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スペインの漁師風おじや 魚介のうまみ、パエリア以上

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NIKKEI STYLE

「日本でスペインのおコメ料理というと、パエリアばかりが有名でしょ。でも、パエリアよりもっとおいしいコメ料理があるんです。日本ではほとんど出しているお店がないけれど、本当においしい」。

外国人講師による料理教室を展開するtadaku創業メンバーの一人、スペイン人のタオ・ロメラ・マルティネスさんにこんな話を聞いた。数あるtadakuの料理教室の中でも、そのコメ料理を教える教室は人気だという。

講師のアントニオ・フラドさんは、ホテルの厨房で働きながら休日に料理を教えている。フラドさんを訪ねると「僕が一番好きなスペインのおコメ料理です」と言いながら、これを説明してくれた。

料理の名前は「アロス・ア・バンダ」(「コメは別に」という意味)。元々は漁師料理で、売りものにならない魚などからとっただしでコメを炊いたものだ。だしをとるために使った魚介類は別皿に盛って食べたため、このような名前がついたのだという。

「魚介類のほか、だしに欠かせないのが『ニョラ』というスペインの乾燥パプリカです。味わいに深みが出るんですよ」(フラドさん)。海に面したスペイン南東部、アリカンテ県発祥の料理で、沿岸部を中心に今ではスペイン全土に広まっているそうだ。

有頭海老やらムール貝やら魚介類がふんだんに盛られた海鮮パエリアとは異なり、アロス・ア・バンダは極めてシンプル。今ではだしに使った魚介類を一緒に食べることは少ないため海老やイカなどの「具」を少し載せるそうだが、そもそもは具なしのコメ料理。その分、コメが目に見えないうまみをたっぷりと含む。

使われるスペインのコメは日本の無洗米のコシヒカリに近いという。「僕はオマール海老の頭やシャコ、ワタリガニの足などを使ったりしてだしをとるんです」とフラドさん。別日に彼のアロス・ア・バンダを食べる機会があったが、コメがだしを含んでつやつやと光り、複雑な味わいが凝集した海鮮おじやのよう。シンプルながら贅沢な味に、フグの雑炊をふと思い出した。

ちなみに「おじや」はスペイン語で鍋や煮込み料理を意味する「オジャ」と言う言葉から来たという話がある。俗説らしいが、アロス・ア・バンダを食べながら、そんな不思議な言葉の縁に思いをはせるのも楽しい。

さて、スペイン南部アンダルシア地方の街コルドバ出身だというフラドさんに「日本で恋しくなる故郷の味はなんですか?」と聞いてみた。すると「春の絶品料理があるんだけど」と言いながら、タブレットで探した写真を見せてくれた。

「これ、本当においしいんですよ」。のぞき込んだ画面に表示されていた写真は、器いっぱいに盛られたカタツムリ! スペインでは「カラコレス」と呼ばれるという。

「養殖ものは初夏まであるけど、天然カタツムリは春しか食べられないんです」。身が殻の奥に入りこまないよう、熱湯ではなく水からゆでたカタツムリを、生ハムの骨、唐辛子、シナモンスティック、ミントなどを使ったスープに浸し味を含ませる。サザエの要領で、ようじで殻からくるんと出してパクリとやるそうだ。「日本で材料が手に入ったら、ぜひ教室で教えたい」というほど魅力的な味らしい。

さらに、教えてくれたのは生チョリソー。「日本にも生チョリソーはあるけど、スペインのものに似たチョリソーはないんですか?」と聞くと、「ないですね」とフラドさんは首を横にふる。

「作りたてがおいしいので、肉屋に行ったら表面に艶があるものを選びます。ニンニクなどでマリネをした肉が使われていて、ものすごくジューシー。ハンバーグを食べているみたいな肉々しい食感があるんです。グリルで焼いた生チョリソーとオリーブオイルで揚げたフライドポテト、揚げニンニクを載せた目玉焼きを盛り合わせた料理などは、もう最高」。聞いているうちに、思わず喉がごくりと鳴った。

コルドバでは一般家庭でも時おり、何人かで集まってチョリソーを手作りしたりするらしい。「日本では食べられないのか」とがっかりしていたら、「チョリソーではないけど、これは僕が作ったんです」とフラドさんは冷蔵庫から豚の血のソーセージ「モルシーリャ」を出してきた。スペインでは、これを使ったコメ料理もあるポピュラーな食材だ。

フラドさんは「食べてみる?」と、スライスしたモルシーリャをパリっと焼いた薄いパンにのせ、とっておきのスペイン産エキストラバージンオリーブオイルをかけて出してくれた。モルシーリャは作りたてよりしばらく置いた方が、水分が飛び、味のバランスが良くなるようで、自分でもひと口食べると「うん、おいしくなってる」とフラドさん。

早速いただくと、イベリコ豚のラードやタマネギのコンフィ(オイル煮)などが入り、甘味と塩気のバランスが絶妙。スペインのバルよろしく、これをつまみにワインを飲みたくなった。

(フリーライター メレンダ千春)

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