クリームコロッケに淡色ラガー 不快さを逆手にとる
料理に合わせてビールを選ぶ(5)
料理が不快に感じ香りを強くすることも
ビールにはいくつかのオフフレーバー「強すぎると不快に感じる香り」が含まれていることがあり、例えば、淡色のラガービールに多くみられるDMSというオフフレーバーは"クリームコーンのような香り"と表現され、ペールエールやボヘミアンスタイル・ピルスナーにみられるダイアセチルというオフフレーバーは"バターやバタースコッチのような香り"と言われます。
もし、淡色のラガースタイルのビールにコーンを煮込んだ料理、ペールエールやボヘミアンスタイル・ピルスナーのビールにバターをふんだんに使った料理を合わせるとどうなるでしょう? コーンやバターの味が強くなりすぎて、不快に感じることになります。このような組み合わせは避けたいものです。
しかし、このオフフレーバーも逆手にとることはできます。誰にでもはっきりと感じるオフフレーバーは論外ですが、プロの醸造家やビールの評論家でないと感じることができない低い閾値のDMSならば"コーンが入っているとおいしい料理"の"コーンが入っていないバージョン"を合わせれば、問題が解消できる場合があります。
淡色ラガーにクリームコロッケが合う理由
具体例としては、クリームコロッケと淡色ラガーの組み合わせです。クリームコロッケはコーンが入っていなくても美味しいですが、コーンが入ればまた新しい味わいとなります。クリームコロッケとコーンは相性がいいということです。そのうえ、淡色のラガーは、麦芽の風味がコロッケの衣のサクサクとしたこうばしさと相性がいいですし、シャープでスムーズな喉通りはクリーミーな舌触りとマッチします。とても好ましいペアリングと言えます。
ダイアセチルの場合は、ジャガイモと合わせると効果が表れます。ジャガイモはバターととても相性の良い食材ですから、フライドポテトや粉ふきいもなど"バターを使わないポテト料理"にペールエールやボヘミアンスタイル・ピルスナーを合わせることは良いアイデアだと言えます。
[日経プレミアシリーズ「ビールはゆっくり飲みなさい」(日本経済新聞出版社)から抜粋]
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