ひと口サイズからハンバーグ大まで　ギョウザの大きさ

名古屋は混んでいた。地下鉄が混んでいた。地下街が混んでいた。ホテルが混んでいた。

混んでいるのは仕方がないとして、私が泊まったホテルの劣悪な環境とサービスにはフンガイを禁じ得なかった。本当にひどかったんだぞー。怒ったんだぞー。

いろいろあったひどさの一端を紹介すれば「机があるのに椅子がない」。この机、どうしろって言うんだー、とその場で叫んだのだった。

でも名古屋で食べたものは実にうまかった。名古屋駄菓子の幻の名作「たません」。溶き卵を鉄板で焼いてソースを塗り、大きな楕円形の「たこせんべい」で挟んだものである。名古屋在住の読者の方に生存場所を探していただき、無事現物に会うことができた。怒髪天娘さん、ありがとうございました。

卵とソースの相性の良さはご存じの通り。そこにたこせんべいの懐かしくもしっかりしたうまさが加わって、初めての経験なのに強い郷愁を感じたのだった。

デスク思い出し　「こんじょうやき」も美味でした。駄菓子屋のメニューながらビールが欲しくなりました。

野瀬　「根性焼き」のこと。タラのすり身で作った駄菓子「タラタラしてんじゃねーよ」を鉄板で焼いてソースをかけ、つま楊子で食べる。

名古屋近郊で食べたもうひとつの物件が「みそうどん」。赤だしの味噌汁にうどんが入ったものである。さらにかき揚げの天ぷらをのせるのが常道とされている。これは専門店の立派なメニューであって、誰かが遊びで食べているのではない。

私は「みそ中華」をいただいた。そう、赤だしの味噌汁の中から中華麺が登場する物件である。最初、言語的に頭の中で像を結ばなかった。しかし、これがサ、食べてみるとサ、恥ずかしいくらいうまいんだよ。びっくりしてしまったんだよー。

出しつゆのうまさに参って普通のきしめんも腹に収め、私としては1度に麺類を2杯も食べるという驚異的な行動に走ってしまったのだった。

途中、例の「うなバーガー」も確認し、最後はJIROMALさんのカウンターに根を生やした。

それはともかく当日は、車で案内してくださった名古屋のす～さんとわいわいやりながら酒を酌み交わしたのだった。す～さん、お世話になりました。

デスクがこの原稿をまだかまだかと待っている。私が原稿を渡さないと彼は休めないのである。デスクー、待っちょれよー。

デスクイライラ　まだ～？

本題行きます。

ギョウザには大きさ問題というのがある。

小さすぎるとショック。大きすぎても…。

どうしてこのようなサイズにしなければならなかったか不明。ダイエーの総菜売り場で扱っていたということは、これを家族で食べろということらしい。子供を驚かそうという魂胆なのだろうか。

愛知県からも。

ステーキギョウザ。どっちも焼くしなあ。間違いと言い切れないところが悔しい。

ギョウザにトマト。斬新である。だが、私はそんなもん見たことない。浜松のモヤシのように、ギョウザに同伴者が必須の地域はほかにないだろうか。

香港のギョウザ。

日本で見るギョウザを配した麺類は、だいたいギョウザをトッピングにしている。写真のように麺の下にギョウザを埋蔵したタイプのものはないのではないか。ギョウザがワンタン扱いされている好例と言えよう。

ベティー隊員にっこり　香港に駐在していたとき、このエビギョウザ麺をよく食べました。汁がしみておいしかった。懐かしいなあ。香港ではぷりぷりしたエビが入ったハーガウ（蝦餃）という蒸しギョウザが点心の定番メニューです。赤いエビが皮から透けて見えてきれいでした。

（特別編集委員　野瀬泰申）

［本稿は2000年11月から2010年3月まで掲載した「食べ物　新日本奇行」を基にしています］