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不器用だから続けられた 大空祐飛さん飛躍の秘訣

元宝塚・宙組トップスターに聞く

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NIKKEI STYLE

 昨年7月に宝塚歌劇団を退団した元宙組トップスター、大空祐飛さん。今秋には唐十郎作、蜷川幸雄演出の「唐版 滝の白糸」(10月8日~、東京・渋谷のシアターコクーンほか)で女性役・お甲を演じる。これまでいかにキャリアを積み重ね、壁を乗り越えてきたかを聞いた。

――宝塚入団は1992年で、トップ就任は2009年。17年もの間、努力を続けてこられた秘訣はなんでしょう。

私自身が不器用なことでしょうか。簡単にできてしまっていたら続かなかったと思います。なかなか納得がいく舞台にならないということ、器用にできないことが続いた理由ですかね。常に舞台に立っているなかで、日々クリアしたい課題がありますし、舞台人としてどんどん追求していきたいことがある。課題をひとつクリアすると次が出てくるというように、終わりのない追求の日々でした。

――辞めたいと思ったことは?

うーん、なかったかもしれない。そんなことを考える余裕もなかったというか。一度はそう思うことがあると聞くんですが……。例えばあまりにもうまくいかなくて、「辞めたいな」と思ったとしても、そういう時こそ辞められない、と自分で分かっていたので、本当の意味で辞めたいと思ったことはありませんでしたね。

――いつかトップになりたいというお気持ちはあったんですか。

なかったんですね、私。それがよくなかったと思うんですけど。やりたい役や作品はあるんですけど、ポジションというものへの憧れはなくて。思う存分自分のやりたい芝居をするには、主演でなくてはいけないと後付けで考えるようになりました。

――現役時代からお芝居への志向が強かったのですか。

私が最初に入った組は月組で、「芝居の月組」といわれていたんです。お芝居のうまい先輩がたくさんいらっしゃいました。スターさんとは別に、脇をかためる方々の演技力がすばらしかったんです。すると、「きちんと芝居しないと」という空気にもなりますし、私にとってはとても厳しい環境で育ったのがよかったと思います。

――2009年、花組から宙組の男役トップスターに就任されました。苦労した点は?

私は周りにとっても恵まれたので、苦労はなかったと言っていいほどです。組長、副組長という先輩方の強いサポートもありましたし、組子(下級生)はピラミッドを作って主演を支えようとする熱意がありました。宝塚の良いところです。お互いの信頼関係が深まって固まってくると、みんなで力を合わせれば何でもできるという状況です。思い返すと、環境に恵まれたと思います。すばらしいチームでした。

――トップになったことで意識したことがあれば教えてください。

私は(花組から宙組へ)いきなり入ってきて、トップに立つという特殊なケースだったんです。それまでずっと一緒にやってきて、トップになるのとは条件が違うと思ったので、私を知ってもらうことから始めました。わりと自分を開放していないタイプの人間だったんですが、こちらが心を開けば向こうも開いてくれるだろう、と思って自分から心を開くようにしました。

みんな、私の背中を見てるんですね。だからいつ見られても恥ずかしくない仕事をしようと思っていました。ほかの組から来てみっともないところは見せられないという思いもありましたし、関係が全くないところから始まっているので、絶対に信頼を裏切ってはけないと思いました。ほかから来たことで組への愛情が薄いと思われてもいけない。私は「クール」と表現されることが多かったんですが、まず私が変わらないとみんなにも変わってもらえないだろう、と。「ええかっこっしい」なところは全部捨てて、真っすぐな気持ちをぶつけましたね。「私はこんな人間です、そしてこれだけ舞台に情熱を持っているので、みなさんついてきてください」ということをなるべく心を開いてみせるようにしていました。それを皆さんも受け止めてくださった。

