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「虎の穴」 知らない世代も…

2008/10/24

 「虎の穴」という言葉を知っていますか。すぐに意味や由来を答えられる人もいると思いますが、世代によってはなじみのない場合もあります。辞書にも見られない表現だけに、使い方に工夫が必要ではないでしょうか。

 「虎の穴」は「厳しい訓練を課す場」という意味でよく使われます。最近では北京五輪関連で、代表選手の強化施設であるナショナルトレーニングセンターなどを「虎の穴」と呼ぶ記事が見られました。この「虎の穴」という表現、定着したようにも見えますが、世代によっては意味が分からない人も少なくないのではないでしょうか。

 「虎の穴」は約40年前に大ヒットした梶原一騎、辻なおき両氏のプロレス漫画「タイガーマスク」に登場したことから一般に使われるようになった言葉だと考えられます。作品中の、過酷な訓練で悪役覆面レスラーを育てる組織「とらの穴」が由来となったようです。現在ではスポーツに限らず、広く人材養成の場などを比喩的に呼んだり、「○○虎の穴」といった名称にしたりすることがあります。

 子供のころ「タイガーマスク」を読んだ世代や、プロレスファンには「虎の穴」は分かりやすい表現だと思います。一方、他の世代やプロレスに関心のない人にはなじみの薄いものではないでしょうか。主だった国語辞典にも載っていないので、意味やイメージが正確に伝わらないことも考えられます。(敦)

[日経ネットPlus2008年10月24日掲載]

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