マネー研究所

カリスマの直言

TPP交渉難航も元気な民間企業が救い(渋沢健) コモンズ投信会長

2014/3/9

「TPP交渉には参加している各国のリーダーの的確な判断に基づいた決断力と説明力が不可欠だ」

 環太平洋経済連携協定(TPP)交渉が難航している。去年の夏頃にお会いした関係者は、年末までに一気に合意を大筋に固めたいという意気込みを示していた。年を超えれば、交渉がずるずると長引いてしまうと懸念していたからだ。ところが、昨年10月上旬にインドネシアで開催されたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に、予算不成立など与野党対立をめぐる米国内情勢の対応に迫られたオバマ大統領が欠席した頃から雲行きが怪しくなった。

 もちろん、政治家が経済外交政策より国内情勢を優先することは、どの国でも常だ。また、民主主義という社会制度においては声を上げない多数より声が大きい少数の方が(票につながる)影響力がある。このタイミングを待ってましたとばかりに日本国内の反対勢力の声と勢いが増した一方、TPP交渉が進まない失望が株式市場の参加者から聞こえてくるようになった。TPPは日本の新陳代謝を促進する構造改革と成長戦略の方向性を示す国策だ。交渉の合意の期待感が薄れてきた失望は、少なからず、株式市場の年初からの売り材料になったであろう。

 TPPとは注目される関税撤廃を目的とする物品市場アクセスだけでなく、知的財産、政府調達、サービス、電子取引、投資、労働、紛争解決など21分野に渡る包括的な協定だ。また、守秘義務の合意で交渉文書は協定発効後4年間は公開できないとされるが、国の間の条約なので、最終的には国会や議会の承認が必要だ。それも、二国間の交渉に留まらず、多国間の同意がいる。このような複雑な建て付けになっているからこそ、交渉に参加している各国のリーダーの的確な判断に基づいた決断力と説明力が不可欠だ。

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