ライフコラム

臼井流最高の話し方

クレーム客をひいき客に変えた!一発逆転の謝り方

2017/4/5

xiangtao / PIXTA

 間違い電話がかかってきた場合は、「(誤って発信してしまい)申し訳ない」という気持ちが相手側に少なからず働きますから、それが原因でトラブルが生じるということは少ないでしょう。しかし、たとえばお客様から「母の誕生日のプレゼントにワイングラスを注文したが、配送指定日に届かなかったうえ、届いた品が割れていた」というようなクレームの電話が入ったときには、対応を間違うと問題が大きくなります。

 こういう場合、「申し訳ございませんでした。代わりのお品をすぐにお送りします」と答えてしまいがちですが、これでは相手は納得しないでしょう。この応対では「割れたワイングラス」のことしか考えていないからです。

 お客様は「配送指定日に届かなかった」「ワイングラスが割れていた」という2つのクレームを寄せているのです。お客様の気持ちを考えれば、代わりの商品を送れば済むというものではないはずです。

 配送指定日に届かなかったということは、「誕生日プレゼントの役割」を果たせなかった可能性もあるのですから、お客様はどんな思いだったのでしょう。ワイングラスの代わりに何かを購入して、余計な出費をしたかもしれません。もし、あなたが同じような目に遭ったら、どう思うでしょうか? まずはお客様を自分だととらえましょう。

 基本は「自分が言われて嫌なことは口にしない」「自分がしてもらいたい応対は何かを考える」ということになります。

 先に挙げた例ならば、まず「大変申し訳ございませんでした。おけがなどはございませんでしたか?」などと、お客様のことを気遣いましょう。代替品の手配はいくらでもできますが、お客様の身に何かあれば、取り返しのつかないことになるからです。

■不満をしずめ、怒りをやわらげた見事な受け答え

 そのうえで「お母様の誕生日プレゼントにお選びいただいたにもかかわらず、不快な気持ちにさせてしまい、まことに申し訳ありません」とおわびしましょう。その際に「弊社はご指定の日時に間に合うようにきちんと手配したのですが、配送業者のミスですね」「ワイングラスが割れたのもそうでしょう」とか、「お客様がご指定した日時では、間に合わない可能性があったのです」などと余計な言葉を添えるのは責任転嫁。「言い訳」にしか聞こえません。

 仮に配送業者のミスだとしても、その会社を選んだのは自社でしょう。指定日時に配送が間に合わない可能性があるのならば、注文を受けた時点でお客様にその旨を連絡をして、配送日時を変えるなどの対応ができたはずです。それらに不備があって起きたことなのですから、やはり会社のミスです。

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 実は先の例は知人の会社で起きたクレームなのです。その際に対応したのはベテランの女性社員でした。彼女はお客様のことを気遣いながら「ご不快な思いをさせてしまい申し訳ございません。代わりの商品をお送りしますので、お客様のお名前とご住所、お電話番号をおうかがいできますでしょうか?」と伝えたうえで、「すぐに原因を調べますので、お手数をかけますが、ご購入いただきました商品を商品お届けの際に、配送員にお渡しいただけますようお願い致します。このたびは、ご指摘をいただき、ありがとうございました。早急に原因を究明すると同時に、今後このようなことがないように細心の注意を致します。今後ともよろしくお願い致します」と述べ、さらに「私は●●●●です」と自分の名前を伝えました。

 そして代替品に「お母様にも不快な思いをさせてしまい申し訳ありません。改めましてお誕生日おめでとうございます」と、名前を記した手書きのメッセージカードを添えたのです。以来、このお客様は何度も商品を購入してくださっているそうです。

■なかなか納得してくれないクレーム主への対応

 なかには、いくら丁寧な応対をしても納得せず、怒りが収まらないお客様もいらっしゃいます。そういう場合には「応対する人を変える」のも一案です。上司や責任者などに代わることで納得してくれる人もいます。

 「時間を変える」のも効果的な場合があります。「お客様のおっしゃることは分かりました。ご納得いただけるような方法をご提案させていただきたく、少々お時間をいただけますでしょうか?」と断り、電話を切って、時間を置き、改めてこちらから電話をします。時間を置くだけでも、冷静になる人が多いといいます。

 なお、時間を置く場合は「いつまで待たせるのか?」と尋ねる人もいるので、「午後5時までにはお電話致します」「●時まで、お待ちいただけますでしょうか?」と、あらかじめおうかがいを立てるといいでしょう。

 1本の電話応対が売り上げを左右すると言っても過言ではありません。クレーム電話を受けるのは誰しも嫌なものですが、電話応対次第でお客様に安心感や信頼感を与え、業績アップにもつながります。電話をおろそかにする会社や社員は生き残れないと考えるべきでしょう。

 次回は、「『マイナス言葉』『省エネ言葉』で嫌な人になっていませんか?」です。お楽しみに!

「臼井流最高の話し方」は水曜更新です。次回は4月12日の予定です。

臼井由妃
 ビジネス作家、エッセイスト、講演家、経営者。熱海市観光宣伝大使としても活動中。著作は60冊を超える。最新刊は「今日からできる最高の話し方」(PHP文庫)
公式サイト http://www.usuiyuki.com/

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