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「入ってたんせ」横手のかまくら 雪と闇と光の幻想

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NIKKEI STYLE

とっぷりと日が暮れた雪国の夜。真っ白な雪がこんもりと積み上げられ、その中の小部屋から温かな光がもれる――。秋田県横手市の冬の風物詩「かまくら」は、約450年も続くという小正月の伝統行事だ。毎年2月15日と16日に催されるため、平日の開催となることが多いが、幻想的な風景を一目見ようと、期間中は近隣の宿泊施設がいずれも満室になるほどの人気を誇る。

◇   ◇   ◇

かまくらは高さ3メートルほどの竈(かまど)のかたちをした雪室で、中にしつらえた祠(ほこら)に「おしずの神さん(水神様)」をお祭りしている。

「入ってたんせ(入っていってください)」、「おがんでたんせ(水神様を拝んでください)」――。夜になると、かまくらの中から子供たちが道行く人々にこう声をかける。

そう、かまくらは眺めるものではなく、中に入って水神様にお賽銭(さいせん)をあげ、家内安全や商売繁盛、五穀豊穣(ほうじょう)を祈願するものなのだ。子供たちは客人をもてなすために甘酒やお餅をふるまう。

七輪などが置かれたかまくらの中は、意外に暖かい。米どころ、酒どころらしく、日本酒を振る舞うかまくらもあり、居心地の良さについつい長居をしてしまう。

かまくらの美しさを絶賛し、広く世に知らしめたのは、桂離宮の『再発見』で知られる戦前ドイツの建築家、ブルーノ・タウトだ。

ナチスの迫害から逃れ、1933年から3年半にわたり日本に滞在したタウトが、横手を訪れたのは1936年のこと。著書『日本美の再発見』で、その素朴で幻想的な情景を「まるで夢の国」と褒めたたえたことで、注目を集めたという。

武家屋敷のかまくらを訪ねる

かまくらの会場は主に中心市街地の西、かつて横手城の城下町だったかいわい。JR横手駅からは1.5キロメートルほど。市内を南北に流れる横手川を渡ってすぐだ。

なかでも「内町(うちまち)」と呼ばれる羽黒町の武家屋敷通りは、黒塀や植栽などが施され、いかにも武家町の趣。かまくらの明かりと相まって、冬の夜に幽玄な雰囲気をかもし出す。

北へ進み、小高い山の上にある横手公園を訪れるのもいいだろう。横手城跡に整備された公園で、天守閣を模した展望台は地元のランドマークだ。夜になるとライトアップされ、かまくらと共に幻想的な風景を楽しめる。展望台からの夜景もおすすめだ。

無数の小さなかまくらが織りなす光のページェントも美しい。横手川の河原や、羽黒町にある小学校の校庭などにミニかまくらが作られ、夜になるとろうそくがともされる。雪の白さと合わさって、雪国の夜に夢幻の世界を描き出す。

期間中、旧城下町を中心に、中心市街地のあちらこちらに100ほどのかまくらが作られる。午後5時40分ごろから午後9時ごろまで、主な会場を巡回する無料バスも運行される。横手市観光協会の高橋信行事務局長は「かまくらは会場ごとにそれぞれ趣が異なる。巡回バスを使って、多様なかまくらを楽しんでほしい」と話す。

気をつけたいのが服装と靴だ。横手の2月の最低気温の平年値はマイナス4.4度。突然雪が降ることもあるので、はっ水性のフードがついた上着がお薦めだ。雪道は踏み固められているが滑りやすい。靴底に溝を刻んだトレッキングシューズなどがいいだろう。寒さ対策を考え、足首が隠れる靴を選びたい。

豪華絢爛で勇壮な「ぼんでん」

横手の小正月はかまくらだけではない。かまくらが終わり、2月17日の朝を迎えると「ぼんでん(梵天)」の奉納だ。

ぼんでんとは、神様への奉納物として作った大きな御幣のこと。横手では、4メートルほどの竿(さお)の先に竹かごを取り付け、色鮮やかな布を垂らし、しめ縄を結ぶ。さらに竿の先端には、意匠を凝らした「頭飾り」が載せられる。その大きさと豪華絢爛(けんらん)さが横手のぼんでんの特徴で、重さは30キログラムにもなる。

ぼんでんは中心市街地から3キロメートルほど離れた山の上にある旭岡山神社に、家内安全や商売繁盛、五穀豊穣を祈願して奉納される。旭岡山神社は807年に坂上田村麻呂が戦勝を祈願して勧請、地元の鎮守として祭ったのが始まりという由緒ある神社だ。

