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映画『モテキ』、関係者も驚くヒットの理由

品田英雄のヒットのヒント

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9月に公開された映画「モテキ」(東宝配給)が、興行収入20億円を超えてのロングランヒットになって、関係者を驚かせている。理由は観客に20代~30代前半にかけての男性が目立つため。普段は映画を見ることの少なく、むしろインターネットなどで映像を楽しんでいそうな人たちが多いからだ。

「モテキ」はサブカルチャー好きで自意識過剰のパッとしない31歳の草食系男子の幸世が、ある日突然、女性たちにもてはじめて――」。というコメディである。

もともとは『イブニング』(講談社)に連載されていた久保ミツロウという女性漫画家の作品を、2010年夏にテレビ東京が深夜ドラマとして放送した。当時の視聴率はけっして高いとはいえず、知名度も低かったのだが、なぜ映画「モテキ」が予想外のヒットになったのか。その理由を監督とプロデューサーの視点から解説しよう。

サブカル好みをくすぐる監督の熱意

まず大根仁(42)監督の熱意があった。2009年にドラマ化が暗礁に乗り上げたところを、自ら脚本作りを進め、躊躇する俳優を口説き、予算調整を進めた。ドラマの実現がなければこの映画のヒットはなかった。映画化に当たってもいくつもの工夫がなされている。

1つ目はドラマと同じ主人公・役者(森山未來)を起用しながら、ドラマの1年後を久保ミツロウにオリジナルストーリーとして描いてもらった。派遣社員だった主人公は、一念発起してニュースサイトに就職しサブカルチャーの取材に嬉々として取り組んでいる設定だ。ドラマのファンに次がどうなるのだろうと期待を広げた。

2つ目はドラマで話題になったのと同様に、音楽や漫画など、それもかなりのマニアでないとわからないような素材が散りばめられていること。音楽ならばN'夙川BOYS(ンしゅくがわボーイズ)やフジファブリックの楽曲、マンガ「進撃の巨人」やTシャツに「LOVE ME TENGA」を登場させるなど小細工が効いている。こうしてサブカルファンが大好きな世界を作り上げた。

3つ目は撮影中から監督自ら、メイキングの様子を写真に収め、ツイッターやブログで発信を続けていたこと。しかもドラマのDVD発売に合わせて、交通費とビジネスホテル代を出してくれれば全国どこまでも出かけますよと呼びかけ、「モテキ」の関連イベントに足を運んでいた。製作過程からファンとのつながりを強化したのだ。

エンディングを観客に「預ける」

その一方、映画を企画・プロデュースしたのは東宝の川村元気(32)。これまでも「電車男」「デトロイト・メタル・シティ」「告白」「悪人」と映画をヒットさせてきている。彼が加わることで、マニア向けだったものが一般の人にも受け入れられるものに近づいた。彼の行動には3つの重要なポイントがあった。

1.決断の早さとフットワークの良さ。
 ドラマの1回目の放送を見て、すぐに大根監督に映画にしましょうと声をかけている。大根監督はテレビ界では実績があり、「週刊真木よう子」や「湯けむりスナイパー」などを作り"深夜ドラマ番長"として知られていたが、映画を監督したことはなかった。その監督に直接依頼している。

2.メジャー感と話題性のあるキャスティング
 主演はドラマと同じ森山未來でありながら、共演する女優たちに工夫をこらした。相手役には長澤まさみを起用。森山と長澤の共演は映画「世界の中心で、愛をさけぶ」で大ヒットしており話題作りに役立った。その一方で長澤が演じたのは"ビッチ"役で清純派とは正反対。ほかにも"重い女"に麻生久美子、ガールズバーで働く仲里依紗、厳しい先輩に真木よう子と、実績のある女優たちに一味違う役柄をお願いした。

3.「作り手のもの」から「受け手のものでもある」という作品作り
 映画を作り手側から一方的に観客に見せるのではなく、観客に「預ける部分」を持つ作品に仕上げている。この映画は当初2時間47分だったものを、最終的に1時間57分に刈り込んである。
 このテンポアップを生んだのが、「ここは観客に預けて大丈夫です」という川村から監督へのアドバイスだった。川村が関わった映画に共通するのは、映画のなかで結論を出さず、観客に預けるというエンディングの打ち方だ。これによって、見た人は感想や考えを別の人に伝えたくなる。今回でいえば、ツイッターやネットで評価が飛び交うことになった。

もちろん、これだけでなく周囲の様々な努力によってヒットとなったのは間違いない。しかし、監督側の熱い心とプロデュース側の冷静な判断が一つになったことによって、常識的には「マニア向け」にとどまった可能性の高かった映画が、原作のマンガやドラマを見たことのない人や、普通の人にも喜ばれるヒット作に仕上がったといえるだろう。

品田英雄(しなだ・ひでお)
 日経エンタテインメント!編集委員。1957年生まれ。学習院大学卒業後、ラジオ局勤務を経て日経BP社入社。1997年『日経エンタテインメント!』創刊と同時に編集長に就任。2010年より現職。日経トレンディネットで「品田流トレンド塾」、日経MJ「品田英雄のヒットの現象学」を連載中のほか、さまざまなメディアにも出演、幅広く活躍中。著書に、日経文庫『ヒットを読む』(日本経済新聞社)などがある。

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