島の味、生演奏…戦後が残る繁華街で昭和の沖縄に酔う
沖縄・那覇で食の日常を探る(2)
那覇空港と首里城を結ぶゆいレールの中間駅・安里を下りると、そこには「昭和のアーケード街」が広がっている。
栄町市場商店街は、かつて那覇市の中心街として栄えた場所。しかし、その後さびれてしまい、第一牧志公設市場のような賑わいはない。しかし、さびれてしまったがゆえに、戦後復興時のたたずまいが、今でも残されている。
まずは老舗の沖縄料理店で地元の味をいただく。
海ぶどう。グリーンキャビアとも呼ばれ、ぷちぷちとした食感がたまらない。三杯酢をつけていただく。
島ラッキョウ。まずは浅漬けにかつお節をかけて。続いててんぷらも登場。あっさり味と揚げ物、どちらもおいしい、魅力的な食材だ。
沖縄といえばニガウリ、ゴーヤー。定番のゴーヤーチャンプルーをいただく。ほんのり苦みと島豆腐の歯ごたえがたまらない。
肉料理ではミミガーのさしみ。豚の耳だ。軟骨のコリコリした食感もまたおいしい。
ラフテーは、いわゆる豚の角煮。箸ですっと切れるまで煮込まれていて、程よく脂が落ちた脂身の甘さがたまらない。
スーチキは、第一牧志公設市場で見かけた塩豚を湯がいて塩抜きしたもの。塩で身が締まった歯ごたえと、ちょっとしょっぱい味で千切りキャベツに合う。
お腹が膨らんで店を出ると、陽もとっぷりと暮れて「昭和のアーケード」はけっこうな薄暗さ。しかし、狭いアーケードを屋根代わりに、細い路地に椅子とテーブルを出して、多くの人たちが夜のひとときを楽しんでいる。
腹ごなしに、ショットバーでウイスキーを。はす向かいは、惣菜店から転じた点心のお店だ。小籠包が人気だそうで、多くの客でにぎわっている。
どちらの店もオープンスペース。ウイスキーの香りを楽しもうとすると、小籠包のいい香りが漂ってきて、それを邪魔する。
狭い路地をさらに進むと、生演奏が聞こえてくる。ガラス戸を開け放った店の一角ではライブが行われていた。音楽の盛んな沖縄だけに、演奏の質は高い。店の片隅では、女性がノリノリだ。
防音なんてない。ライブチャージだってない。演奏が終わると店の中をざるが回ってきて、音楽を楽しんだ対価を支払う。投げ銭ライブだ。
そして最後はスナックで、泡盛のコーヒー割りを。沖縄で人気の飲み方だそうだ。
リゾートホテルでは味わえない「普段着の沖縄」を満喫した。
(渡辺智哉)
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