大気汚染物質に注目、シミ・シワを増やす?
米国皮膚科学会で注目 PM2.5が肌老化の原因に
シミやシワ、たるみなど肌老化の原因の8割近くは、紫外線や喫煙、環境ストレスなど外的な要因──。こうした研究成果が知れ渡り、特に「紫外線を防ぐ」ことは今や美容の常識。だが、「それだけでは不十分」と警告するのがクラリソニック クリニカルリサーチ・バイスプレジデントのローリー M・タドロック医師。
「今、皮膚科医が注目しているのはPM10(=10マイクロメートル)以下の微小な大気汚染物質による肌への悪影響。地上に到達する粒子状物質(PM)は、極めて小さな粒子と小さな液体の複合体。PMの大きさは汚染物質が皮膚に浸透する速度と影響度に直接関係する。毛髪の太さが70マイクロメートルといえば10以下がいかに小さいか理解しやすいはず」(タドロック医師)
肌への付着を防ぎ、徹底洗顔を
PM2.5は私たちの毛穴の約20分の1以下。現在では世界人口の80%がPM2.5にさらされているというから深刻だ。
ドイツ在住の400人の女性を対象に、24年間の大気汚染の影響を調べた研究がある。これによると、PM10以下の大気汚染では、汚染レベルが高いほど肌老化が早く、一番汚染度合いが高い地域では、他の地域に比べ、額とほおのシミが多く見られ、ほうれい線も目立った。
肌表面に付着した微小汚染物質は、肌内部のたんぱく質やバリア機能にダメージを与え、大小のシワ、乾燥、色素沈着などの要因に。また、紫外線と大気汚染物質は互いに作用し、さらに悪影響を及ぼす可能性がある。
「それを防ぐには、紫外線と微小汚染物質から肌を守ること。一日の終わりには毛穴やキメに入り込んだ汚染物質をしっかり取り除く洗顔を」(タドロック医師)
洗顔後には抗酸化成分であるビタミンCなどを配合した化粧品を使ったり、抗酸化食品を積極的にとることも大切。
ただし洗顔には注意点がある。過度なクレンジングで肌の乾燥などを招いたり、逆に不十分で汚れが残ったままというケースも。「何度もゴシゴシ洗う=きちんと汚れを落とすことではない。手洗いには限界があるので、最先端の技術を使った洗顔ツールなどもお薦め」(タドロック医師)。大気汚染から肌を守るケアは新しい美容習慣となりそうだ。
【ステップ1】 汚染物質を肌に触れさせない
化粧品業界では、汚染微細粒子を肌表面に付着させないための技術研究が進んでいる。「紫外線対策と大気汚染対策」を謳うスキンケア品の代表を紹介する。
心地よい極上の使用感で潤いと弾力を守り、明るい素肌感に整える。SPF30/PA+++。30g。3万2400円(ザ・ギンザ)
2.イーブン ベター シティ ブロック ポリュテクション 40
ポリマー複合体が大気中の浮遊粒子状物質の付着を防ぎ、美肌を守る。医薬部外品。SPF40/PA+++。30ml。5616円(クリニーク)
3.プロテクター センシティブ
繊細な肌にもやさしく、排気ガスやたばこの煙、窒素酸化物など外的ストレスをカット。SPF30/PA+++。30g。3456円(イプサ)
【ステップ2】 付着した汚染物質をオフ
一日の終わりには、肌表面についた汚染物質を除去することが大切。その際、強くこすったり、刺激の強い洗浄剤を使うのはかえって肌老化を招くので注意が必要。米国皮膚科学会では特許技術の音波振動を使う低刺激の洗顔ツールなどで肌の汚れを除去する技術の発表も。
【ステップ3】 内外から抗酸化成分を補う
洗顔後には抗酸化成分であるビタミンCなどを配合した化粧品を使ったり、抗酸化食品を積極的にとろう。
この人に聞きました
医師。クラリソニック クリニカルリサーチ・バイスプレジデント。ワシントン州立大学で医学博士号を取得。カリフォルニア大学サンフランシスコ校で皮膚科学を学ぶ。2012年、クラリソニックに入社。
(ライター 片岡えり)
[日経ヘルス2014年6月号の記事を基に再構成]
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