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相手を褒めれば、自分の気持ちも上向く PIXTA

相手を褒めれば、自分の気持ちも上向く PIXTA

落ち込みやイライラといったネガティブな気持ちのまま、行動を起こすのは難しいですよね。そんな場合に思い出してほしいのが「褒め言葉」です。人のやる気や元気は、褒め方一つで大きく変わります。人を動かす「褒め言葉」であっても、声にすればあなた自身も耳にします。

相手を心地よく笑顔にする「褒め言葉」を口にすれば、あなた自身も心地よくなり、憂鬱な気分がやわらぎます。「褒め言葉」は相手だけではなく、褒めた自分の心のエネルギーも上げるのです。

ネガテイブな気持ちのときほど、大切な人への「褒め言葉」を考えましょう。私はミスやトラブルが続いて、ネガティブな気持ちのとき、友人や仕事仲間、家族など、親しい人の顔を思い浮かべながら、その方の「いいところ探し」をして、「今度顔を合わせたら。ここを褒めよう」「●●さんのファッションセンスのよさを褒めるならば、この言葉がピッタリだ」というように「褒めポイント」や、数多ある言葉の中で、その方にマッチした「最高の褒め言葉」を見つけるようにしています。

そして、相手が目前にいると想定して、声にします。たとえば、洋服のセンスがいい友人への褒め言葉ならば「●●さんのセンスのよさに脱帽しています。どちらで買われているのか教えていただけませんか?」と言います。すると、脳は自分もセンスがよい人だと錯覚を起こし、いい気分になります。落ち込んでいた気分も、一気に高まるのです。

なお、この「褒め言葉」のポイントは「センスのよさを褒める」と同時に、その洋服を見つけ出した「情報収集力」も褒めているところにあります。よく耳にする「素敵な洋服ですね」「素敵ですね」では、あくまでも洋服そのものを褒めているのであって、お金を出せば、一流ブランドや人目をひく商品を購入することもできるでしょう。でも、「今年流行の色ですね、さすが●●さん」「もしかしたら、話題の●●ブランドですよね」と言えば、流行へのアンテナの高さを褒めることになります。

褒め言葉の3グレード 相手を最高に喜ばせる表現とは

気分が優れないときに他人の褒め言葉を考えるなんて、余裕がないなんて思わずに、ぜひ試してくださいね。大切な人への褒め言葉を考え、あれこれ声にするうちにあなた自身の憂鬱さは吹き飛んでしまいます。

ここで、相手はもとより自分の心のエネルギーを高める褒め言葉を紹介します。NGフレーズも示すので、それぞれあなたはどう感じるか声に出して確認してみてください。

同僚や上司の褒め方次第で職場のムードが変わる PIXTA

同僚や上司の褒め方次第で職場のムードが変わる PIXTA

ケース(1) 同僚や上司の発想力を褒める

・NG 「よくそんなこと、考えつきましたね」

・合格ライン 「そこまでは気づきませんでした」

・最高 「さすが●●さん、目のつけどころが違いますね」

「NG」の物言いはばかにしている印象が漂います。「そんなユニークなことを考えるなんて変わっている」とからかう感じです。「合格ライン」の表現になると、視野の広さや感性の豊かさを褒めることになります。「最高」はあまたの経験や知識に裏打ちされたフレーズですから、相手の気分はよくなり、営業や販促会議などのミーティングもスムーズに運ぶでしょう。

ケース(2) 相手の知識の豊富さや能力を褒める

・NG 「すごいですね」「素晴らしいですね」

・合格ライン 「●●さんの才能には、私など及びもつきません」

・最高 「全く知りませんでした、見習います」「全然知りませんでした。勉強になります」

「すごいですね」「素晴らしいですね」が悪いというのではありませんが、万事を「すごいですね」「素晴らしいですね」で片付けていませんか? そこに心が感じられるとは、私は思えません。同年輩の人に「私などあなたの足元にも及びません」と言うのも、避けたほうがいいでしょう。褒めたつもりが嫌みに受け取られかねません。

合格ラインのフレーズと「私などあなたの足元にも及びません」は似ているようですが、声にすると印象は異なるのが分かるはずです。相手の知識や能力を褒めるならば、ポジティブに明るく「勉強になる」「見習いたい」「学びたい」という言葉を使うといいでしょう。

客観性や第三者評価を織り込んで、満足感を刺激

ケース(3) 人柄を褒める

・NG 「人格者ですね」「器が大きいですね」

・合格ライン 「ご活躍の理由が分かりました」「人気の理由が分りました」

・最高 「○○さん(そこにいない第三者)が褒めていたのもうなずけます」「いつも○○さん(そこにいない第三者)が褒めるのも納得しました」

いきなり「人格者ですね」「器が大きいですね」と言われても、ピンとこないし、信じることはできないでしょう。しかし、「ご活躍の理由が分かりました」「人気の理由が分かりました」と言われたら、「そういう事実がある」「みんなが注目している人」というニュアンスが、伝わりますから、うれしさは隠しようもありません。

さらに第三者が褒めていたという事実を添えれば、最高の褒め言葉になります。これを私は「間接褒め」としていますが、第三者が大物や第一線で活躍している人になればなるほど、効果も高まります。

次回は、できる人は必ず押さえている話し方の基本です。3つのポイントについて解説します。お楽しみに!

「臼井流最高の話し方」は水曜更新です。次回は5月31日の予定です。

臼井由妃
 ビジネス作家、エッセイスト、講演家、経営者。熱海市観光宣伝大使としても活動中。著作は60冊を超える。最新刊は「今日からできる最高の話し方」(PHP文庫) 公式サイト http://www.usuiyuki.com/

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