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相続トラブル百科

3カ月以内に決断 相続放棄は待ってくれない 相続トラブル百科 実践編第60回

2013/7/26

 故人が抱えていた借金の返済や連帯保証などは、そのまま何もしないでおくと、妻や子どもなどの相続人に引き継がれるというのが原則です。もし故人のすべての債務を免れたいのであれば、3カ月以内に「相続放棄」という手続きを裁判所に対して行う必要があるといえるでしょう。この手続きを行うと、プラスの財産の承継もすべてあきらめるかわりに、マイナスの負債を引き継がなくても済む可能性が生まれてくることになります。

 前回の『意外に短い「相続放棄」までの猶予期間』では、この相続放棄の手続きについて、期限の設定などの概要を簡単に確認してきました。相続放棄には、3カ月という期間のリミットが存在しているのです。引き続き今回は、そのままでは借金を引き継がなければならないかもしれない相続人の立場を中心に、期限3カ月までに何を判断することが求められるのか、簡潔にみていきたいと思います。

 もちろん、この問題についての究極の回答は、非常にシンプルなものです。借入金などのマイナスの負債と、預貯金などのプラスの財産とをてんびんにかけてみて、故人の「負の遺産」が大きければ相続放棄を検討すべきだろうし、逆にプラスが大きければ相続放棄をしないほうがよいだろう、ということです。当たり前といえば当たり前の話で、この論理自体はまったく難しいものではありません。

 しかし実際には、これらを判断することはそう簡単とはいえないかもしれません。まず最初の前提として、遺族が死亡後すぐに遺産の整理や事務処理に専念するのが難しい、という現実的な制約があることを忘れるべきではないでしょう。

 近しい家族が亡くなった前後ですから、喪も明けないうちからすぐに遺産分けの手続きとはならない場合が一般的であることが多いのです。遺産の把握に入る前に、お通夜やお葬式などの故人を悼むセレモニーとその準備があり、とりいそぎ必要となる各種の死亡の届け出などの手続きがあり、まずはそちらが優先されるというケースの方が大半でしょう。そうなれば、例えば四十九日の喪が明けてから遺産の整理に取りかかるとするなら、相続放棄の期限3カ月のうち、もはや半分以上が経過してからようやくスタートする、といったことにもなりかねません。残された時間はなかなかタイトです。

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