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World Food Watch

土に埋めて醸造 世界最古、ジョージア「土器ワイン」

2017/3/16

 近年、ある国のワインが世界的な注目を浴びるようになっている。少し前までグルジアを呼ばれていた旧ソ連邦のひとつ、ジョージアのワインだ。

 きっかけは2013年、この国の伝統的なワイン作りの手法が国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録されたこと。地中に埋めたクヴェヴリという特殊な卵型の土器の甕(かめ)で発酵から貯蔵まで行うものだ。

クヴェヴリ。内側は蜜ろうでコーティングされている。大きさは地域によって異なり「ジョージア東部では数トンものワインを醸造できる大きな甕を使っています」(あるワイナリーの女性)

「地中に埋めることで温度が安定するんです。ブドウの果皮や果梗(実を支える柄)、種も一緒に甕に入れて醸造するので、ポリフェノールの一種であるタンニン成分が多いんですよ」。ジョージア大使館公使参事官アルチル・マチャヴァリアニさんは、こう説明する。

 マチャヴァリアニさんによれば、様々な遺跡からの発見により、ジョージアでは8000年前から同様の方式でワイン作りを行っていたと考えられるという。「ジョージアでワインを意味するgvino(グヴィーノ)という言葉は、wine(ワイン)などほかの国々のこのお酒を意味する言葉の語源とも言われているんです」と胸を張る。

クヴェヴリは写真のような形で地中に埋められている。圧縮したブドウを皮、梗、種と一緒に甕に入れ、発酵が終了したら蓋をして密封。その後、数カ月熟成させる

 ちなみに、マチャヴァリアニさんを取材中、なにやら耳なじみのいい言葉が連発されると思っていたら、ワインを入れる土器のピッチャーのことをジョージア語で「doki(ドキ)」と言うのだそう。発音まで日本語の「土器」にそっくりで驚きだ。

国内最大級のワイン審査会「サクラアワード 2017」で、ジョージア産ワインとして唯一最高賞であるダイヤモンド トロフィーに選ばれた、ヴァジアーニ社のクヴェヴリ製法の赤ワイン

 現在、ジョージアで作られるワインは手間がかかるクヴェヴリ製法のものだけではないが、ワイン輸出は増加傾向にあり、日本は輸出先としてトップ10に入るそう。同国では地場品種の栽培が盛んで、そのバラエティーは500種以上に及ぶという。

「実は近年のDNA鑑定により、白ワインに用いられる日本のブドウ品種の甲州はジョージア原産の品種と関係があるということが分かりました。日本のソムリエも太鼓判を押していますが、お寿司など日本食にもよく合うんですよ」(マチャヴァリアニさん)。

古くからクヴェヴリ製法でワイン作りをしてきたことで知られる、ジョージア東部カヘティ地方にあるアラヴェルディ修道院

 最も有名な産地はジョージア東部のカヘティだがワイン作りは全国的に行われている。しかも商業生産だけでなく、ほとんどの家が「自家製ワイン」を作っているのだという。さらに、クヴェヴリ製法ワインは世界各国でも人気が高まっており、フランスやイタリアなどのほか、日本でもこの製法を用いたワイン作りが始まっているそうだ。

「ジョージアにもクヴェヴリ製法のワイナリーを開いた日本女性がいるんですよ」とマチャヴァリアニさんは教えてくれた。

ほんのりオレンジ色のクヴェヴリ製法の白ワイン ワイナリーによって色合いには幅がある

 それほど多くの人が魅せられているというジョージアのワインを味わってみようと、3月初旬に幕張メッセで行われた国際・食品飲料展FOODEXを訪れた。ジョージアのワイナリーのブースを眺めていると、ほんのりオレンジ色をした変わったワインがあった。クヴェヴリ製法の白ワインだ。

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