グルメクラブ powered by 大人のレストランガイド

食の豆知識

IHでかまど炊きの味 宮沢賢治の教え受け継ぐ特A米

2017/3/8

写真提供:岩手県

「雨ニモマケズ 風ニモマケズ 雪ニモ夏ノ暑サニモマケヌ…」とうたった詩人・宮沢賢治は、故郷岩手の地で、農学校の教諭をつとめていたことでも知られる。その岩手で、宮沢賢治生誕120年の記念すべき年である2016年に、賢治の精神を受け継いで誕生した米がある。

「銀河のしずく」だ。

おにぎりに合う米(写真提供:岩手県)

「銀河のしずく」は岩手県が約10年の歳月をかけ、独自に開発した米。一般財団法人日本穀物検定協会が発表した「食味ランキング」では、参考品種ながら2年連続で最高位の特Aを受賞、一般社団法人日本おにぎり協会が実施した第1回「おにぎり食味会」で「つや姫」「ゆめぴりか」とともに「おにぎりに合う米」に選ばれた実力派だ。

「日経トレンディ」主催「米のヒット甲子園2016」でも大賞米に選ばれ、2017年2月にはJALファーストクラスの機内食でも提供された。

太陽の光と涼しい夜空がおいしいお米のもと(写真提供:岩手県)

 岩手の大地は火山灰由来のやせた土地が多く、寒冷な気候も災いし、過去に幾たびもの冷害に悩まされてきた。宮沢賢治も昭和2年に大凶作を目の当たりにして心を痛め、水田の肥料設計を指導するために農村巡りを始めたと伝わる。

 このとき賢治は農民たちに土壌改良の重要さを説いたという。稲作で最も大切なのは土。その賢治の教えは今も受け継がれている。

おいしい米はシンプルに味わいたい(写真提供:岩手県)

 土だけでなく、育てる米の品種も大切だ。冷害と病気に強く、さらに食味の良い米の開発は岩手県の悲願だった。根気強く米の品種改良を重ね、耐冷性と耐病性にすぐれた「奥羽400号」を母に、絹のような白さと食味の良さが特徴の「北陸208号」を父に交配させ、誕生したのが「銀河のしずく」だ。

ほどよくねばりがあり、かむほどに甘みが広がる(写真提供:岩手県)

 もちろん、名前の「銀河」は宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」をイメージしてつけられたものだ。

「銀河のしずく」のごはんは、透明感があり白くつややか。炊き上がったご飯の輝く白さは「おいしそう!」という気持ちを倍増させる。

 ほどよくねばりがあり、かむほどに甘みが広がる。しかも冷めても味が変わらない。しっとり、かつ軽やかな食感だから、おにぎりにもよく合う。

南部鉄器で炊いた「銀河のしずく」(写真提供:岩手県)

 さらに岩手にはごはんをおいしくする相棒が揃っている。かまどで炊いたかまどのごはんを味わったことのある人は今や少ないだろう。しかし、岩手には伝統工芸品の南部鉄器がある。

 この南部鉄器で「銀河のしずく」を炊き上げれば、昔ながらのかまど炊きの味に近い、一粒一粒にうまみがギュッとつまったつややかなご飯になる。

IHヒーターでかまど炊きの味を(写真提供:岩手県)

 しかも南部鉄器はIHヒーターでの調理もできるので、都会の台所でもかまど炊きを思わせるおいしさを味わえるのだ。

 岩手には江戸時代から伝わる直煮出しの塩・野田の塩もある。塩むすびにすれば、ごはんのほのかな甘みを贅沢にひきだしてくれるだろう。

入浜式や揚浜式と違い、希釈せずに海水を直接釜で煮て作る野田塩

 岩手県からは2017年秋には「金色の風」というプレミアム米デビューする予定だ。賢治の教えを受け継いだ本気の結晶、岩手の米から今後も目がはなせない。

(日本の旅ライター 吉野りり花)

大人のレストランガイド

グルメクラブ新着記事