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渋谷で始まる東横線の直通運転、ダイヤ・街はどう変わる

 

2012/4/21

 東京急行電鉄の東横線は、2012年度中に渋谷駅が地下化し、既に運行中の東京メトロ副都心線と相互直通運転を始める。副都心線が乗り入れる東武東上線の森林公園や西武池袋線の飯能まで、横浜方面から乗り換えなしで行けるようになる。東横線は今後どう変わっていくのか。

■5社相互直通運転の実現に向けて渋谷が変わる

 都心を南北に貫く新たな直通ルート、東武・西武・メトロ・東急・横浜高速のスルー運転が今年度(2012

 東京急行電鉄の東横線は、2012年度中に渋谷駅が地下化し、既に運行中の東京メトロ副都心線と相互直通運転を始める。副都心線が乗り入れる東武東上線の森林公園や西武池袋線の飯能まで、横浜方面から乗り換えなしで行けるようになる。東横線は今後どう変わっていくのか。

5社相互直通運転の実現に向けて渋谷が変わる

  • 渋谷-代官山間でJR山手線をポニーワーレントラス橋でオーバークロスする東急東横線。東横線は地下化とともに山手線の下をクロスすることになる(写真:大野雅人)
  • 渋谷川がつくる谷に沿って走る高架の東横線。主力車両5050系が渋谷駅へゆっくりと進入する(写真:大野雅人)
 都心を南北に貫く新たな直通ルート、東武・西武・メトロ・東急・横浜高速のスルー運転が今年度(2012年度)中に実現する。2008年6月に東京メトロ副都心線が全通し、同線の北側でつながる東武東上線・西武池袋線(有楽町線)と直通運転しているが、今度はその南側でつながることになる。そこで東急東横線では「東横線渋谷-横浜間改良工事」の真っただ中で、渋谷駅東側の明治通り直下付近から代官山駅付近まで東横線地下化工事が進んでいる。

 この工事が完了し、副都心線と東横線がレールでつながると、東武・西武・メトロ・東急・横浜高速の5社間相互直通運転が始まり、川越・所沢・池袋・新宿・渋谷・横浜といった街が新たな直通ルートで結ばれることになる。

  • 東急東横線の乗り入れ先である東京メトロ副都心線、東武東上線、西武有楽町線・池袋線、横浜高速鉄道みなとみらい線と、池袋-横浜間で並走するJR湘南新宿ラインの位置関係(資料:大野雅人)

  • 東武東上線の和光市付近を走る、副都心線乗り入れ車両の東武50070系(写真:大野雅人)
  • 西武池袋線の所沢付近を走る、副都心線乗り入れ車両の西武鉄道6000系(写真:大野雅人)

代官山、中目黒、元住吉…変化が随所に

  • 東横線の地下ルートは、渋谷川左岸の雑居ビルの向こう、明治通りの直下を走り、写真奥で右岸を走る現行ルートの直下へと移る(写真:大野雅人)
 地下5階の深さにある副都心線渋谷駅には、2面4線のホームがつくられている。現在は外側の2本で折り返し運転を行っているが、2面のホームの間には既に2本のレールが顔をのぞかせている。現在、2面のホームの間に仮の渡り通路が設けられ、外側レールの3、4番ホームはフラットに行き来ができるが、この仮渡り通路は7月に撤去され、ホーム階での行き来ができなくなる。このとき2面4線のホームとレールが姿を現し、3、4、5、6番ホーム(1、2番は半蔵門線)として整備されるはずだ。

 ちなみにこの副都心線渋谷駅は、東横線との直通化を前提として、当初から東急が田園都市線・半蔵門線の渋谷駅と一体的に管理している。両ホームの改札内連絡を見据えて、現在も建設が進んでいる。

  • 現在の代官山駅。写真奥が渋谷駅で、このレールの真下に新たな地下ルートがつくられている(写真:大野雅人)
 では東急電鉄の「渋谷駅~代官山駅間地下化計画図」をイメージしながら、横浜方面電車に乗った気分で渋谷から歩こう。東横線地下ルートを行く電車は、渋谷駅を出ると明治通りの直下を300メートルほど走ったあと、渋谷川の直下を緩やかなS字カーブで抜け、並木橋交差点下辺りから現在の地上ルートの地下をトレースするように走る。