当日は各町内や職場から数百人の若者が参加、40本ほどのぼんでんを担いで、市役所本庁舎前から神社をめざす。先陣を争って神殿めがけ、ぼんでんもろとも若衆が勢いよく突っ込み、激しく押し合う様子は壮観だ。

約300年の歴史を誇る行事で、江戸時代の火消したちの防火祈願がルーツと言われている。纏(まとい)を先頭に勇ましく、旭岡山神社に詣でたことが、現在の頭飾りの豪華さを競いながら、先陣を競って勇壮に奉納するスタイルになったという。

そろいの袢纏(はんてん)を着た若者たちが「ジョヤサッ!ジョヤサッ!」の掛け声とともに、ほら貝を吹きながら練り歩く。「かまくらの『静』と、ぼんでんの『動』のコントラストこそが、横手の雪まつりの魅力」(横手市観光協会の高橋事務局長)だ。

前日16日には、頭飾りの出来栄えを競う「ぼんでんコンクール」が市役所本庁舎前で開催される。色あでやかなぼんでんが立ち並ぶ様子は、白い雪によく映える。

往時の繁栄を伝える増田町の「内蔵」

余裕があれば、市内南部に位置する増田町まで足を延ばしてみるといい。水運に恵まれ、古くから交通の要衝として、県内有数の商業地としてにぎわった増田町は、「内蔵(うちぐら)」と呼ばれる独特な土蔵で知られる。

内蔵は、外から見れば普通の木造建築の商家だが、家の中に土蔵を設けたもの。座敷をしつらえ家主などの居室として使われていたという。商業で栄えた増田町らしく、総漆塗りなど、内装のぜいたくさは目を見張るものがある。

かつての繁栄ぶりがそのまま残されていて、その街並みは国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されている。観光用に公開されている内蔵も多いので、この機会に見学してみるのもいいだろう。

増田町へは横手駅からJR奥羽本線で10分あまりの十文字駅で下車、町の中心部まではバスまたはタクシーで10分ほど。

地元の素朴な味に舌鼓

せっかくなら、地元の味も堪能したい。

全国的な知名度を誇るのは「横手やきそば」だ。具材にひき肉を使い、付け合わせに福神漬け、そして半熟の目玉焼きを乗せるのが特徴だ。卵に箸を突き刺し、黄身を絡めながら麺を食べるのが地元流。「ふじわら」「福龍」「出端屋」などが知られている。

十文字町のラーメンもぜひ食べておきたい。魚介系のだしを使ったあっさり味の中華そばで、地元では「三角そばや」「丸竹食堂」「マルタマ」などが人気だ。薄味で、だしのうまみをしっかり味わえるスープと細麺で、いくらでも食べられそうなほど胃に優しい。ふが入るのが、東北の中華そばならではだ。

かまくらは終了翌日の17日には取り壊されてしまうが、市役所本庁舎に隣接する「かまくら館」なら、常にマイナス10度ほどに保たれた施設内で、かまくらを一年中体験できる。また、JR横手駅からバスで15分の観光総合施設「秋田ふるさと村」では19日まで、かまくらの展示を行う。

ふるさと村では、考えられるほぼすべての土産物がそろう。土産物売り場の商品総数1万点。稲庭うどんや、いぶりがっこ、地酒コーナーも充実している。

お薦めなのが果物やその加工品だ。盆地である横手の気候は、果物づくりに適していて、生産量も多い。昼夜の寒暖差が大きいため糖度が増すといい、ぶどう・スチューベンの甘さは群を抜く。瓶詰めのジュースは、強い甘みで、炭酸水などで割って飲むことをおすすめしたい。

今年のかまくら、ぼんでんなど一連の「雪まつり」は14日(火)から17日(金)まで。期間中の市内宿泊施設にはすでに満室が出始めている。横手市観光協会はホームページで空き状況を随時掲載している。早めの準備が肝要だ。

◆横手へのアクセス
東京駅から「秋田新幹線こまち」で大曲駅まで約3時間半、大曲駅から横手駅まではJR奥羽本線で約20分。
秋田空港から秋田駅まで連絡バスで約40分、秋田駅から横手駅まではJR奥羽本線で約1時間15分。
横手駅からかまくらメーン会場の横手市役所本庁舎前道路公園までは徒歩約10分。

(渡辺智哉)

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