――退団を決意されたのはどういう心境だったのでしょうか。

トップになったらいずれ引退するのは分かっていることなので、自分が一番脂ののっているときに退団すべきだと思っていました。もちろん追求すべき部分はいくらでもあるし、完成はないと思うんですけど、男役である大空祐飛像が私の中で確立したときに、「あ、ひとり新しい人間が生まれたな」と思ったんですね。納得がいったので退団しようと思いました。

――10月には退団後初の演劇公演「唐版 滝の白糸」が控えています。

去年、退団後に蜷川幸雄さんとお話する機会があったんです。「今まで男役をやってきて、今後どうするか悩んでいる」と正直に話しました。その時に「滝の白糸」という作品の名前を出されて、「これまでと全然違うものをやったら良いチャレンジになるんじゃないか」とアドバイスをいただいて。それですぐに「滝の白糸」の脚本を読みました。そしたらお甲という役がとてもすてきで。正直に言うと、お芝居は好きだけど、本当にやりたいと思っているのかどうか、退団後は分からなかったんですね。でも、この作品、この役で舞台に立ってみたいと思えたんですよね。ぜひ「やらせていただきたい」という思いを伝えたところ、やってくださる運びになって、私が芝居を続けていくきっかけになりました。

――唐十郎さんの脚本のどこに魅力を感じましたか。

あのね、ものすごく興奮したんです、読んでいて。後半はスペクタクルというか、お甲が出てから水芸を見せるラストシーンまで高揚感のあるお芝居なんですね。日常的な、リアルなお芝居とは違うんですよ。宝塚とはまったく反対のイメージもあり、少し通じるところもある。180度違うファンタジー同士というか、面白いつながりも感じる。せりふは難しいけれどよいチャレンジになると思いました。

――女性役にちゅうちょはありませんでしたか。

今は全くないです。最初にお話を進めていく段階では本当に大丈夫だろうかという思いはあった。でもそのために1年、期間をあけたので、その間に覚悟が固まっていきました。何事も新しいことに飛び込んでいくときに、ちゅうちょはあると思いますが、思い切って飛んでしまうと、大丈夫だったということもありますから。

――今後、どういう人生を過ごしていきたいと思っていますか。

人間としても、舞台人としてもまだまだ未熟だと思うので、いろんな意味で成長してきたいです。舞台の仕事や、それ以外の仕事をするにしてもすべて自分の勉強の場ですし、引き出しになると思う。どんな体験をしてもちゃんと変わり続ける人間でいたいと思います。

――このほど、女性の社会参画を応援する「日経ウーマノミクス・プロジェクト」のサポーターに就任されました。サポーターの一人として、同じ働く女性にメッセージをお願いします。

私は宝塚という世界しか知らないでやってきたので、言えることは少ないかもしれませんが、ひとつ言えるのは、自分の性別を仕事には持ち込まずに本当の仕事をしていけば女性・男性関係なく結果を出せるということ。抱えている条件はそれぞれです。女性の強さや弱さが、時によって自分のハンディをフォローするために使われることもあると思う。悪い意味での「女性だから」という考えは捨てて、仕事をしていくということがすてきなんじゃないでしょうか。

私は男役をやっていたので、男性脳と女性脳の違いは何か、すごく考えたんです。男性と女性の演出家では見方や作り方がどう違うかを見ていました。人それぞれの個性もありますが、男性は空間を立体的に見る。女性は平面的にとらえる代わりに、役者の魅力に自分の気持ちが添っていく。日本女性って「添い遂げる」とか「添う」っていうころがあるじゃないですか。それが役に立つ時と、少し距離をおいて、可能性を引き出すという男性的な部分が大事な時がある。後輩を育成する時や大勢を動かす時に、一人ひとりにこまごま心を割かないで大きく団体を見る。でも、気付いたときにはそれぞれの気持ちに添って話をきいてあげる。男性と女性、両方できると2倍おいしいんじゃないでしょうか。脳としては両性具有、というのがどの仕事にも役立つと思います。(聞き手は文化部 関優子)

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