 代官山駅自体は地下化されずに地表に残るが、線路やホームは掘り下げる。このための工事が進行中だ。

 渋谷から代官山を経て中目黒まで行くと、もうひとつの改良工事を見つけられる。ホーム両端に注目。ホームとホーム屋根の延伸工事や、高架橋の拡幅工事を行っているのが分かる。

 東横線は現在、8両編成の電車で運行しているのに対し、メトロ・東武・西武は最大10両編成だ。このため東急では、乗り入れ先の3者に合わせるために東横線内の10両対応化工事を行っている。しかし、すべての施設を一気に10両化するのではなく、まず特急・通勤特急・急行を10両編成とし、それらが停車する駅のホームを延伸しているところだ。

  • 2011年春に登場した副都心線直通運転向け5050系4000番台(左)。元住吉検車区にて(写真:大野雅人)
 東急は乗り入れ車両の増備も進めている。元住吉検車区(川崎市)には、直通運転に対応した同社5050系10両貫通編成タイプである4000番台の姿も。時折、東武・西武の両線へ試運転で“プレ遠征”している姿が見られるというし、逆に東武・西武の車両が元住吉検車区に停泊する姿もキャッチされているらしい。

 副都心線乗り入れ車両として活躍している東武の50070系や西武の6000系などはすべて10両編成だ。こうしたことから、東横線との直通運転が始まると、各社の10両編成の車両は東急側では特急や急行などの優等列車に、8両編成は各駅停車に充当させると想定できる。

東上・池袋・山手の3線をバイパスする副都心線

 今度は東横線とつながる副都心線、その先につながる東上線・池袋線を俯瞰(ふかん)する。

  • 山手線(左)と東上線などの線路が隣り合う池袋駅。池袋・新宿・渋谷の各駅には、それぞれJR山手線に寄り添うように民鉄のターミナルが存在する。副都心線・東横線の直通運転が始まると、渋谷での並列が消滅することに(写真:大野雅人)

 下の図は、東上線・池袋線・山手線をバイパスするルートを描いたイメージだ。行き止まりタイプのターミナル・池袋駅を終着駅とする東上線と池袋線のちょうど真ん中を、両線の流れを引き込むように副都心線が貫く。池袋から先は山手線と並行、渋谷から先は南西に進路を曲げ横浜へと向かっている。さらに、小竹向原で新木場方面へと向かう有楽町線ともつながっていて、東上線・池袋線と副都心線・有楽町線が4種類の直通運転を実施している。

  • 西武有楽町線・副都心線をつなげたルートを茶色で描いてみると、“左曲がりY字ルート”が浮き出る

渋谷地下化後の日中は毎時12本が直通か

 ここからは、副都心線と東横線のダイヤがどうつながるかを予想してみたい。まず、現在の渋谷で分断されている副都心線と東横線の日中ダイヤを単純につなげてみる。1時間当たり副都心線は急行4本・各停8本の12本で、60分ごとにパターン化されたダイヤ。一方、東横線は特急4本・急行4本・各停8本の毎時16本で、15分ごとにパターン化されたダイヤを組む。その2つのダイヤを、渋谷駅でつなげると、下の図のようになる。

  • 東武東上線・西武池袋線→副都心線→東横線のダイヤのイメージ
  • 東横線→副都心線→東武東上線・西武池袋線のダイヤのイメージ

  • 東横線の特急と目黒線の急行が武蔵小杉で同時接続していることから、東横線・副都心線の直通化後も、東横線ダイヤに大がかりな変更はないと現時点で考える。背景の画像は渋谷-代官山間を走る東横線5050系の上り電車
 上記のように、日中の副都心線は毎時12本、東横線は毎時16本の列車が走るため、東横線が4本、乗り入れ先の“相手”を失うことになる。この4本が乗り入れるか否か、つまり副都心線が4本増発するかそのまま毎時12本を維持するか考えてみる。

