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合格率5% 最年少記録誕生が話題の気象予報士の試験と仕事 気象予報士 伊藤みゆき

 

2013/1/23

 1月の「受験シーズン」といえば、大学入試センター試験を思い浮かべる方も多いかと思いますが、私たち気象予報士にとっても、この時期が、受験シーズン。1月27日に気象予報士の資格試験があるのです。昨年2012年の10月の合格発表では甲斐友貴君が最年少記録となる12歳11カ月で資格を取得して話題になりましたが、今回はこの気象予報士の資格と仕事について少しお話したいと思います。

 気象予報士誕生の経緯は、気象業務法が1993年5月に改正され、気象庁以外にも気象庁長官から許可された者が一般向けに天気予報を発表できるようになりました。このときに、予報についての資料やデータを適切に扱い、防災面も的確に配慮できる人を確保する目的で「気象予報士制度」が導入されたのです。

 気象予報士になる1つ目のステップが、気象予報士試験に合格することです。初回の試験は1994年8月28日に行われました。2777人受験して合格者は500人、合格率は18%でした。近年は毎年1月と8月の第4日曜日に試験が行われ、過去38回で、のべ15万2595人が受験し8843人が合格。トータルの合格率は5.8%。直近3回の合格率は4%台と狭き門になっています。昨年の夏の試験では、170人が合格し、女性合格者は24人。気象予報士全体の中でも女性の割合は1割強と少なめです(2012年6月時点)。

(写真はイメージ)

 試験の内容は「学科試験」と呼ばれるマークシート式試験と、「実技試験」と呼ばれる記述式の試験の2段階で行われます。学科試験は「一般」「専門」と2つの分野に分かれます。

 「学科試験」の「一般」は気象業務法や地球の自転、雲の発生過程など多岐にわたり、高校の地学や物理、数学の知識なども関わってきます。「専門」は気象観測や予報の仕組みや精度評価など、予報の現場で使う内容が多く含まれます。学科試験は一度に両方受かる必要はないのですが、合格した分野の有効期限はその後2回まで。例えば、「専門」だけ合格したら、次かその次で「一般」の合格を目指し、そのタイミングで記述式の「実技」も受からなければならないのです。「実技試験」は、過去の気象現象について資料を基に解答していきます。例えば、九州北部で大雨が降った日の実際のレーダー画面や予測資料を提示され、それをもとに強雨の時間帯や低気圧の位置などを答えます。2段階の試験に合格すれば、あとは気象庁長官の登録を受けて、晴れて気象予報士になることができます。

■気象予報士が就く仕事

 私自身は20代半ばに試験に挑戦し、中高生向けの参考書や辞書でテキストを読み解くところから始めて、合格にこぎつけました。

 試験に合格するのも大変なのですが、さらに、気象予報士になることができても、気象に携わる仕事に就けない人が多いのも現状です。気象予報士の資格を持っている人の仕事として一番身近で分かりやすいのは、テレビで解説するキャスターですが、必ずしも「お天気キャスター」が気象予報士の資格を有しているとは限りません。キャスターを裏で支える気象予報士がいて、放送局向けに天気のアドバイスをしたり、原稿を書いたりすることもあります。こういったメディアでの仕事のほか、特定の地域や企業向けに気象情報を提供する仕事に携わる気象予報士もいます。

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