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食の達人コラム

カツ丼は卵とじ? いえいえ、ソースやたれ、皿盛りも カツ丼礼賛(1)

2017/5/12

PIXTA

 料理や食材はもちろん、酒や調味料など、グルメの様々なジャンルに精通するエキスパートが、それぞれの専門分野を語る「食の達人コラム」。初回に登場していただくのは、首都圏はもちろん全国各地のカツ丼を食べ歩く俵慎一さんです。

◇  ◇  ◇

 小学生の頃から月に何度か連れて行ってもらった食堂で、毎回必ず頼んだのがカツ丼だった。

 先ごろ30数年ぶりに訪れたその食堂はすっかりきれいになり、代替わりしていた。久々の味は、記憶に刻まれたものより上品なイメージだったが、その姿はトンカツとタマネギをだしとしょうゆ、みりんなどの調味料で煮て卵でとじ、仕上げに三つ葉を乗せるというまさに「THEカツ丼」であった。

美晴(千葉県柏市)の懐かしいカツ丼

 全国各地に個性あふれるご当地グルメがあることは、まちおこしイベント「B-1グランプリ」ですっかり有名になった。なかでもやきそばは、地域ごとにかなり個性に差があることは、みなさんご存じだろう。

 ご当地ラーメンほどバリエーション豊かではないものの、富士宮やきそば、横手やきそばをはじめ、各地各様のご当地やきそばは、大いに注目を集めた。そして、その面白さに気づいた多くの人たちが、現地を訪れ、食べ歩くようになった。

富士宮やきそば(左)と横手やきそば

 ラーメンややきそばは、麺の違い、スープやソースの違い、具の違い…オリジナリティーを発揮できる要素が豊富にあり、そこに地域性が生まれやすかった。

 しかし、今回テーマに選んだカツ丼は、ごはんとトンカツが主役であり、実はバリエーションがあるとは全く思っていなかった。

 そんな思いを覆されたのが、今から12年前の2005年。

 訪れた長野県駒ケ根市は「カツ丼といえばソースカツ丼」という地域たっだ。駒ケ根のカツ丼はご飯とキャベツと特製ソースを絡めたトンカツが一体となっていた。

きらく(長野県駒ケ根市)のソースかつ丼

「カツ丼といえば卵とじ」だった私にとって、それは大きな驚きだった。

「カツ丼といえばソースカツ丼」という地域は長野の他、福島、福井、群馬にも存在する。こうした地域で卵とじのカツ丼が食べたかったら「煮カツ」あるいは「上カツ」「玉子カツ」などとわざわざ言わないと卵とじのカツ丼は出てこない。

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