変わりたい組織と、成長したいビジネスパーソンをガイドする

会員登録をすると、編集者が厳選した記事やセミナー案内などをメルマガでお届けしますNIKKEIリスキリング会員登録最新情報をチェック

 ファーストリテイリングは経営陣の若返りを急いでいた。

入社して2年目になると柳井正さんが「はやく社長になれ」と言い始めました。どういうわけか僕のことを評価してくれていたのは事実です。

しかし、創業期から柳井さんが頼りにしていた2人の役員が退任する考えであることが分かると、柳井さんは僕の社長就任のタイミングを「少し先にしよう」と言いました。僕の社長就任と同時に2人の役員が退任するのは柳井さんにしても本意ではないはずです。マスコミにも騒がれます。しばらく時間をおくことになりました。

 フリースブームが下火になり始めたころ、社長就任の話が再び具体化しつつあった。

2001年半ば頃だと思います。柳井さんから正式に「社長をやってほしい」と言われました。「えっ、今」。正直言ってそう思いましたよ。当時、破竹の勢いで伸びていた「ユニクロ」の売上高は急降下していました。「ブームはいつか終わる」と思ってはいましたが、その時期に社長就任の話です。

柳井さんは厳しい時だからこそ、若い経営陣に託し会社を立て直したいと考えていたようです。

しかし、それを自分ができるのか。性格は明るいほうですが、この時ばかりは暗い雰囲気を醸し出していたようです。妻には話していませんでしたが、当時は「すごく暗かった」と言っています。この話を断れば会社にいる場所はないのは明らかです。

 退社を決意する。

玉塚氏(左)の社長就任発表時に自らの副社長辞任の理由を語る沢田氏(右)

玉塚氏(左)の社長就任発表時に自らの副社長辞任の理由を語る沢田氏(右)

数カ月悩みましたが、社長を引き受ける決心ががつきません。柳井さんに「どうしてもできません」と頭を下げました。その時の柳井さんの残念そうな顔は今でも目に焼き付いています。そして「誰にする? 玉塚元一君しかいないだろう。沢田君は副会長でどうだ」と言いました。

新着記事

Follow Us
日経転職版日経ビジネススクールOFFICE PASSexcedo日経TEST

会員登録をすると、編集者が厳選した記事やセミナー案内などをメルマガでお届けしますNIKKEIリスキリング会員登録最新情報をチェック