WOMAN SMART

朝・夕刊の「W」

「らしさ」が強み 共感・協調、経験糧に Wの未来 しなやかに駆ける

2014/2/22

 「今日も無事故で気を付けて」とハイタッチ。佐川急便の南福岡店長、大西由希子(37)は毎朝駐車場で、集配に出る約50人のトラック運転手全員と交わす。「スキンシップは仲間意識を高める効果があると聞いたから」。昨年6月に就任して以来の恒例行事だ。

部下と打ち合わせをする佐川急便の大西店長(福岡市南区)

 運転手からすれば店長は声をかけるのもはばかられる、上下関係に厳しい男社会。軽トラック運転手からたたき上げの大西も、そこで16年働いてきた。「男と女は違う。トップダウンの命令ではなく、気配りと協調性で束ねたい」

営業所苦情減る

 同社を傘下に持つSGホールディングス。ここ3年で女性を約3千5百人増やし社員の約25%にした。「対応がいい」「気遣いが細やか」と顧客の評判も上々。女性中心に切り替えた営業所では苦情が減った。「女性らしさが新風を吹き込んでいる」(人事部)

 昨年11月に日本経済新聞社が20~50代の男女千人に聞いた調査では57%が「仕事上で男女差を感じる」と回答。女性が上回っているものとして、細やかな配慮やコミュニケーション能力、協調性などが挙がった。

 「どうして男性は取引額が小さい顧客を後回しにするの?」。2月上旬の平日夜、東京都内の会議室で金融機関や化学メーカーなど別々の会社の女性営業職7人が悩みを共有した。ネットワーク「営業部女子課」を主催する人材組織コンサルタントの太田彩子(38)は元リクルート営業職。当時から男女の営業手法の違いが気になった。

時間かけ信頼

 男性は期限を決めて顧客を一気に攻略。女性はじっくり話を聞き顧客の利益も考える。時間はかかるが一旦信頼関係を築くと次々契約を取り、中長期的な成績は同じ。「共感性や協調性の高さなどが女性の武器。男性をまねなくても結果は出せる」と太田は話す。

 山科裕子(50)は今年1月、オリックスの女性初の執行役員に就いた。法令順守担当で、女性の資質が生きると感じる。率直な発言は山科のセールスポイント。課長時代、部下のパートの時給を巡り「これが相場」と渋る人事部相手に能力に見合った待遇を勝ち取った。「おかしいところを女性は黙っていられない」

 もっとも利点ばかりでもない。行動経済学では「女性はリスクを避けたがる」「男性は自信過剰で競争を好む」といった性差があるとされる。大阪大教授の大竹文雄は「男性の自信過剰傾向が投資や挑戦を促し、革新的な商品やサービスを生み出してきた側面もある」と指摘する。

 そもそも「らしさ」の定義は難しい。個人差もあるし、性別で固定されるものでもない。紙おむつ「パンパース」を開きやすく改良したのは育児休業中に使いにくいと感じた男性社員。ミサワホームの家事や子育てしやすいという住宅も共働き男性社員の提案だ。「らしさ」と混同しがちな「経験の違い」が強みになることもある。

 これまで来た道と違ったとしても、押し付けられる「らしさ」ではなく素直に優れた面を生かす道が、さらなる高みにつながる。(敬称略)

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