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正月に知っておきたい神社の「常識」 日経おとなのOFF

2012/1/1

 神社好きならば「官幣大社」や「国幣小社」といった言葉を聞いたことがあるのではないか。これは神社の「社格」を示す言葉。60年ほど前までは、神社ごとに社格が決められていた。つまりは、神社が格付けされていたわけだ。社格とはどんなもので、どのようにして定められたのか。格が高いのはどの神社だったのか國学院大学教授の井上順孝さんに聞いた。

 日本には現在、神社本庁の管轄だけでも約8万の神社が存在する。「神社」を名乗るところが圧倒的に多いが、なかには「神宮」や「大社」の社号が付くところもある。神宮や大社は、神社とどこが違うのだろうか。

 結論からいうと、現行制度の下では比較的自由に神宮や大社を名乗ることができる。しかし実際の神宮や大社を見てみると、有名な神様を祭神としていたり、あるいはその地域のナンバーワン神社であったりと、規模の大きい、知名度の高い神社ばかりがそろっている。これは、神宮や大社の社号が、歴史的な社格制度の名残だからだ。

“格付け”されていた神社

 社格制度とは耳慣れない言葉だが、簡単にいえば神社の“格付け”。

 今でこそ神社本庁の下、「規模の大小はあっても、すべての神社は平等」ということになっているが、第2次世界大戦が終わった60余年前まで、神社の世界には「社格」という名のランク付けがあった。神社にお参りに行くと、神社名の横に「旧官幣大社」「旧国幣小社」などと表示してあるのを見たことがあるだろう。これが戦前の社格。

 今日「近代社格制度」と呼び習わされる社格ができたのは、1871(明治4)年。政府が国内すべての神社を対象に、大きく官社(官幣社と国幣社)、諸社(府県社と郷社と村社)、無格社に等級分けした。上位の官社のなかでも官幣社は国幣社より格上とされ、の官幣大社を頂点とするヒエラルキーが形成された。ただし、皇室の祖神・天照大神を祀る伊勢の神宮だけは「別格」として、社格の枠外に据えられた。

 国による神社のランク分けは、実はこれが初めてではない。7世紀後半には官社の制度が始まった。官社は次第に増えるが、官社についての最も古い記録が、10世紀前半に完成した延喜式の『神名帳』で、ここに記されている神社を式内社と呼ぶ。

 延喜式の神名帳には、伊勢の神宮のほか、茨城県の鹿島神宮、千葉県の香取神宮が「神宮」と記載されていた。同様に、「大社」となっていたのは出雲大社(記載は杵築大社)だけだった。

 ちなみに、神宮の「宮」という呼称は天皇や皇祖の神々を祀る神社に使われることが多いが、東照宮のような例外もある。一方、大社の「社」は神社の略称。文字通り解釈すれば、大社は「大きな神社」ということになろう。神仏習合時代には、「大明神」や「大権現」という社号もあった。

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