺(滋賀県彦根市)の彦根一箇所七福神。境内には石像の七福神が横一列に並ぶ。
2013年は巳(み)年。蛇は古代インドで弁財天の使いといわれ、弁天様が守護する年となることから、天河大弁財天社(奈良県天川村)や宮島の大願寺(広島県廿日市市)など、有名な弁財天の人気が高まりそうだ。
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表の見方 数字は選者の評価を点数化したもの。下段に七福神をまつる社寺と事務局を務める社寺または業者の連絡先、最寄り駅、所要時間などを記載した。
調査の方法 七福神巡りに詳しい東西の専門家に、歴史の古い七福神から新設の七福神まで、楽しみながら巡れる七福神を選んでもらい、おすすめの度合いで順位をつけた。選者は次の通り(敬称略、五十音順)
板倉あつし(旅行ライター)▽岩井宏實(民俗学者)▽加藤健司(鶴岡八幡宮教学研究所所長)▽木原秀和(日本旅行経営管理部広報室)▽久慈力(ノンフィクション作家)▽小島一博(木耳社編集部)▽三条杜夫(フリーアナウンサー、放送作家、活性化講師)▽高木桂蔵(静岡県立大学名誉教授)▽月岡祐紀子(瞽女歌三味線演奏家)▽内藤勝俊(旅行愛好家)▽春野草結(巡礼ライター)
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