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ホントが知りたい 食の安全

BSEより怖い食中毒 本当に安全な肉とは ホントが知りたい食の安全 有路昌彦

2013/5/3

 これまで食品安全にかかわることを多くしてきましたが、なかなか一筋縄ではいかないのが牛肉の安全性です。

 BSE(いわゆる狂牛病)、放射能…。ここ数年間だけでも、牛肉をめぐって安全性が揺らいだ話題は数多くあります。

今回はまず、結果的に牛肉の放射性物質検査にもつながることになる、BSEの問題を振り返っていたいと思います。

■全頭検査でもリスクは下がらない

 BSEと聞くと多くの人が「とても危ないもの」と思い、「日本のお肉は全頭検査しているから大丈夫」と感じる状態が長く続いています。その結果、「全頭検査をしていないアメリカの牛肉は危険」と思っている人も多いようです。

動物衛生研究所で牛の脳波からBSEを検査する

 でも、これは食品安全の視点からいうと誤り。驚きや拒絶感を感じる前に、科学者としての私の考え方をまずは読んでいただきたいと思います。

 全頭検査には、BSEのリスクを下げる効果はほとんどありません。検出力が高くなく、すり抜ける可能性が高いからです。この検査は、実は発生しているかどうかを検査するものではなく、発生していることがすでにわかっている場合に、その発生状況を確認するための方法という言い方ができるほどです。

 BSEのリスクを最も減らす方法は、全頭検査ではなく、感染の原因になる餌を与えないこと、原因となる異常プリオンの99%以上が蓄積する危険部位を除去することです(感染牛が確認されない現在では飼料規制のリスク削減効果もほとんどなくなります)。

 この2つの対策はOIE(国際獣疫事務局)という国際的な機関が方法を科学的に決めており、各国はこれに従っています。そのため、現段階で日本とアメリカなどのBSEリスクは同等とみられています。

■BSEよりこわいのは食中毒

 そもそも、BSEに遭遇するリスクはどのくらいなのでしょうか。2005年時点で50億分の1以下、現在ではさらにその数100分の1以下。食品のリスクとしては、「まずない」に等しい状態です。これは意外と知られていません。2005年時点でも、おもちをのどに詰めて死亡するリスクがBSEの4万4千倍、入浴中に溺死するリスクが40万倍です。どれほど小さいものかご理解いただけるのではないでしょうか。

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