MONO TRENDY

報道カメラマンのiPhone撮影塾

iPhoneとイヤホンで夜景をきれいに撮る

2013/7/2

 いつも見慣れた景色が、ちょっとした撮影の工夫で見違える風景写真に――。iPhone(アイフォーン)での撮影法のひとつに「長時間露光」というテクニックがある。言い換えればスローシャッター。暗い風景でも美しく明るい写真になるよう撮るときの常とう手段だ。通常はある瞬間を切り取り被写体の動きをピタッと止めるiPhoneカメラでの撮影だが、あえてスローにして被写体を流し続ければ、ひと味違った写真表現もできる。今回は、「肉眼では見えない光景」を写真で表現するスローシャッターの世界を紹介しよう。

しっかりiPhoneを固定していれば工場夜景もこんな感じに。「KitCam」を使用するとシャッタースピードを1秒まで伸ばせる(川崎市)【ISO320、f:2.4、1秒】

必須アイテムは三脚とイヤホン

 風景撮影の敵は何といっても「ぶれ」だ。せっかく美しい景色に出合ってカメラに収めても、ぶれているとがっかりさせられる。特に夜景の撮影ではシャッター時間が長くなるため、「ぶれ」に悩まされることがよくあるはずだ。

 写真の世界では一般的にいわれることだが、レンズの焦点距離の逆数より遅いシャッタースピードで撮影するとぶれやすくなる。iPhoneで言えば焦点距離は33ミリなので、1/33秒より遅いとぶれてしまうのだ。実際、夜景にiPhoneを向けると、多くの場合、自動的に遅いシャッタースピードになるのが分かる。

フレキシブルな三脚を使えば、金網にからめて固定できる。イヤホンをつないで音量ボタンを押すことでぶれずに済む

 そこで活用したいのが、三脚とイヤホン。もちろん三脚はiPhoneを固定するためのものだ。ではイヤホンは?

 実は、iPhone付属のイヤホンは、コードの途中に付いている音量調節ボタンがシャッターボタンになっているのだ。通常はiPhoneの画面に表示されるシャッターボタンを押してシャッターを切るが、イヤホンを使えば画面に触れずに撮影できるので「ぶれ」を防ぐことができる。イヤホンをつないだiPhoneを三脚で固定し、音量調節ボタンを押して撮る。これがiPhoneでの風景撮影スタイルだ。

 今回は川崎市にある工業地帯を夜に訪れ、この撮影法を実践した。写真のざらつき(ノイズ)が気になるのであれば、撮影アプリ「Kit Cam」(有料)を使ってみるといい。iPhoneの標準カメラアプリは、シャッタースピードが1/15秒より遅くできないため、写真を明るくしようと自動的に高感度撮影になってしまう。これがノイズを引き起こす原因。「Kit Cam」はシャッタースピードを1秒まで伸ばせるので、より光を多くとらえられる。感度を上げ過ぎないで済むのでノイズを少なくできるわけだ。

光の軌跡を描いてみよう

魚眼レンズをつけてロータリーを出入りする車を撮影した。ヘッドライトとテールランプが入り交じった(東京・新宿)【「MagicShutter」の光跡モードで15秒間露光】

 それ以上長いシャッター時間で撮るには、長時間露光専用アプリがオススメだ。今回は「Magic Shutter」を使ってみた。夜の写真でおなじみなのは、光の筋が行き交う「光跡」。車のヘッドライトや鉄道の明かりが線を描く写真は、夜の都市の様子を表現するのにうってつけだ。

 まずは光跡が画面内をどう流れるかを想定してiPhoneを構える。しかし被写体の光がなかなか思うような筋を描かないこともよくある。シャッターを押すタイミングと露光時間を少しずつ変えながら撮り続ける。気に入った写真になるまで何度も挑戦してみることが肝心だ。

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