がんづき、ぽっぽ焼き、労研饅頭…全国各地の蒸しパン
珍パン迷パンご当地パン(6)
東北地方太平洋側に広く存在するという蒸しパン「がんづき」。「がんづき」地帯は随分、広範囲なようである。仙台はくるみ入りだが、ほかの地域は何入り?
群馬に力強い味噌パンがあった。
焼きたてのあったかいのが最高ですが、私は2日ぐらいたったやつを開いてオーブントースターで焼いたのも味噌ダレが焦げて風味が出るので好きです(ほくぶやまぞいさん)
この味噌パンは実に強力である。味噌系の中では他の追随を許さないのではないだろうか。いわば田楽味噌を挟んだフランスパンである。
私はこのメールを読んだ瞬間、中央の権力に全く従わない豪族を想像した。
新潟県にもユニークなパンがある。
思い出したら食べたくなったので、「あんちょこドーナツ」買って来ました。食べる前に記念撮影(おおしまさん)
この甘甘パンも地域に根差しているようである。
中に「チャンポン」が仕込まれた「チャンパン」がどこかの地域に根差していたら私は寝込むだろうが「S.I」さんがネット上を克明に検索しても今のところ、その形跡はないらしい。よかった。
同じ新潟。
というわけで(?)、私のなじみのパンといえばヤマザキの「ロシア」「大ロシア」ですね。学生時代には、おなかの友でした……そういえば、先日上京した際に「おいなりパン」を食しました。どうも関東地区のローソンだけで、期間限定の商品だったようです。デスク、お稲荷さんは寿司じゃないからパンにもなれるんでしょうか?(あがきた@新潟さん)
おいなりパンではないが、昨日家に帰ったら「ドライカレーマンゴーパン」の食べ掛けがあった。ご飯を包んだパンを初めて食べたのだが、こういう風にしなければいけなかったのだろうか、という味であった。
ところで、プーチン大統領が喜びそうな名前のパン、私知りません。
デスク満面の笑顔で あがきた@新潟さん、ご賛同ありがとうございます。
パンはいろんなものを包む。
<さくらもちパン>あんパンのあんの代わりに桜餅(道明寺の関西風、桜の葉も)が丸のまま入ってます。季節ものです。重いです。
<おはぎパン>上に同じくおはぎ丸ごと…。
<お好み焼きパン>よくコーンマヨネーズが上にのってるパンありますよね? そんな感じで、お好み焼きがパンに半分埋まってます。ソース、かつおぶし、青のり、紅ショウガ付きです。お好み焼きの中味はほぼキャベツのみ、と思ってください。
<モダン焼きパン>上に同じくモダン焼きが半分埋まってます。お好み焼きの生地もあるので焼そばパンより全体としてはソース味が薄いように思いました。もちろん、かつお節、青のり、紅ショウガ付きです(Native関西人さん)
どうして、こういうことをしなきゃいかんのか。別々に食べたらいかんのか。
横浜にある某社のパン自販機。
で、過去の例ですとカレーうどんパン(いわゆるカレーパンタイプの揚げドーナツ内にカレー「うどん(細切れ)」が入っている)・冷やしカレーパン(冷やして食べる用のカレーパンらしいが、味の違いが当時よくわからず。肉が固くてやや大きかった記憶あり)などがかなり尖っていた気がします。
もちろん、今週記載の「焼きカレーパン」「明太子フランス」とかも昨年くらいに入ってましたし「お餅の入ったパン」もあったとうっすら記憶しています。
また、ここまでのラインナップだけでもかなり驚きなのですが、さらにすごいのは、上記「変なパン」は、基本的にすべて「ヤマザキ」が作っている、ということです。
つねに消費者の動向の斜め上を行っている感じのヤマザキって一体…(東京のterさん)
私は思う。日本の調理パンにおいてパン生地は単なる包装紙として扱われる場合があると。あるいは様々な丼ものの具をのせるご飯の扱いである。そうとでも考えないと、さくらもちパンやカレーうどんパンが理解できない。
これは名前が面白い。
土井中照著『愛媛たべものの秘密』によると、この「まんとう」が誕生したのは昭和6(1931)年。岡山の倉敷労働科学研究所の所長が考案した。夜学生の学資稼ぎと栄養補給のための代用食だった。経緯は省くが、いろいろなことがあって松山夜学校の教師だった武内成一という人が製造法を学んで松山で売るようになった。製造できなくなった戦時中も竹内氏は酵母菌を保存していたので戦後間もなく製造を再開し今日に至る。
アリコベールについてのメールが続いている。今週はパリの大原さんからいただいた。要はインゲン豆のことではあるが、おフランスでは豆ではなく緑の莢(さや)をサラダや付け合わせとして食べるのだそうである。だから「アリコベール入りのパンと言われてもフランス人にはぴんとこない」のである。
もし京都に行く機会があったら壬生坊城の「キートス」というフィンランドパンの店をのぞいてみようか。豊下製菓の豊下さんによると北欧の伝統的なライ麦パンと、馬鈴薯を混ぜ込んだパンを自家製天然酵母で焼いているという。本格派である。
デスク喜々として ではのぞいてみましょう。
(特任編集委員 野瀬泰申)
[本稿は2000年11月から2010年3月まで掲載した「食べ物 新日本奇行」を基にしています]
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