 渋谷駅の東横線時刻表を見ると、特急が00・15・30・45分、急行が05・20・35・50分、それらの間に各停が1本ずつ入っている。さらに、武蔵小杉での東横線の特急と目黒線の急行が接続していることから、大がかりなダイヤの変更はないと見当をつける。まして、東横線の本数を減らすというのは考えづらい。

東横線の特急・急行がすべて東上・池袋線へ乗り入れか

 逆に、日中、東急の16本すべてが副都心線に乗り入れるとイメージするのは、副都心線利用者数などを踏まえてみても、現実味に欠ける感がある。小竹向原~渋谷間の2008年度年間輸送人員は約7857万人。副都心線と同様に日中、快速4本と各停8本の毎時12本運転をする東京メトロ東西線の中野~西船橋間では、同輸送人員が約4億8734万人だ。

 東京メトロは3月26日、今年度の事業計画を発表した。ダイヤ改正については、副都心線など6線で早朝・朝ラッシュ・夜間・深夜時間帯に増発すると記している。日中の増発はなさそうだ。

  • 副都心線と同じく、日中に緩急毎時12本の列車が走る東西線。写真は快速区間の荒川中川橋梁(南砂町-西葛西間)を渡る電車(写真:大野雅人)

 以上のような点を踏まえ、副都心線の日中は毎時12本と仮定する。では直通しない4本は、どの種別の列車でどこで折り返すのか。ヒントは新宿三丁目駅にありそうだ。副都心線内には渋谷駅のほか新宿三丁目の池袋方にも引き上げ線が1本あり、折り返しが可能だ。

 東京メトロは開業当初に発表した資料で、副都心線整備の効果として、広域ネットワークの形成と乗り換えなしのシームレスなサービス提供を挙げている。今年度の事業計画では、東横線地下化に際しての直通先を、東上線は森林公園、池袋線は飯能までと記している。

 これらを踏まえ、以下のような乗り入れパターンを考えた。

・東横線の特急4本と急行4本は、東上線・池袋線へすべて乗り入れ
・東横線の各停4本(自由が丘で特急待避)は、副都心線内で急行待避せず和光市へ
・東横線の各停4本(残りのすべて)は、渋谷で折り返し。または、一部が渋谷で副都心線急行を待避し、新宿三丁目で折り返し

 もし副都心線急行と東横線特急が1本の列車になると、新宿三丁目~横浜間が約30分で結ばれる。競合する湘南新宿ラインは新宿~横浜間が30分前後なので、互角になる。

 現状、和光市止まりが5本、東武・西武に乗り入れる列車が7本の合計12本がある。この予想パターンが実現した場合、和光市止まりが1本減、東武または西武に1本増発となることが考えられる。

 さらに展開すると、横浜高速鉄道みなとみらい線の元町・中華街と、東武東上線の森林公園や川越市あるいは西武池袋線の清瀬や飯能の間を、特急や急行が走ることも想像できる。今のところ、副都心線の急行は、東上線内では各停に、池袋線内ではほぼ快速・準急となって乗り入れている。東横線との直通運転が始まると、東上・池袋の両線で種別がどう変化するか、期待は膨らむ。

 相互直通運転による“鉄道ネットワークの高密化”は、利用者の選択肢が増え、鉄道の需要増につながる。反面、いったんダイヤに狂いが生じると、連鎖的に各方面にダイヤの乱れが波及し、その脆弱さがあらわになる。

 こうした利用者の不安を解消する対策の一つとして、東京メトロは4月1日、「運行情報メール配信サービス」を開始した。利用者が設定した路線の運行情報がタイムリーに届く、携帯電話・スマートフォン・PC向けのサービスで、相互直通運転先の路線情報も配信する。東横線との直通運転を控え、こうしたソフト面の取り組みも進んでいる。

(ライター 大野雅人)

[ケンプラッツ2012年4月9日掲載]

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