男性も注意 症状別手荒れケアのポイントと予防法
日経ヘルス
手荒れが起きてしまったら、早めの対処が肝心です。ただ、ひと口に手荒れといっても、進行レベルによって、症状はさまざま。その対処法も異なります。
「手のひらのかさつきが気になり出したら、それは手荒れの初期症状。たっぷりハンドクリームを塗って一晩寝るだけで、かなり改善します。そこで何もせずに放っておくと、角層がガサガサになり、いわゆる手荒れの状態に。そして、ひび・あかぎれへと症状が進みます。ひどい湿疹やただれが見られたら、ステロイド剤などを使った適切な治療が必要。皮膚科を受診しましょう」と、野村皮膚科医院の野村有子院長。
~手荒れは初期から最重症期まで5段階に分けられる~
[ケア法] ハンドクリームをたっぷり取り、手指によく塗り込んでから寝る。一晩でかなり良くなる。冬場だけでなく、一年を通してケアしていれば手荒れも起こさなくなる。
[ケア法] 手を洗ったあとは、水分をよく拭き取ってからハンドクリームを塗る。これ以上、手荒れがひどくならないように、こまめにハンドクリームを塗ってケアする習慣をつける。
[ケア法] 水仕事のときはゴムまたはビニール製の手袋をはめる。就寝時には、ハンドクリームをたっぷり塗ったら、保湿効果を高める綿手袋を。きちんとケアすれば改善の兆しが。
[ケア法] 素手での作業は禁止。常に綿手袋をして、日常生活のいろいろな刺激から手を保護する。水仕事のときも綿手袋に重ねてゴムかビニール製の手袋をすること。
[ケア法] 自宅でのケアは無理。皮膚科で適切な治療が必要。一般的には、保湿剤とステロイド剤が処方される。ステロイド剤は炎症の治療に用いるが、用法を守れば副作用の心配はない。
手荒れの進行を食い止めるには、「少し良くなったからといってケアを怠らないこと。角層が生まれ変わるまで約6週間が必要。血が出るほど荒れている場合は、治癒にそれだけの時間がかかります。完全に良くなるまで、丁寧なケアを心がけることが大切です」(野村院長)
毎年、冬に手荒れを繰り返す人は、手が荒れる生活習慣があるから、と言うのは、東北労災病院皮膚科の谷田宗男部長。
「手荒れを治しても、生活習慣がそのままでは、また手荒れは起きます。生活習慣の改善も重要なケアです。水仕事や掃除のときは、利き手だけでも綿手袋に重ねてゴム手袋をする。食器用洗剤は10倍に薄めて、界面活性剤の刺激を和らげる。そうした工夫でかなり変わるはずです」(谷田部長)
【こんな生活習慣に心当たりは? 手荒れをひどくする習慣】
熱いお風呂から出たあとに、急に手のひらがヒリヒリ、カサカサしたことはない? 熱いお湯は潤いバリアを壊してしまう。
▼(対策)
手を出して湯船につかろう
家事にいちいち手袋は面倒だから素手で
洗剤の界面活性剤は刺激が強く、食器用洗剤の原液をつけたスポンジを握るだけで、触れた手指には相当なダメージ。ほこりも刺激物質。
▼(対策)
家事をするときはゴム手袋を使う
感染症が気になるから消毒は頻繁にする
消毒剤のスーッとする感じはアルコール成分のせい。アルコールが蒸発するとき、手の水分や油分も奪ってしまい、乾燥のもとに
▼(対策)
消毒前にはワセリンなどで保護
きれい好きで手をよく洗う
手洗いをすると、お湯を使うだけでも油分が失われてしまう。薬用石けんの殺菌成分が手指には刺激が強いことも。
▼(対策)
手洗いには低刺激性の石けんを
一番手軽な手荒れケアはハンドクリーム
ハンドクリームは症状によって有効な成分が異なり、選び方を間違えると、逆に悪化させる場合もあるので注意しましょう。「例えば、尿素は、傷があると染みることがあるので、あかぎれやひびが見られるときには不向きです」(谷田先生)。
効果的な使い方は、「よく水分を拭き取った手に、たっぷり塗ること。クリームがベタつくときは、ティッシュでぬぐっても膜は残ります。気づいたときにマメに塗る習慣をつけましょう」(野村院長)。
この人たちに聞きました
東北労災病院皮膚科部長。物理的因子疾患研究センター主任研究者として職業性皮膚障害の研究にあたり『理・美容師の手あれ予防ガイドブック』を作成。染毛剤のパラフェニレンジアミンによる皮膚炎に注意を促す。
野村皮膚科医院院長。慶応大学医学部皮膚科教室を経て開業。「ひどい手荒れでも諦めないで」と女性にエールを送る。共著に『やさしい治療+こころのケア アトピーカウンセリング』(日本医療企画)。
(ライター 海老根祐子、日経ヘルス 大屋奈緒子)
[日経ヘルス2012年2月号の記事を基に再構成]
健康や暮らしに役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。