変わりたい組織と、成長したいビジネスパーソンをガイドする

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マーケティングリサーチ会社で売上高世界9位、国内首位のインテージ。
消費者の動きを浮き彫りにする情報や数字は、時代を動かす陰の立役者。
市場調査の最前線で、マーティング部を率いる女性の仕事&子育て術とは――。

――消費者や小売店のパネル調査から市場を分析

インテージは1960年の創業以来、パネル調査()を軸に市場調査というビジネスを広げてきました。インターネットが普及している現代では、生活者の消費行動のデータ収集も容易になり、ビジネスシーンでのデータ活用は一般化しています。

インテージの消費者パネル調査は、全国5万人の男女モニターを対象とする日本最大のもの。そこに4000店におよぶPOSデータ(レジで読み込む販売データ)が集まる小売店パネル調査を組み合わせた市場分析は、私たちの大きな強みです。

※対象者を固定して継続的に実施する調査のこと(2016年1月22日付 日本経済新聞朝刊より )

――組織改編しマーケティング部へ

パネル調査だけでなく、約638万人のモニターを要するインターネットリサーチをはじめ、郵送、インタビュー、会場テストなど、さまざまなデータ収集のノウハウがあります。また近年は、リサーチ力とデータ分析力などを駆使し、メーカーへのマーケティングサポート事業にも注力しています。

実は今年、全社的にマーケティングに力を入れるための大きな組織改編があり、私も新たに立ち上がった部署に異動したばかりです。40代半ばになって、これほど大きな変革が我が身に起こるとは思っていませんでした。

青天のへきれきでしたが、図体が大きいのにフレキシブルで(笑)、どんどん新しいことをやっていくのが弊社。今回の組織改編もインテージらしさの一つと、新しい部署で15人のメンバーと仕事を進め始めたところです。

――「表情解析」や「ニューロ」を手がけた開発時代

私はこれまでクライアント担当をした後、リサーチソリューションをつくり出す仕事を主にやってきました。

例えば、500カ所の顔の表情筋の動きを捉えて、テレビ広告を見ている数秒間に視聴者の心理がどこでどう変化するかをチャート化する「表情解析」や、脳の血流測定の手法を使い、言語化される前の意識下での情報を得る「ニューロリサーチ」などを手がけてきました。

ソリューション開発の仕事はとても好きでしたが、ひと通り埋め尽くした感もあったので、今回の異動はある意味いいタイミングだったようにも感じます。新体制で全社を巻き込みながら、横断的なBtoBマーケティングに取り組むことができるのは楽しいです。

――かつては転職を繰り返したジョブホッパーでした

私は転職組で、インテージに来たのは13年前、33歳の時でした。それまでは、転職を繰り返すジョブホッパーで、教育系企業、外資系コンサルタント、映画配給会社などを渡り歩き、リサーチやマーケティングという仕事に興味をもったのが20代後半。社会人大学院でMBAを取得した後、インテージへ就職しました。

それまでの職場で殺伐としたシビアな空気なども経験していたので、インテージに入社した時に「怒鳴っている人がいない。いい会社だなあ」と思ったことを覚えています(笑)。

――私のチームは仕事がハード!?

入社後は、顧客に接するフロント部門で約4年。その後はソリューション開発に従事しました。ソリューション開発時代からグループリーダーを務めていましたが、社内では「三浦さんのところは、きつい!」と噂されていたようです(笑)。

私は、事業計画に沿って仕事を進めることにコミットしますし、短期的な結果も求めます。確かに仕事はハードかもしれません。でも、会社のためになる事業にメンバーが貢献できるように……という思いがあります。そのためには、会社の方向性をしっかり見極め、メンバーにも情報を開示するように心がけます。

毎週、部会も開いていました。仕事の進捗報告だけでなく、「こんなセミナーに行ってきた」「こんな本を読みました」というように1週間で得た情報を皆が持ち寄る場です。今でも部会は隔週で開いています。新しい部署は皆、出自が違うので持ち寄る情報が面白い。コンスタントにコミュニケーションをとることは大切だと思います。

――41歳で第1子を出産

私は41歳で第1子を出産しました。出産予定日の前日まで働き、産後2カ月ほどで復帰。グループリーダーの職は外してもらいましたが、元の席に戻って仕事を続けました。

早期に仕事に復帰した理由の一つは、子育てに早いうちからいろんな人を巻き込んでしまいたかったため。子育てを手伝ってくれる人を増やしておきたかったので、早くから保育園に預けたり、シッターさんにお願いしたりしました。

インテージは、仕事と子育て、介護などを両立しやすいと思います。勤務時間はフレックスですし、在宅勤務も可能です。皆それぞれのライフステージに合わせて様々なスタイルで働いています。誰にとっても辞める理由がない会社になろうとしています。

――子育て完全分担制で得られる朝の自由時間

我が家の子育ては分担制で、朝は夫、夜は私が担当です。朝のお見送りはもちろん、朝食の用意まで夫に任せることも。その代わり、夜は午後7時に会社を出て保育園にお迎えに行き、寝るまで全力で子どもとの時間を楽しみます。

この分担制のおかげで、私は朝が自由になります。毎朝4時半ごろには起きて、朝の時間をフル活用します。仕事がたまっていれば始発で家を出ることもあります。カフェでコーヒーを飲みながら仕事の予定を立てたり、子どもの給食のメニューをチェックしてなごんだり。この朝の自由時間は、欠かせません。

――成長欲を満たしてくれる好環境で、進化し続ける

私は「もったいながり」で、自分が勉強したことや続けてきたことが途切れたり失われたりするのが嫌ですし、できる限りいろんなことを並行して詰め込みたいと思うタイプ。仕事や子育ての傍ら、区民オーケストラに参加したり(現在は一時休団中)、現在も社会人大学院のDBA(経営学博士)コースで学んだりしています。どこまで自分がやりこなせるのか、チャレンジ中です(笑)。

「新しもの好きで、挑戦好き」でもある私に、今の仕事は合っていると思います。メーカーの立場で一つのブランドに思いを込めていくのもすてきですが、私はいろんな業界をいろんな立場で知り、褒められたり怒られたりしながら、進化し続けたい。自分で経験したい、「百聞は一見にしかず」と考える経験至上主義。データもあるし、お客さんの声も聞ける今の環境は、私の成長欲を満たしてくれています。

三浦ふみさん(みうら・ふみ)
インテージ マーケティング部部長/チーフアナリスト
外資系コンサルタントや映画配給会社などを経験した後、MBAを取得。2003年、インテージに入社。顧客フロント、ソリューション開発を経て、16年からマーケティング部にて現職。一児の母。広島県生まれ。

●取材後記

秋葉原の街の中心に立つインテージ本社ビル。エントランスや会議室に飾られたイラストが印象的でした。三浦さんの仕事の相棒は、パソコンとポケットがいっぱいある小さなかばん。「このかばんは社内を移動する時にも手放さず、保育園からの連絡などにすぐ対応できるよう会議の席でも一緒です」。パソコンに貼られたシールの猫は、ウェブアンケートモニターのキャラクター「キューモット」。肩にセーターをかけている敏腕プロデューサーだそうです(笑)。「このほかにも、マーケティングリサーチのいろはを学べる漫画もウェブで公開しています」とのこと。数字やグラフが行き交うビジネスの現場で顔をのぞかせるかわいいイラストたち。ビジュアルの力は大きいですね。

インテージのホームページ http://www.intage.co.jp

[2016年10月6日公開のクラブニッキィの記事を再構成]

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